VANITAS×ROEN

アパレルブランドとのコラボレーションと言う事それ自体は、シルバーアクセサリー業界を見回してみても特筆するべき程には珍しくも無くなっている昨今。今回取り上げる、ROENというアパレルブランドを鑑みてみれば長期に渡って懇意にしてきたシルバーアクセサリーのブランドや、多数のコラボレーションをこなしてきた実績の量は正確に思い出そうとしても記憶が定かにならない程で、要するにファッションのスタイルとしてシルバーアクセサリーというファクターに慣れ親しんだブランドだと言う事は疑いようも無い。

それに対してVANITASの側も、2アイテムしか無かったアイデアによるブランドの発足自体が、アパレルブランドとのコラボレーションからスタートしてコレクションを増やしながらブラッシュアップしていき現在のスタイルへと成長させるに至ったのだが、面白い事にVANITASが他のシルバーアクセサリーブランドとコラボレーションした実績は皆無だ。ブランドとしてのアクションがそうさせているのか、それとも何かしらの狙いがあっての事なのかは定かではないが、兎に角アパレルブランドとのコラボレーションというファクターには慣れ親しんでいる。

ROENとVANITASのコラボレーションは数年前にも一度行われているが、大きな発展を見せる事無く単発で終了している。これを「タイミングじゃ無かった」と見るか、「相性が悪かった」と見るかで考え方は大きく変化するが、後者の可能性はどう見積もっても低い気がする。しかし、だ。

2018年から続くSPEED SPECTERの「The LIBERATOR」於けるVANITASのアクションは、宗教美術やアンティークの様式美を用いながらも艶やかさや華美さを押し出すのではなく、より乾いた表現方法へ傾倒して行っている。

こうした現在の方向性が、果たしてコラボレーションを行う際に「タイミングじゃ無かった」「相性が悪かった」という事に繋がったとしたら、VANITASとROENによる今回の企画は上手く行かないだろう。逆に互いに共通する“退廃的な美しさ”というテーマのタイミングが噛み合えば、企画を進める為の歯車は滑らかに回り始める。

後は多くの関係性がそうである様に、進行させるそのスピードが速いか遅いかによって相性の良さが決まってくるのだが、ROENの旗艦店となる「ROEN TOKYO」にスペースを設け、VANITASの展開用にショーケースを設営する運びとなっている事からも既にその対策は用意済みと言うところだろう。

そして先ずはそのタイミングを計る一歩目として原宿の「ROEN TOKYO」でSPEED SPECTERとしてCASE:VANITASが行われる。このイベントでコラボレーションの指針となるアイテムを生み出させるかどうか?注目すべきポイントが明確なイベントとなるだろう。

SPEED SPECTER The LIBERATOR

CASE:VANITAS

2019.1.26(Sat) 13:00 START

Roen Tokyo

東京都渋谷区神宮前4-32-1穏田コーナービルB1 TEL03-6447-1076

http://www.roen.jp

 

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。