WELL-BEING ACT:011-02 VANITAS

綺麗に整列する物を見ていると、物単体よりも並びの方に意識が持っていかれてしまい、列や面として捉えてしまう。「ゲシュタルト崩壊」の言葉で語られる現象は、例えば縦書きで「公人」と書かれている文字が「ハム人」と知覚してしまう事等で知られています。その逆に、ただ並んでいるだけでパターン認識によって別の意味や構成として認識してしまう「プレグナンツの法則」が挙げられますね。普段から私達は生活の中でも何かと一括りにしてパターンを導き出そうとしたり、点と点を結んで何かしらの意味を見出そうと補完して理解する現象が起きます。

想像力が優れているのか、かなりファンタジックな脳の働きをしているんだかは謎ですが、昔の人が考え出した星座なんかその最たるものですね。小説なんかでも「行間を読む」みたいな言葉があるように、点と点の間、線から線や整列で連なる隙間と、私達は日頃から空白に対して何かを感じる様です。そうやって考えてみると、人と物との距離や物と物との距離にも、何かを思わせる適切な空白が存在している事に納得がいくんではないでしょうか?

人体というのは個人個人で大きく差があるもので、例えばネックレスとリングの距離に対して、どんなサイジングとボリュームのデザインなら空白が上手く活かせるのか?其れも個人個人で変化してくる訳です。シルバーアクセサリーだけに限らずアパレルアイテムとのコーディネートでも適切な距離、空白を活かせなくなる不適切な距離があるんだと思います。例えばシルバーアクセサリーが適切な距離で身に着けられていれば全身のコーディネートが上手くいくか?と言えばそうとは限りません。適切な距離を見つけ出すのは難しくもありますが、常に考え続けられる楽しみがあるのがファッションの良いところですね。

人と物、物と物の適切な距離によって身に着ける楽しさのコンディションが変化する。人にとっても物にとっても満足のいくコンディションを探究しながらシルバーアクセサリーの可能性を広げるプロジェクト「WELL-BEING」。ブランドやアイテムカテゴリー・ボディパーツ毎に基本や応用となる着けこなしを紹介し、身に着ける楽しみとコンディションは何処から来るのかを検証するコーディネートやスタイリングを提案。シルバーアクセサリーとのWELL-BEINGな距離、関係性の面白さをご覧下さい。

Act:011 VANITAS Bangle 02

仲の良い友人の友人と接する時って、少しもどかしい気持ちになったりしませんか?即座に気の会う人と言うのもいたりしますけど、相手に柔軟性が無いと何て言うか距離感が掴みづらい感じがしたりして気疲れしちゃったり。これって要するに馴染みの問題なんですよね。共通の趣味だとか世代感があっても馴染みが無いと距離を測りかねる。適切な距離を見出すのに少しの精神的疲労が出てくるからです。対人であると相手の出方を探る様な心理状態にもなってしまいますが、シルバーアクセサリーの場合はもっと単純に判り易いですね。金属であるが為にアパレルアイテムよりも柔軟性が無く、ピンポイントで加重が掛かるので皮膚へのストレスがありアクションへの影響も大きい。着け慣れていないと馴染むのに少し時間を要するんじゃないでしょうか。

リングやバングルの様にアクションに合わせて形状を変化させてくれないアイテムでは着け馴染みが特に重要になってくるのは当然の前提。では、アイテム同士。特にアパレルアイテムとシルバーアクセサリーの馴染み具合は、着けこなしている時間以上に距離が関係しているんじゃないだろうか?と、言う事で前回の「WELL-BEING」に引き続きお送りするのは、バングルの着けこなしと見え方の違い。Tシャツ1枚で出掛けるには少し肌寒さを感じ、シャツを羽織ると出歩いてて暑さを感じる事もある季節に向けて、同じバングルでもTシャツとシャツでは見え方や着けこなしはどう変化するのか?を比較・検証してみたいと思います。

前提条件は前回と同じく検証の為にバングル以外のアイテムを統一していますので留意しておいて下さい。Tシャツとワークシャツに加えてキャップは全てANOTHER HEAVENのアイテム。ネックレスはデザイン的にデコラティブなクロスペンダントを60cmのネックチェーンで合わせ、スカルリングを親指に着けるコーディネート。検証するバングルのボリュームによって他のアイテムとの親和性も変化しますので、アパレルアイテムとのコンディションの良さも考えながらご覧になって下さい。

 

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着け慣れていないアイテムを選ぶ際に、先ずは小さい物や細い物からと言うのはよくある事。確かにサイジングやボリュームで悩んだ時には主張や印象が強いヘヴィな物よりも着けこなし易そうな物からがセオリーではあります。ですが、ここで注意したいのは単品で着けこなし易そうな物が他のアイテムとも馴染みが良いか?と言う点。そして他のアイテムに対して浮かない着けこなし方を選ぶ事でしょう。このバングルの様に細身でありデザインバランスの中心が少しサイドにズラされている場合はシャツの袖口から少し距離が開くぐらいのサイジングで着けこなしてみるのはどうでしょう?袖口からバングル迄のちょっとした空白がバングルをより印象的にしてくれます。

手首周りのアイテムとしてブレスレットとバングルでは自由度の高さが違いとして挙るでしょう。特に細身のアイテムとなるとチェーンタイプのブレスレットに対して、バングルはフォルムがプレーンであっても動きの自由度が低い事からシャープな印象を大きくします。そのシャープな印象がバングルの良さでもあるんですが、ここでバングルとリングの距離が重要になってきますね。特にTシャツに対しての着けこなしの場合は袖口からバングル迄の距離の方が遠いだけに顕著です。バングル自体のバランスに対してリングのサイジングやボリュームにも着目してコーディネートしてみて下さい。

 

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デザイン性。特にバングルに於いてフォルムにも影響が大きくなるデザインの場合は手首周りでの印象は強くなりますね。この印象の強さを軽減させる意味ではシャツの袖口とバングルとの位置関係が程良くなりますし、袖口を開いての場合でもバングル全体に対してはケープの様な役割になってくれます。着けこなすサイジングとしてはタイト目な方が袖口との距離をコントロールし易いですし、バングル自体の主張を上手く活かしながら印象を変化させたいならシャツとの合わせで楽しんでみるのも良いんじゃないでしょうか?

トップをTシャツ1枚でと言うのはシルバーアクセサリーのコーディネートの良し悪しが一番露見しますね。シンプルにしてディープな上半身の着けこなしはペンダントのサイズと位置、リングのボリュームとデザイン、そして手首周りのアイテム選びと3つの課題になるかと。バングルとしてはミドルサイズになるこのバングルは、捻りを加えた特徴的なフォルムに動きのある小さなリングを3つ備えている特徴的なデザイン。Tシャツの袖口からの距離で考えると肌が広く露出しているだけに主張が強くなってしまいがちになりますが、ここでペンダントとリングが適切な位置やデザインであるかどうかが問われてきます。要するに3アイテムの整合性が活きてくるのがTシャツでのコーディネート。バングルだけを悪目立ちさせないバランスを心掛けて頂きたいところです。

 

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プレーンでセンターに印象的なパーツが備えられたバングルって意外とコーディネートは難しいんですよ。和製インディアンジュエリーでよく目にする様なストレートなフォルムのセンターにゴールドで小さなメダルが付いたタイプならそうでも無いんですけどね。手首って絶対に左右が非対称な形状なので、このバングルの様にベースとなるバングルのカットがエッジーなフォルムでセンター軸を強調していると、アイテムの主張を馴染ませるのに他アイテムとの相性が重要になってくる。その点で見た際にシャツを羽織って馴染みを良くさせるのはお勧めです。袖口のカットから覗く感じがプレーンな金属部分と相俟ってセクシーに演出してくれますね。

Tシャツ1枚で上半身をコーディネートする際。先述した様に手首周りのアイテムと他のシルバーアクセサリーとのバランスは特に重要になります。その中でも相性を最も気にしなければならないのは、やっぱりバングルと一番距離が近くなるリングでしょう。このバングルとスカルリングの相性については以前にも「WELL-BEING」で紹介していますが、その時にはスカルリングを小指に着けてシャツのコーディネートでのバランスでした。今回はTシャツに対してスカルリングもボリュームがあるタイプなので親指に着けるコーディネート。バングルが際立ち易いTシャツでの着けこなしで、センター軸が強調されるデザインのバングル。となると、リングをサイドに備える為に親指に着けてセンター軸の主張を上手く相殺するのが、バングルをベターに馴染ませてくれます。

 

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主張や印象の抑え方や程良さの方向でコーディネートを紹介してきていますが、逆に手首周りでガッチリ主張したくなるのもシルバーアクセサリー好きの常。そんな訳で今回紹介しているバングル3アイテムを重ね着けしてみると、どんな印象になるのか?はやってみたいところですよね。フォルムやデザインもありますけどバングル同士の並びで生じる空白は魅力的。ただ、シャツに対してとなると袖口で見え隠れするだけに幾分か主張に中途半端さを感じてしまわなくも無いのが惜しいところ。

Tシャツでのコーディネートの方は、これは夏場に手首周りで主張したいならやってみたくなる着けこなしじゃないでしょうか?バングル同士のデザインが上手く噛み合っての並びと空白は、Tシャツの袖口から手首迄の距離でも収まりが良いですし、レイヤードの中でも適度な抜け感が楽しめます。綺麗な並びで整うストレートなバングルのレイヤードによる一体感とは違って、癖の強い親和性ではありますが、シルバーアクセサリー好きとして主張を楽しむなら試してみて頂きたいコーディネートです。

 

と、言ったところで今回のコーディネートによるバングルのコンディションを一気に見ながら比較してみて頂きましょう。どれが良い悪いと言うよりも、自分にとってどれが好みか?どれが自分に合っているか?の参考にしてみて下さい。

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距離をどうするか?は何事に於いても重要になってきて、ポイントとポイントをどう結ぶか?どのポイントとどのポイントを結ぶか?で捉え方も変化してきます。コーディネートやスタイリングを考えていく際、常に課題として出てくるバランス。それはアイテムだけの事では無く、アイテム同士の距離と其処に生じる空白によっても決まってくるのだと捉えてみると、また新たな視点と楽しみ方が出てくるんではないでしょうか?

バングルを主体に他のアイテムとの距離や空白に着目して前後編でお送りした「WELL-BEING」は如何だったでしょうか?(ここのところ長くなり過ぎるんで前後編に別けてばっかりですが)着けこなし方で変化するアイテムのコンディションの検証をご覧頂きながら、皆さんが日々のコーディネートやスタイリングを楽しむ一助として頂けたなら幸いです。

 

[STYLING ITEM]

ネックレス:VH-206・VANITAS Chain ¥65,000- 右手親指リング:VR-022 ¥32,000-

右手バングル:VBG-002 ¥28,000- VBG-003 ¥45,000- VBG-006¥48,000-

(全てVANITAS)

*バングルは着用順の表記となり、表記の金額は全て税別価格となります。

キャップ:¥6,800-  ワークシャツ:¥23,000- Tシャツ:¥3,800-

(全てANOTHER HEAVEN)

ご紹介をさせて頂いた作品はGALLERY REFUSE・GARAGE REFUSEにて展示販売をしております。

作品を手に取り、ご試着が可能となりますので、ご興味があるお客様はぜひともご来店ください。

GALLERY REFUSE 東京都江東区森下1-13-11 TEL:03-5600-1972
GARAGE REFUSE 東京都江東区森下1-11-7 TEL:03-6240-2972

またONLINE STOREでもご購入が可能となりますので、是非ともご閲覧ください

宜しくお願い申し上げます。

ONLINE STORE

 

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

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