EVENT REPORT: ROYAL FLASH -UMEDA-

どんな物にでも鮮度という一つの基準を感じてしまうのは人の悪いところだと常々感じてしまうものだ。聞き慣れた音楽は時を経ればレトロに感じ、好きだった映画を観直した頃には古臭い映像だと思わせ、付き合いの長くなった恋人には飽きを感じてしまう。人が新しさを求めるのは、対象その物が持つ実際の鮮度よりも自分自身の気持ちが新鮮かどうか?を重要視してしまうからに他ならないのだが、食品やメディアや情報やエンターテイメントに劣らずファッションの世界でも鮮度は重要視される。

そう言った意味ではシルバーアクセサリーの世界では鮮度よりもスタンダードである事に重きが置かれていそうにも感じるが、実際はスタンダードな物を新鮮に感じる人々へと見る側が入れ替わっているのと、ファッション特有のブームの繰り返しによって、鮮度を得ただけの事だったりもする。

SPEED SPECTERというツアーも内容の如何に関わらず、10年以上の歴史によって鮮度は一番下がっている時期だとするのは言い過ぎだろうか?そうは思わない。ツアーの内容は別にして、SPEED SPECTERというツアーは鮮度を保つ為のアクション(例えば時間経過を示す様なアニバーサリーやPR)を何も行わずにシンプルに旅とクリエイションを繰り返してきている愚直さが招いた鮮度の低下は明らかだ。

それにしても。という前置きが必要になる程にSPEED SPECTERとしてのクリエイションは鮮度を下げずに進行している。CASE:Loud Style DesignとしてROYAL FLASH でリリースされていくスニーカーカスタムやブーツカスタムそしてライダースジャケットにしてもそうだが、単純にシルバーアクセサリーとしての新作をリリースするよりも構築に時間も手間も掛かる手法を取っている。

今回、イベントが行われたROYAL FLASH –UMEDA-でのワンメイク、クロムエクセルを使用してのラウンドZIPウォレットにしても、ワンメイクだからとゴチャゴチャさせる手法よりも使い勝手や物としての安定感を重要視したアイテムとして構築している。其れが新しいフェーズで「ブランドを再定義する」為に起しているアクションなのだろうし、鮮度や目新しさよりも愚直に旅とクリエイションを繰り返す事で得られている物創りとの向き合い方なのだろう。

イベントの内容、ライブで行われたクリエイションの方は今回のテーマとしている“時間を掛けて仕上げる”と言うには少々スピードが有り過ぎな感じもしたが、ROYAL FLASH –NAGOYA-でのクリエイションの様に“流れ”で構成したアイテムではなく、明確なスネークモチーフのリングとなり、これはROYAL FLASHバージョンとブランドとしてのバージョンを別けてリリースされる予定との事だ。

ファッション業界に於いて鮮度を保つ為のアクションは確かに重要だが、最も重要なのはユーザーにとってスタンダードとなり得る密度の高いクリエイションだ。ただでさえレギュラーアイテムの数が異常に多いLoud Style Designにとっては、SPEED SPECTERという旅でROYAL FLASHという新たなフィールドでイベントを行う事が、クリエイションの可能性を広げる為の一つの試金石の様に作用し、ブランドをネクストレヴェルへと押し上げようとしている事はもはや明白だ。果たして鮮度よりも密度を求める旅はどこまで可能性を広げるのだろうか?

 

SPEED SPECTER The LIBERATOR

 CASE: Loud Style Design
2018.11.15 (Thu)-11.19 (Mon)
ROYAL FLASH-Fukuoka-
福岡県福岡市中央区天神2-10-3 VIORO 4F

TEL 092-406-4432

https://www.royalflash-jp.com

ライブクリエイションにつきましては11月17日(土曜日)を予定しております

CASE: Loud Style Design
2018.11.22 (Thu)-11.30 (Fri)
ROYAL FLASH-Jingumae-
東京都渋谷区神宮前6-18-8

TEL 03-3498-2973
https://www.royalflash-jp.com

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。