ROYAL FLASH 2DAYS

LAでのイベントから1ヶ月以上の時間が空いてのSPEED SPECTERの旅は、舞台を東京・渋谷のROYAL FLASHへと移し二日間に渡ってイベントが行われたが、3月中旬の東京にしては珍しい雪に見舞われるという悪天候の中での開催となり淡々とクリエイションが進行する内容となった。

二日間に別けてという事もあり、クリエイションは1アイテムを時間を掛けて行う意向は当初からの予定通りだったようだが、その内容は2019年末にGALLERY REFUSEで行われたイベント(SSGALLERY REFUSE)での「地金板は何処まで板なのか?」が勝負所のSPEED SPECTERらしい物である。

“見せる”意味でのライブクリエイションにあって二日間に別けて1アイテム、しかも地金板がアクセサリーへと変貌を遂げる過程を時間を掛けて行う様は魅力的な内容だが、折しも世界的にウィルスショックを受けている最中の悪天候な状況下だけに、この見所がある内容が勿体無く感じてしまう向きがあった。

しかし、そもそもライブでありながら来客数に関わらずクリエイションを進める高蝶にとっては、どの状況下にも関わらずインプロビゼーションで制作を完了させられるか?地金板をアクセサリーへと変貌させられるか?「切り打ち曲げ彫る」地金をライブで加工してクリエイションを成すSPEED SPECTERの基本技術が詰め込む事こそが一番の勝負所であるのに変わり無い事が見て取れるクリエイション。

3月10日からスタートしたプロジェクト「XOX」の制作で“ジャムセッション”と自身が呼ぶクリエイションのスタイルを確立したからか、以前ならクリエイションを二日間に別けて行う事にストレスを感じていた様にも見えた高蝶の制作には、ハイスピードであるだけで無く敢えてヴィジョン固定させ過ぎずに変化を楽しむ余裕が感じられたし、インプロビゼーションによって流れる様に“在るべきカタチ”へと変貌を遂げて地金板の面影を掻き消されて完了したクリエイションの姿があった。

 

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。