CASE: VANITAS in Roen Tokyo

「都会の喧噪から身を隠す様に・・・」という表現が最も当て嵌まりそうな地下の扉を開けると、黒で統一された空間にセクシーでアバンギャルドなコレクションが並ぶ「Roen Tokyo」に、専用のショーケースを設置してVANITASの展開がスタート。このスタートに際してSPEED SPECTERとしてのライブクリエイションでVANITASに対して「Roen Tokyo」からの別注アイテムを制作する事をコンセプトに、昨年に引き続き2019年も進行中のツアーの一環としてのイベントが行われた。

「インストアの場合、初めての場所で最もクリエイションを見せたい相手は現場のスタッフ」とクリエイターの高蝶が語っている通りと言ってしまえば正しい事にはなるのだが、イベントのセッティングが終わった12時前頃からクリエイションはスタートし、イベント開始時間の13時ジャストにはクリエイションが完了するという無観客状態で別注のスカルリングは制作された。

まっさらなベースリングを用いて制作されたこのスカルリングは、Roenのアイコンである牙が特徴的なスカルを精神的に不安を与える様な描写で表現し、VANITAS独自のテクスチャーがその魅力とグランジ感を増幅させる。過去にも多くのシルバーアクセサリーを提案してきたRoenのアーカイブにも見る事が出来ないであろう表現を為す事が目的だったかの様に、発展性を兼ね備えた独創的なクリエイションとなっている。

衰える事を知らないクリエイションスピードでスカルリングを完了させた後には、VANITASとしてのオリジナリティーを発揮するワンメイクへ取り掛かり、一度細部までキッチリ仕上げてから金属を荒らしていく手法によって、要所要所のエッジだけを輝かせつつ全体に荒廃感を施すテクスチャーは、真鍮等のアンティーク品に見る事が出来るサンドキャストによってレリーフの細部が崩れながらギリギリのバランスを保っている状態をVANITASのスタイルでデザインとして用い、2019年になってからの新たな試みとして過去のテクニックを発展させている。

別注のスカルリングが出来上がった事によって、過去にRoenとVANITASのコラボレーションで制作されたバージョンもリバイバルが決定し、更には少し先の話にではあるが「Roen Tokyo」限定でのワンメイクがリリースされていく事が決定したとの事だ。

発展とは、勢いが広がっていく様を表すのに使われる言葉だが、その為には先ず発して展開させていかなければならない事をVANITASは体現していくのだろう。

Roen: http://www.roen.jp/

Roen Tokyo: 東京都渋谷区神宮前4−32−1 隠田コーナービルB1

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。