DIGRESS take05

情報量が多過ぎると人は疲弊する。煩わしく感じる手続きや注意事項は、用意された情報を受ける側が飲み込み理解する事に疲弊するので煩わしく感じる。難解で台詞や登場人物が多く場面展開と音響の激しい長時間の映画を鑑賞すると、楽しさや感動とは別に疲労感が訪れるのはその作品自体の情報量の多さによるものだ。勿論、其処には個人の好む好まざるが介在するが、多過ぎる情報は何れにしても人を疲弊へ導く。

そう考えてみるとSPEED SPECTERのCASE:DIGRESSは情報量が多くなり過ぎないイベントになっている感がある。ネット回線を通しての音と映像によるライブクリエイションと実際に目の前で行われるライブクリエイションを比べての情報量という意味では、多くというより強くなり過ぎないと言う方が正しいだろうか。

旅先の店舗やコンベンション会場でのライブクリエイションは実際に目の前で行われているとは言っても、其処にはクリエイターが実在し店舗のスタッフや他の来場者も介在するし、実際の距離・関係性的な距離の両方から制作の細部をクリエイターの目線で目にする事は不可能だ。その代わりに眼前で行われるクリエイションの迫力や空気感は情報として強く押し寄せてくる。其処に居て観る事に集中すると肉体の疲労と言うよりも脳への疲弊が訪れる。

インスタグラムのライブ配信機能を介してのCASE:DIGRESSではデバイスのサイズによって画面は制限されるが、観る側にとっては他者が介在しないので気遣いも殆ど無くクリエイターの目線に近い状態で制作を視聴する事が可能だし、進行するクリエイションの説明に対してコメントで介入する程良い参加の仕方はライブ配信だからこその楽しみ方で、丁度良い情報量と言えるだろう。

しかし、ライブという中での緊張感やパフォーマンスの圧、空気感やその場のグルーヴが得られない点は、インプロビゼーションとスピードが生み出すSPEED SPECTERならではの情報を堪能しきれない部分が有るのは否めないとも言える。クリエイターである高蝶が修練の為と称して独自に配信を行いながらクリエイションとトークを同時に行える様にしていったのは、この情報量を増やす意図があったとDIGRESS take04を振り返ってみると感じる。

SPEED SPECTERにとっては脇道となるインスタグラムでのライブ配信イベントも、もう5回目を迎える事になるがSPEED SPECTER本来の旅が10年以上の歳月と300回近いイベント回数である事を思えば、まだ5回目でしか無く走り出したばかりと言うところ。走りながら試行錯誤を繰り返すSPEED SPECTERがこのDIGRESSでどう展開していくかは、まだまだこれからのお楽しみだ。

 

SPEED SPECTER CASE: DIGRESS take05

2021 3.6 21:00~ LIVE STREAMING on HEAT INSTAGRAM

HEAT Instagram:https://www.instagram.com/heat_info

本イベントはインスタグラムのライブ配信を利用して行われます。

ご視聴希望の方はインスタグラムのHEATアカウントをフォローして頂き配信をお楽しみ下さい。

尚、ライブストリーミングの機能上、配信のタイムラグや中断が起こる事をご了承下さい。

 

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。