GALLERY MADE COLLECTION #7
自分の中にあるイメージや感情を改まって言語化したり表現しようとすると、元々のイメージや感情とは別の物になってしまう。そんな経験は誰しもが身に覚えがあるのでは無いだろうか?言語化や表現しようとすると最も多く使用されるのは口か手になり、その口や手を動かすには動かす為の信号が必要だ。言語化するならばイメージや感情に合った言葉や表現が必要になり、その為の知識や文章力が問われる。内在させているだけならば曖昧なままだが改まって外に出そうとすると、其処には他者という若しくは自分自身という観測者が存在し査定を受ける事になる。この査定が苦手な人は多い。自分自身にとっては大切な事でも誰かにとっては何でも無い事である場合は多いし、羞恥心や猜疑心は他者からの査定を容易には受け付け無い。故にエコーチェンバーは起こり易く、改まっての話を苦手とする人が多くなる。
-Images and words-
言語化や表現にはそもそも誤解や曲解を伴うもので、内在から外在へと移行する事によって意味は変化する。自分自身のイメージや感情を100%正確に発信できる人は稀である事も伴って、発信された言葉や物には其れ単体での意味や意義が齎されてしまう。こうした現象に対して必要となるのが文脈を読み取る事と、発信した個人の意図を汲み取る事だろう。これは発信した自分自身に対しても必要な事だ。内在から外在へと移り変わった言葉や物を主観性だけで捉えていては伝達は正しく起こらない。結局は何かを誰かに、それが例え自分自身に対してだったとしても伝える為に口や手を動かし表現する。その際の信号はイメージに沿っているか?感情を正確な言葉に置き換えているか?其処に主観性だけで無く他者を考慮する俯瞰性は備わっているか?改まって外在させる為の能力、其れ等を高度に高める事で表現力や技術と呼ばれる。
イメージの強さと言う点に於いて、クリエイターの高蝶は若年の頃から群を抜いていた質だろう。ただ、そこに表現力や技術が追い付いていたかと言うとYESとは言えない。その事は高蝶本人も認めるところで、若年の頃には現在の自分の技術ではイメージの具現化に至らないとして制作されなかったイメージやアイデアは数多い。当然ながら時間や資金の制約によって表現されなかった企画も多いだろうし、ブランドと言うフィールドの問題点もある。リリースされている「GALLERY MADE COLLECTION」を見るに、イメージとして内在してはいたが表現されないままだったLoud Style Designの側面を改めて描いている様にも感じられる。其れは現在の表現力や技術によって具現化されるからこそ意味があるのだろう。
FUSE
シルバーアクセサリーを身に着ける際に、手首周りのアイテムにバングルを選ぶかブレスレットを選ぶか?身に着ける側からすればコーディネートやスタイリングに於ける違いだが、創り手の側からすれば単と連の違い。重ね着けをイメージする事もあるとは言ってもバングルは単独の表現だが、ブレスレットは連結や連続性による表現になる。其々に難しさは異なるにせよ、ブレスレットには連結と連続に対するイメージが固まっていなければならない。単体として素晴らしいピースが出来上がったとしても連結出来なければならないし、連続性による表現を考えなければならないので難しさと面白味が同居する。
「GALLERY MADE COLLECTION」としては初となるブレスレットだが、イメージと技術が融合するポイントとして「FUSE」の様なアイテムがリリースされるのは「GALLERY MADE COLLECTION」の存在意義を大きくする。高蝶が最も配慮したのはいつも通りにサイジングとボリュームに加え、流れがスムーズになりすぎない事。チェーンパートにレリーフを施したパーツとプレーンなパーツの2種類を用いて緩急を齎し、プレーンで流麗なブレスレットよりもフックの効いたアイテムへ。クリップパートはデザインもさる事ながらスイベルのスウィングが特徴的だ。こうした技術が必要な細部を見ると、イメージを具現化するタイミングが現在になった理由が伺えるのではないだろうか。
このブレスレットに使用されているピースはLoud Style Designでの未使用原型やSPEED SPECTERで制作された物では無く、イメージだけが具現化されないまま長い年月を経てのリリース。どちらかと言うとイメージに技術が追い付いた頃には新たなイメージを具現化していて表現するフィールドが無くなっていたパターンだろう。そうした経緯を考えると、創り手で無い側からすればフィールドなど気にせずリリースすれば良さそうに感じてしまう。しかし、残念ながら創り手の側からすれば外在させるフィールドやタイミングが大きな意味を持ってしまうのだから厄介なものだ。
自分の意思や意図を他者に汲み取って貰うには労力を要する。それが言語では無く創作物として経緯を伴うのであれば尚更だ。「GALLERY MADE COLLECTION」はその成り立ちの特殊さから意思や意図に加えて経緯や文脈が多く存在するが、其れは飽く迄も高蝶個人のストーリーであり、其れを伝える為に創作されているのでは無い。「GALLERY MADE」と言う催しとスタイルの拡張性。その面白味を伝達する為に創り出されている。
*「GALLERY MADE COLLECTION」のアイテムは基本的に毎月開催されるGALLERY MADEでの販売のみになります。
開催予定日: 2024 5/4.5 13:00~
1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。
BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more