旅はクリエイションに何を与えるのか?

もしもSPEED SPECTERが前回までのツアーと同じ様な道筋を辿って今回も旅していたら、クリエイションのベクトルはどうなっていただろうか?恐らくではあるが、前回までにクリエイターの高蝶が極めようとしていた“流れ”の更に先を探求する内容になっていただろう。

其れを裏付けるかの様なクリエイションが、マサチューセッツでのタトゥーコンベンションではパフォーマンス性の高い流れのパターンだけで構成されたスカルリングとして披露されていた事を鑑みても、Loud Style Designとしてでは無くSPEED SPECTERとしてのみ旅を続けていれば、クリエイションのベクトルは今までの流れを汲んだモノになっていただろう。

流れを探求し続ける先にどんなクリエイションが行われたかも見てみたいとは思うが、SPEED SPECTERという旅の中でもCASE: Loud Style Designとして行ってきたクリエイションは、ブランドの新作をライブで構築していく様に変化し、会場毎に増えていく新作やカスタムアイテムのリリーススピードは他では体感出来ない程だ。この明らかな変化は「新たなフェーズ」としてブランド毎にスケジュールを組んでの旅が与えた事は疑い様が無い。そんな中でも変化に大きく影響したROYAL FLASHでのクリエイションの一端を見てみよう。

ROYAL FLASH –UMEDA-で行われたクリエイションでは、ベースリング01を使用して斜に構えながら尾に噛み付くスネークを彫り、ブランドとしては過去には正式にリリースされた事の無いアイテムを創り出しているが、このクリエイションがインプロヴィゼーションによって行われているのはSPEED SPECTERならでは。と、言わざるを得ない。

もう一方のバングルはROYAL FLASH –FUKUOKA-でのクリエイションだが、彫り筋を浅めに留める事で雰囲気が重くならないデザインになっていながらも、ブランドとしての特徴は崩す事無く彫り上げられている点が、CASE: Loud Style Designとしての旅の中で生み出された事を如実に表現している。

この他にも旅の中では多くのクリエイションが成されている事と、まだまだ旅が途中である事を考え合わせれば「ブランドの再定義」というテーマが完了したとは言い難いが、旅がクリエイションに、そしてブランドに与えている物が「何か?」はアイテム一つ一つから垣間見る事が出来るだろう。

 

SPEED SPECTER The LIBERATOR

CASE: Loud Style Design
2018.11.22(Thu)-2018.11.30(Fri)
ROYAL FLASH-Jingumae-
東京都渋谷区神宮前6-18-8 TEL 03-3498-2973
https://www.royalflash-jp.com

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。