DIGRESS RESULTS

「何処にも行けなくとも何かは創れる」その意志がカタチになるかどうかの鍔迫り合いの様にINSTAGRAM LIVE STREAMINGをプラットフォームに選んで開催されたCASE:DIGRESSは、タイトル通りSPEED SPECTERにとっては脇道へ逸れるイベントであった事は間違い無い。

何処かへ行く事と何かを創り出す事が同等に重要視されて来たからこそ、旅と言うファクターがSPEED SPECTERのクリエイションにとって最も欠くベきでなかった事は容易く想像がつくが、もう一つの問題点としては旅が無くしてクリエイターの高蝶の中でインプロビゼーションによるスピードが出るか否か?が挙がる。

結果は、当日のLIVEをご覧頂いた方には明白であろうが、2時間のLIVE配信の中でクリエイションを完了させるに至っている。付け加えるならば、シンプルに済ませたクリエイションでは無く、地金の板からツイストさせレリーフを彫り込み鏡面と粗面で裏表を仕上げた制作工程の手間の多いバングルが2時間を要せずに仕上っていた。

このレベルのバングルは通常のSPEED SPECTERのイベントであれば制作時間に最低でも3時間を要して完了となる事が多いのだが、今回のクリエイションでは遥かに早いスピードで完了させている点は、創作に於ける日頃の研鑽が見て取れるがLIVE配信中に高蝶が言った「日頃のクリエイションで早く出来たって偉くも凄くも無い。だからこのスピードは意味が無いんだ、LIVE以外では」この言葉にスピードの意味が集約されている様に感じる。

13年前にSPEED SPECTERが始まった時からコンセプトは変わらずシンプルに「何処かへ行き何かを創る」のままだが同じく変わらない事の1つ、それはLIVEという限られた時間と空間の中でのみ存在するスピードとクオリティで描き出すカタチ。

例え何処かへ行く事が出来なくなって脇道に逸れたとしてもSPEED SPECTERである事、LIVEでしか生み出されないそのスピードとクオリティは、残されたカタチだけが証明し続ける。

 

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。