ANOTHER HEAVEN at ART WALK

SPEED SPECTERにとってもホームであるREFUSEでの開催を除けば、一回のツアーで同じ会場や同じイベントに参加する事は珍しい。だが、今ではアメリカに於けるホームとなったFAKTORYでのイベントならば話は別だ。特にANOTHER HEAVENにとってはREFUSEよりもFAKTORYがホームだとするのが正しいのだから、BREWERY ART WALKへの参加が一回のツアーで二度あったとしても不思議では無い。

テーマという訳ではないがKOMYがホームとしてなら「CHILL」をもう少し増やせと高蝶に助言していたらしい。「肩の力を抜いて・・・」とでも言うべきか、ART WALKの直前までFAKTORYの改装作業や打ち合わせの日々を送っていた事もあってか、クリエイションに全力で集中するというよりはイベント自体を楽しんでいる感覚が強かった様に感じるが、ブランドのアクションとしては久しぶりにKOMYによるグラフィックが描き起されFAKTORY MADEの新作が並ぶ事となっていた。

これは2月のinspiration LAに高蝶が参加した際にKOMYと打ち合わせした内容がそのまま反影され、(KOMY対談記事)高蝶が提案したテーマをKOMYの解釈で描かれている。

このART WALKの前週にCASE: Loud Style DesignとしてBOSTON TATTOO CONVENTIONに参加してクリエイション面では旅の最終局面を迎えた高蝶にとっては、残された課題は前回のART WALKでのマシントラブルによって納得のいかないクリエイションとなってしまった事に対してのリベンジマッチ的な部分だけとなっており、そうした経緯からもKOMYの言いつけもあってか緩やかなペースでクリエイションも完了させていた。

ANOTHER HEAVENというブランドの特性を鑑みるに、“構築する事”その重要性がアクションに繋がっている気がする。KOMYと高蝶のやり取りにしてもそうだが、レザーパートを担うCAMUROの村田氏を招いてのイベントや、アパレルパートを段階を踏んで進めて行く手法、FAKTORYを改装してワークスペースを設けリレーションシップを強化していく流れは、着実に構築していく事がブランドのレベルを上げていく事だと言わんばかりだ。

このART WALKでのアクションもKOMYと高蝶が各々独自に構築してきたパートを組み合わせて更に次の構築へと繋いでいくアクションの一つだし、FAKTORYという空間だからこそ可能な事をANOTHER HEAVENではどう示して行くか?の一端でもある。だからこそLAという土地柄も相俟ってKOMYの言う「CHILL」の部分を増やした緩やかなイベントやクリエイションとなっていったのだろう。

リベンジとなったバングルのクリエイションを初日に終えると、二日目はデモンストレーションとテストとして、ラフにカリグラフィのエングレーブを行ったのみにクリエイションは留め、BEREWERY ART WALK自体を楽しみながらイベントは終了し、定番のBBQで締めるという何ともCHILLな時間が流れていた。

BREWERY ART WALK: http://art.breweryartwalk.com

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。