CASE: ANOTHER HEAVEN NEXT ONE

多くの新作が並ぶ事となったANOTHER HEAVENの展示会はSPEED SPECTERの一環として行われたものだが、同時にブランドの新たな可能性を模索する場でもあった事は確かだ。「擦り合わせに納得がいかない」という理由でクリエイターの高蝶がシルバーアクセサリー関連の新作数を予定よりもかなり減らし、台風等の災害の影響でデニム関連の新作が全て延期になったにしても新作の数は多かったし、「ブランドを再定義する」というテーマに遜色の無い数々の“思い付き”がカタチになったのを目にする事が出来たが、今回は展示会中の二日間で行われたクリエイションに的を絞って話を進めよう。

高蝶が語るところの“擦り合わせ”とは、今年の6月に解散したブランド「BEAST HATE」と現在のANOTHER HEAVENで進行しているシルバーアクセサリーのコレクションを合わせながらリリースする為の作業の事だが、クリエイション初日の内容は、ライブでのインプロビゼーションが擦り合わせへの最期の鍵だったかの様に感じられる。

実に久々に“カスタム”がクリエイションの一部として行われたのは、BEAST HATEの定番だったスターモチーフをANOTHER HEAVENに組み込む為の作業に他ならないし、ワンメイクに“カリグラフィ”を盛り込んだのも新たな可能性を模索する中での“思い付き”がライブで結実したが故だろう。BEAST HATEのピースだけをベースにしたペンダントとリングのカスタム、ANOTHER HEAVENのピースと組み合わせたペンダントとバングルのワンメイク。ライブという現場で纏め上げる事で擦り合せが上手くいくというのが、いかにも高蝶らしい結果だ。

初日のクリエイションでカスタムとワンメイクが出てきた事で二日目にはまったく新しいアイテムを創り出す可能性も感じていたが、ベクトルはカリグラフィの探求とANOTHER HEAVENとしてのワンメイクに向っていた様だ。今年に入ってから初めてブランドとしての正式なワンメイクをリリースし始めたANOTHER HEAVENとしては模索と探求はまだまだ必要な部分ではあるし、“ONE LIFE”というブランドの代表的なグラフィックからの落とし込みが、長く楽しめるテーマである事はクリエイションにノっている姿からも容易に感じられただろう。

リングを2点ワンメイクに選ぶ事がライブであっても模索と探求の最中である他ならぬ証と言えそうだが、仕上ったアイテムには実験的な雰囲気よりも最初からレギュラーアイテムで存在しているかの様なバランスの良さが漂っていたし、ここから“次の一手”へと繋がる様な可能性を大きく感じさせるデザインも含まれていた。

“思い付き”と“擦り合わせ”は一連の順序として語られる事が多いし、実際の企画進行や制作とはそうしたものだろう。しかし、旅の中でブランドを再定義するとは順序通りに行う事で成される訳では無く、同時に行う事でこそ成し遂げる鍵を見つけ出すのだと、言葉では無く行動で示してみせたクリエイション。

新たなフェーズとして多くの新作と可能性を見せながらの展示会を終えて、ANOTHER HEAVENは先へと進む為にブランドの心臓部であるLAの「FAKTORY」でのイベントが行われる。本場の空気の中で、どんな“次の一手”を見せてくれるだろうか。

 

SPEED SPECTER The LIBERATOR
CASE: ANOTHER HEAVEN

2018.10.13(Sat)~10.14(Mon)

11:00-18:00

FAKTORY –BREWERY WALK-

642 Moulton Ave.E-18 Los Angeles,CA90031

URL: http://breweryartwalk.com

 

ご紹介をさせて頂いた商品にご興味があるお客様は

下記の店舗までお問い合わせください。

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 1F

TEL : 03-6240-2972

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。