Massachusetts Tattoo Convention 2019
「失策」という言葉を使えば上手くいかなかった原因を特定し易いだろうか?SPEED SPECTERが新たなツアー「HELL OR HIGH」として9月から始めた旅のスタートは、恐らく今までのSPEED SPECTERの中でも最悪に近いパフォーマンスで幕を開ける事になった。
「Massachusetts Tattoo Convention」はタトゥーコンベンションという特性もあって“一期一会”なアーティストやカスタマーとの交流も多いが、SPEED SPECTERで高蝶が参加するのは今回で4度目になり、会場には見知ったアーティストのブースやリピーターとなりカスタムメイドをオーダーしているカスタマーも少なく無い。
慣れ親しんだ部分や人付き合いもあり、昨年の参加で最後にするつもりだった高蝶も“ケジメ”として今年も参加する事を決めた「MTC」だったが、「慣れこそが最大の落とし穴」とはよく言ったもので、旅の主軸を日本国内から海外へと移す程に慣れているアメリカ・ボストンへの移動、無駄を最大限に省いた日程の組み方が慣れているからこそ失策となってしまったと言わざるを得ないだろう。この「MTC」に於けるパフォーマンスが如何に最悪だったかは、「SS NEWS」をご覧になって頂くとして、今回はクリエイションに焦点を当ててみたい。
ベースリングを用いてのクリエイションはお馴染みだが、注目したいのは今までの“流れ”を意識してレリーフをスカルプトする表現の中で、異なるレリーフパターンを組み合わせて構築する新しい試みが為されている。高蝶が今回のツアーで念頭に置いている「SPEED SPECTERとしてのクリエイション」が表れての新たな試みなのか?それとも単に最悪なパフォーマンスの最中で起死回生の1手として出てきたモノなのか?
ブランド毎のケースとしてスケジュールを組んで新作をクリエイトしていった前回のツアーとは違い、ブランドに囚われない「HELL OR HIGH」というツアータイトルが意味するところの、「乗るか逸るか」で言えばアクションもクリエイションの内容にしても完全に逸れてしまったイベント「MTC」。「SPEED SPECTERとしてのクリエイション」がハッキリと表れ答を為すには、余りにも状況も体調も良く無かったという事だろう。10月から本格的に始まる「HELL OR HIGH」ツアーではSPEED SPECTERとしての真価が発揮されて欲しいものだ。
「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。