GO ON HIATUS

出来る事ならばあまり望まない情報ではあるが、SPEED SPECTERによる「HELL OR HIGH」の旅路は休止する事となった。COVID-19の世界的なパンデミックによる影響である事は疑い様が無いが、そうした中でもイベントとして成立させる幾つかの方法を模索したものの、無観客でのクリエイションの配信等はイベントとしては成立させれても、既に旅とは言えない内容になる事から「HELL OR HIGH」は休止を余儀なくされた。

こうした休止や中止は、エンターテインメントやスポーツ等に代表される様に世界中で起っている事態である事からも、各人がインターネット回線を介しての配信等で新たな方法を模索しているが、何せ“旅”をコンセプトに活動しているSPEED SPECTERにとっては相性の良く無い分野である事は明白で、そんな中で苦肉の策として、しかし楽しむ為の策として企画された活動中止前を締めくくる「マサカズオノダのインスタショッピング」との4日間に渡るコラボレーション企画は、「世界が滅茶苦茶なら無茶苦茶するしかねぇ」と言った高蝶の言葉通りの内容だった。

「ANOTHER HEAVEN」「VANITS」「Loud Style Design」の3ブランドに加えてSPEED SPECTERの根幹と新たな一面を見せるクリエイションとワンメイク制作の殆どは、実際にイベントを行うのと同じく13時にREFUSEの「FUCKTORY」で制作をスタートさせ、16時にはフィニッシュするスケジュールで行われた。勿論、事前に何も決めず用意せずインプロビゼーションによって。

SKULL、CROSS、FLOWと、代表的なモチーフやテーマに「FUCKTORY」での制作ならではの、他では見せる事が無い様な技法を織り交ぜたクリエイション。ラストに披露されたLoud Style Design「THE NUMBER OF THE FUCKER」を組み込んでのウォレットチェーンは、そのピース自体も久しく見せていなかっただけで無く、新作と言っても過言では無いワンメイクのキーフックとの組み合わせ等、リンクによるギミックパターンも元々は高蝶が得意とする手法でありながら長く封印してきたモノだ。

最後は豪速球ストレートで締めくくる事が信条になっているSPEED SPECTERらしさ。「力こそ正義」常々そう語る高蝶の、精神の強さこそが力であるとする姿勢。その二つの意志とREFUSEのルールである「笑いと暴力」に溢れた“狂乱の4日間”は幕を閉じ、SPEED SPECTERの旅は休止に入る事となった。

次の旅路に進める力になる様に。

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。