STRANGE FREAK DESIGNS -Hybrid Theory-

新作のリリースに合わせてツアーを行う、今では当然の様に行うクリエイターが増え、もはや一つのセオリーとして定着した感のあるシルバーアクセサリーブランドによるツアー。そんな現在のシルバーアクセサリー業界を、10年以上ツアーを行っているSFDの古谷尚人はどう捉えているのだろうか?新作を携え3Dプリンターを取り入れる事によって確立される自身のブランドによるツアーに対するセオリーとは。(古谷尚人の過去のインタビューはコチラ VOL:01  VOL:02 )

STRANGE FREAK DESIGNS

ー早速ですが、ツアーのスケジュールから聞かせて下さい。今年は本数を絞ってのツアーになるそうですが。

古谷:今年はかなり少なくしてますね。ウチ(SILVER GEEKS)を除くと国内を3箇所とツアー後の9月に上海でイベントをやるスケジュールになります。

ーツアーの本数を減らしているのは意図的なものなんでしょうか?

古谷:ビジネス的な側面もありますが、数年前から比べると業界の状況もかなり変化してきていて、意図的に本数を減らしていく感じになりましたね。それはブランドの現状や自分のモチベーションとのバランスを良くしたいという意味で。

ーツアーという形式でイベントをやるようになって長いと思いますが、ツアーでやっている事の意味の変化もあるんでしょうね。

古谷:ツアー形式で始めてから10年は超えてますね。初めて人前でメイキングする頃から考えると15年ぐらいになりますが、業界の変化も相俟って試行錯誤は続けてます。ただ、ツアーだからという事でコンセプトを設ける感じでは無くなりました。

3Dプリンターを導入した事もあって、ファンサービスと言うかプロモーションの部分は大きくなってきたし。昔はツアーにタイトルを設けてイベント内容や企画なんかを決め込んでだったんですが、そうしたアクションは落ち着いてきて、新作を紹介しながらカスタムなんかをPCモニターを持ち込みつつ3Dのテクニックで対応する感じに移行してます。

ーなるほど。ある意味、ツアーというのは形骸化していて外に出てのプロジェクトという事ですかね。

古谷:ミュージシャンとかで例えると、衝動的なアクションやライブツアーというよりは、一つのプロジェクトやプロモーションになってますね。ミュージシャンがアルバムをリリースして新曲披露しながらのプロモーションツアーとでも言うか。

ーその形式がシルバーアクセサリー業界では一般化してきてますよね。ライブクリエイションというよりは、新作を用意してワンメイクやカスタムのメイキングというセオリー。

古谷:うん。それがバランスの取れた状態なんだと僕は思います。ビジネスという言葉を使ってますが、結局は手にするお客さんの事を考えてのイベントに自分のやりたい事をどう組み込むか?になってくると思っているので。

ー上海でのイベントも控えてますが、東南アジアでのアクションはどう捉えてますか?

古谷:何が可能か?という部分はこれから相談しつつ組み立てていくんですが、ビジネスパフォーマンスの必要はありつつも創り手としての意地は張って来ようかなと思ってます。イベント一つやるにしてもSHOPさんの都合だったりビジネス面での期待があるのは海外でも変わらないので、そう言ったハードルをクリアしていかなければならないし。

ー創り手としては100m走で勝負したいのに110mハードル走を強いられてしまう様な感覚なんでしょうね。外に出てのアクションだからこその楽しみもあるけれど、同時に苦労も超えていかなければならない義務もあるでしょうし。

古谷:プロモーションとしてのウェイトが重いのは当然だしブランドとしての義務でもあると思ってますが、その中でも自分ならではのユニークな何かを出していきたいし、他がやっている特色を真似する様な事はしたくないですね。

これだけシルバーアクセサリー業界でイベントやツアーを行うブランドが増えてくると、先程の話にあった様なライブクリエイションでは無いメイキングだったりと、ある種ブランド毎にイベントでのセオリーが出来上がってると思うんですよ。そのセオリーに独自性を持たせるという事ですか?

古谷:そう。ビジネス面はビジネス面で理解しつつも、こちらが出していきたい独自性はキープさせて貰えるように進めていかなきゃならない。それにはSHOPさんとの相性も大きく作用してきますけど。

もしも独自性がキープ出来ないならツアーをやるよりも、ひっそりと物創りしてたい欲求もありますし。ツアーを毎年やっていると、新作のタイミングなんかも決め易くて良いんですけど、物創りで実験してたい時間は削られていってしまうので。自分のセオリーと相性の良いSHOPさんでスケジュールを組んでる感はあります。

ー相性の話で、SHOPを“港”だとしてブランドを“船”に例えると、古谷さんの運営する「SILVER GEEKS」には偏ったカラーの船が集まってるのは相性ですかね。

古谷:SHOPが港だとしたら、偏った港があっても良いかなと思うんです。勿論その中でもブランドという船との相性はありますし、クオリティの面で港に入港出来る船じゃなくちゃいけないと思うんですよ。イベントで独自性を持ったセオリーを発揮するにも、そこは必ずクリアしなきゃならないハードルだろうし。

ー「SILVER GEEKS」だけでは派生しない、ツアーで外のSHOPに行く事で生まれてくる新しいセオリーもありそうですが。

古谷:SHOPさん毎にカラーがある訳だから先ずハードルを超えて入港出来るかどうかですよね。超えるにしても色々な方法が必要になって、そこから相性の良さで自分のセオリーが発揮出来るかどうか。結局はビジネスやプロモーションの装いで面白いレスポンスを求めてる部分があるんでしょうね。

 

SILVER GEEKS: https://www.stfreak.com/geeks/

STRANGE FREAK DESIGNS: https://www.stfreak.com/

 

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