RUMBLE -REFUSE STYLE- 021

時代性は常に味わっている最中には正確な分析が不可能なものであり、過ぎ去ってから為される検証には正確さがあるものの実際に味わう事は出来ない。所有している事が正義であるかの様に大量生産と大量消費による時代を過ぎ、レンタルやリユース・リサイクルを経てサブスクリプションが主流になって久しい。個人の所有を無くし生産と消費を抑える事で環境への配慮と言う観点では正しく感じられるこうしたサービスは、一見だが合理性を感じさせるものの何かしらの居心地の悪さを覚えてしまうのは、端的に言えば“選択の不自由”による。

古い時代には絵画や本は王族や貴族のみが所有を許され楽器による音楽も一部の支配者階級に許された特権で、聖書は宣教師が口伝によって民衆に広めていき現在では観光名所となっている土地も領主によって占領され、税を納め従順な民衆は一時の褒美や楽しみとしてのみ其れ等の知識や情報を共有出来た。どうだろう?選択の不自由さは所有する事が出来ずに一時だけ共有して楽しむ現在のサブスクリプションに似てはいないだろうか?

勿論、現代社会には先述した様な環境問題に限らず後進国への影響もあり個人所有や消費を増やす事が正しさでは無い。また個人の経済状況は選択の不自由さを生む大きな要因でもある為、サブスクリプションの様なサービスがファッションの世界でも広がっている事(元々、日本に限らず諸外国でも昔から高級ブランドはパーティ用にレンタル等は行っているが)は、選択肢を広げる意味でも悪く無いかの様に感じられはするだろう。

選択肢を考える際、人はどうしても種類に囚われがちだ。種類が少なければ他が見てみたいとなり種類が多過ぎれば選び切れないとなる。こうした我が儘さと曖昧さは誰もが備えている機能なので選択の基準が必要となり、そうした場合に所有している事が大きな基準となってくるだろう。それはつまり“所有出来ている事=身の丈に合っている”と言う事だからだ。そして、ファッションやシルバーアクセサリーを楽しむ上で、身の丈に合っている事は大切なファクターでもある。

新しい服やアクセサリーを身に着けた時に感じる高揚感の中に雑音の様に混じってくる違和感は、自分がその物と過ごした時間が短い事によって起る。新しい会社に入った時でも新しい恋人が出来た時でも始めて食べる料理でも同じ事が起り易い。個人差はあるにしても人は何かに馴染むまでに時間が必要だし、物も人に馴染むまでに時間を要する。共に過ごす時間の中で着けこなしを試し癖を知り良さを理解する事、所有する事の良さはそうした時間を持てる事であり自分のスタイルも物に合う様になっていく事。所有し時間を共有してこそ身に付く、物と事はそうして違和感を無くした物事に至る。それが身の丈にあったファッションの楽しみ方であり格好良いスタイルではないだろうか。

時代性や気分を一時だけ楽しむのならサブスクリプションは優れたサービスだ。ファッションでも映画でも音楽でもそうだろう。では、一時では無い自己のスタイルとは何だろうか?着た事がある観た事がある聴いた事がある程度の知識や情報レベルでは無いスタイルとして楽しむファッションやシルバーアクセサリーとは?そんなスタイルの探究と提案を行うプロジェクト「RUMBLE」は、REFUSE独自のセンスで選択肢を広げるスタイリングで、物と物を語り合う様に共鳴させお届けします。

RUMBLE-21

「自分に似合う物を選ぶ努力をするのか、物に見合う自分になる努力をするのか?」って、二者択一で決めるのって難しくありませんか?その時その時で自分の欲求に合わせて決めてけば良いと思うんですけど、何にしても決める時に欲求の先走りは避けたいかと。ファッション・シルバーアクセサリー好きの人達は、物の魅力に欲求が先走っちゃう事なんて常になってそうなんですけど、大切なのって自分の身の丈に合ったベーシックなスタイルを持っているかどうかなるんじゃないでしょうか。

不思議なもんで物の魅力って自分には合ってなさそうな物なのに人を惹き付けたりしちゃいますから、欲求を先走らせた選択よりも身の丈に合った自分のベーシックなスタイルに新しい物が合うかどうか?で選択していくのも良いかと思います。しかし、そうなるとベーシックなスタイルって何?ってなってきますよね。これには個人の好みと世間との関係性、そしてタイミングやシチュエーションが関わってくるでしょう。

簡単な例えで言うならば、所謂サラリーマンの姿を想像するとスーツにYシャツとネクタイで革靴にビジネスバッグになる人が多いかと思いますが、これはベーシックでは無くスタンダード。ある文化や文脈に於ける標準とか規準的な格好って事ですね。対してベーシックは自分にとっての基本的な格好ですのでスタンダードが外的な要因が強い(マイスタンダードって考え方もありますが)のに対して、ベーシックは自分の体型やアクションに合わせての内的要因が強い感じでしょうか。Sサイズの体型の人にはSサイズがスタンダードとメーカーではされているけど、自分のアクションにはMサイズが合っているからMサイズが自分のベーシック。メーカーによる規準の違いはあるにしても、そんな考え方ですね。

このベーシックがスタイルになってくると少し難しくて、文化や文脈から学び取るスタンダードであれば、そのスタンダードの中に自分が身を置く事で馴染んでくるんですけど、ベーシックなスタイルって意外にコロコロ変わるんですよね。年齢によって自分の趣味も体型も変化して行く場所や会う人も変わりますし、メーカーやブランドも時代性からの影響も受ける訳ですから世に出回る物も変わって選択肢も変化します。そんな中でベーシックとは?と、考えると身の丈に合った気取らないスタイルではないかと。

そんな訳で今回の「RUMBLE」では、気取らないベーシックなスタイルの中でのシルバーアクセサリーを紹介したいのですが、そこはやっぱりREFUSE流の着けこなしとシルバーアクセサリーの際立たせ方なので、引いて観た全身での印象と寄りで観た細部での印象の違いもお楽しみ下さい。

今回のスタイリングで先ず最初に申し上げておきたいのは「カジュアルな白シャツは一枚持っておこう」って事です。別にドレスダウン可能か?に限らず今回使用しているSCHAEFFER’S GARMENT HOTELのシャツの様にカジュアルな着こなしの出来る白シャツでも良いですし、フォーマルなシャツをドレスダウンして着こなす事が出来ればそれでも良いんですが、肩肘張らずにベーシックに着こなしてる白シャツの印象って、気取ったパターンのシャツやブラックの緊張感とは違った安定感を与えてくれるものです。

合わせるパンツはやはりブラックでは無くグレー系のアイテムを合わせたいですね。シャツが白の中でも生成りに近いアイボリー系なのでパンツにもブラックよりもチャコールグレーの様に少し曖昧なカラーを選んだ方が柔らかさが出ますし、こうしたカラーリングの方がシルバーアクセサリーとの融和が上手くいくんじゃないでしょうか。

シャツもパンツもオーバーサイズとまではいかないぐらいに身体に対して少し余裕があるサイジング。特にシャツの方はジャケットに近い感覚でボタンを留めるぐらいの、ゆったりとした着こなしが少しヴィンテージがかったカラーな無地のインナーとも相性が良いです。カラーリングでの柔らかさとサイジングでの余裕感を持たせる事で、引きで観た際のベーシック感は上手く纏まりつつシルバーアクセサリーとも融和して際立ってきますね。

足元は少し主張を強くするのがお勧め。ANOTHER HEAVENによるVANSカスタムのスリッポンはリラックス感の中にピラミッドスタッズのベルトが付いている事で、今回のスタイリングの中でもトータルバランスを引き締めつつ主張を程良くしてくれます。足元ってベーシックなスタイルの中でもバランサーとして特に重要で、人間が立っている状態での目線からすると一番距離が遠いパートなんですが、他のアイテムに比べて素材と形状が明らかに異質になる事が多いので目立つんですよ。ベーシックなスタイルとは言え上半身にアイテムが集まり易いシルバーアクセサリーを軸にするならバランスは上手く取りたい。

ネックレスはシャツの胸元がザックリ空いた着こなしなら長めのチェーンにペンダントのレイヤードで一癖欲しいところじゃないでしょうか。そしてソレは何もペンダントである必要も無い訳で、今回はペンダントとブレスレットのレイヤードで一癖つけています。チェーンブレスレットの良さはこうしたレイヤードでの着けこなしが可能なところでもあり、適度なルーズさが楽しめる点でもあります。輝きを抑えたアンティークな仕上がりのVANITASのアイテム同士を合わせているのでペンダントとブレスレットの融和性も高いですね。

腰回りは左側に一点集中での主張が右手に集中させたリングやバングルとバランスが良くなります。キーチェーンやコインケースは組み合わせ次第で着けこなしが楽しめるアイテムとして活躍してくれるものですが、BAGを持ち歩く事が多い日常ではアクションの邪魔にならない程度に留めておきたくもなりますよね。ウォレットやスマホはBAGに忍ばせておいて腰回りのアイテムを左側に集中させる事で、ベルトの剣先に打たれたスタッズのアクセントと共にサイドからバックスタイルにかけての印象と、手元・足元とのバランスを上手く彩ってくれます。

ベーシックなスタイリングとは言っても、シルバーアクセサリーを軸にしていると謳っているからにはシルバーアクセサリーが最も主張するパートは必要でしょう。今回で言うなら右手指右手首がそうなります。リングの並び着けは片方を縦幅が長いフォルムで片方をナローバンドが綺麗に見えますし納まりが良いです。デザイン的にはシンプルなアイテムとデコラティブなレリーフの物が並ぶと互いの良さを引き立て合ってくれるんじゃないでしょうか。

バングルとブレスレットのレイヤードについては「WELL-BEING」で詳しく解説していますが、抜け感のあるANOTHER HEAVENのバングルに対して合わせるならボリュームは適度でサイジングの大きなチェーンブレスレットがお勧めです。シャツの着こなしやネックレスにしてもそうですが、ルーズさ=ダラシ無さではなく、余裕感やリラックスとして着けこなせるレイヤードがベーシックなスタイルに合わせるシルバーアクセサリーとしては融和性が高くなるかと。

左手小指に着けるリングは単なるトタールバランスでの抑えに感じてしまうかも知れませんが、もし何か1つベーシックでもフォーマルでも拘りの1点で常に身に着けたいアイテムのポイントとしては最適なパートです。平均的には右利きが多い事を鑑みると最もアクションの少ない指でありながら端に位置する事によって1点で主張し易いパートにはアイコニックで少しボリュームのあるリングを選んで頂きたい。

今回はベーシックな服装とシルバーアクセサリーの融和に意識を向けたスタイリングでしたが如何だったでしょうか?今一度、各パートを写真で見て頂きましょう。

シルバーアクセサリーを身に着ける際、服装はブラックを選びがちな人は多いんじゃないでしょうか?確かに、シルバーアクセサリーはブラックとの相性が良いですが、それはシルバーとブラックの互いの主張のコントラストによって生まれる凛とした緊張感や整合性です。言葉を変えるならシルバーアクセサリーを身に着けるフォーマルなカラーリングではないでしょうか?

気取らないベーシックなスタイルが何故、自分にとってベーシックに成り得ているかと言えば、身の丈に合った馴染みの良さだと思います。フォーマルなスタイルは勿論ながら格好良いですが、時代に左右されずベーシックで融和性を持ったスタイルを、一過性でなく長く楽しんでもいきたいものですね。

 

[STYLING ITEM]

ガスステーションツイルシャツ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL¥35,800- Tシャツ:ANOTHER HEAVEN ¥3,800- チノパンツ:ANOTHER HEAVEN ¥16,000- スリッポン スニーカー:ANOTHER HEAVEN CUSTOM SAMPLE クラッチバッグ:VANITAS ONE MAKE ¥65,000-

ペンダント:VANITAS VH-203 ¥23,000- ペンダント横のブレスレット:VANITAS VB-002 ¥38,000- 右手人差指リング:Loud Style Design UR-007 ¥18,000- 右手中指リング:Loud Style Design UR-030 ¥18,000- 右手ブレスレット:ANOTHER HEAVEN AHB-001¥25,000- 右手バングル:ANOTHER HEAVEN AHBG-009¥68,000- 左手小指リング:ANOTHERHEAVEN AHR-015-BS¥17,000- キーチェーン:Loud Style Design UK-012 ¥120,000- コインケース:ANOTHER HEAVEN AHLC-001¥13,000- ベルト:ANOTHER HEAVEN AHBT-001¥38,000-

※表示価格は全て税抜き価格となります

 

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

ONLINE STORE

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more