SHOOT THIS ARRROW

旅の流れが止まってから、と言う表し方は旅する事と同義である「SPEED SPECTER」にとっては本来ならば一つの旅の終焉になってしまうのだが、今回のケースは明らかに続いている筈の旅の流れが止まってしまったとしか言い様がないだろう。

旅のスケジュールを変更はしても、止めるのが似合わないSPEED SPECTERとしては、的を失ったまま弓に掛けられた矢の様な状態が続く現状に、何処かでケリを着けたいクリエイターの高蝶の心情もあってか、3月末に「LOOM KOBE」で行われたイベントを最後に「HELL OR HIGH」と言うタイトルを一旦は降ろす事に決めてはいたのだが、それにしても弓に掛けられた矢をそのまま降ろす気は無かったという事なのだろう。

「何処にも行けないなら此処から放てばいい」方法や手段を講じない半ばやけっぱちの様なやり方ではあるが、何よりも重要なのは創り上げた矢を放つ事だと5月3、4、5、6日の四日間「マサカズオノダのインスタショッピング」とのコラボレーション企画で「HELL OR HIGH」というタイトルの旅は幕を下ろす。

旅を尊ぶ「SPEED SPECTER」にとって、この企画が本意では無い事は勿論なのだろうが、だからと言って後ろ向きで矢を放つ気が無いところが高蝶らしい。4日間連続で繰り広げられるインプロビゼーションによる創作を24時間だけのリリースに加えて、「マサカズオノダのインスタショッピング」での特色である購入の為のキーワードが、SPEED SPECTERの「SS NEWS」を長く見てきた人達なら覚えがあるだろう「クイズショウ」形式で出題される。

今にして思えば2019年から始まった「HELL OR HIGH」と言う旅のタイトルは、難局に打ち当たった際に、黙り込んで沈んでいくか?それとも行動して浮かび上がれるか?のフェーズを指し示していたかの様に思えてならない。何処に飛んで行くは判らないがそれでも確実に矢を放ってSPEED SPECTERのこの旅は幕を下ろす。

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。