BATTLE HISTORY
2016年に始まった、SPEED SPECTERの一環としてのイベント「SOLID, BATTLE FIELD」その闘いの歴史の中で、クリエイターの高蝶が対戦した相手は2016年の夏に行われたシルバーアクセサリー業界のイベント「FUEL」も含めれば10名になる。
F.A.L、STRANGE FREAK DESIGNS、MAD CULT、Dual Flow、RAT RACE、TAUJAN、Ability Normal、Mad Grafitti、Legio Made、LAST(2017年までの対戦順、2018年は過去に対戦歴があるため省略)と、ブランド名を挙げてみても各々がブランドとして単独でイベントを行っているクリエイター、つまり高蝶が言うところの実戦型の創り手との対戦が繰り返されていた。今回は、このバトルの歴史を一部のアイテム写真と共に外側の視点から振り返ってみるとしよう。
SPEED SPECTERという旅の中で行われてきた「SOLID, BATTLE FIELD」そして2016年に行われたシルバーアクセサリーイベント「FUEL」でのクリエイションバトルは、内容にSOLIDルールとFUELルールとでの違いは在ったものの、ライブクリエイションが出来るシルバーアクセサリークリエイター同士が火花を散らす様な白熱したバトルを展開する画期的なイベントだった。
“だった”と、過去形にしてしまうのは気が早いかも知れない。SPEED SPECTERのツアーはまだ継続中だし、ルールは違えど他のブランドがバトル形式のイベントを行わないとは言い切れない。しかし、SPEED SPECTERとしての旅を続けるクリエイターの高蝶は「もう、闘う相手がいない」と、ライブクリエイションでやり合える相手を探す事を諦めている様子だし、(実際、SPEED SPECTERでのバトルは三年目には新しい相手がいなかった)シルバーアクセサリーイベントとしての「FUEL」は再び行われる可能性も低そうだ。
となると他のブランドがイベントを行う際の可能性が残されるが、もしバトル形式もしくはリレーション形式のクリエイションイベントが行われるにしても、地金からスタートするSOLIDルールでの可能性は低く、事前の仕込み有りきでのFUELルールに近い内容によってという事になるだろう。
これはシルバーアクセサリー業界に対しての悲観的な意見や現状への批難という事では無く、1ラウンドを50分としラウンド毎に10分のインターバルを挟んだ4ラウンドで地金をベースに行うバトル形式のクリエイションが、ルールとしても内容としても多くのクリエイターに向いていないと言うだけの話だし、SOLID, BATTLE FIELDというイベントが業界にとっての特異点の様なモノだったという事なのだろう。
他者を認めつつ尊敬はしていてもクリエイターの根底には「自分のクリエイションが一番」という自尊心が必要である以上は、技量を打つけ合い実力の露呈するバトルという形式自体が向いていないのかも知れない。勝敗を決する事では無くただ技量を打つけ合いクリエイションを成す事が目的であるのがSOLID, BATTLE FIELDではあったが、普段から馴染んではいない地金からのバトルスタートは不向きなクリエイターも少なく無かっただろうし、(何であろうが構わず闘っていたのはRAT GJO氏ぐらいだろうか)1ラウンドが50分というスピードが求められるクリエイションが足枷になるという点も大きかったと思われる。
そうであっても、SOLID, BATTLE FIELDというクリエイションバトルは、見る側にとっては他で見る事の出来ないイベントで、想定外の展開でアイテムが披露される内容だったし、技量を打つけ合うクリエイターのアイデアとテクニックを普段とは違う視点で楽しむ事の出来るイベントだった。その点に於いては他に類を見ないタイプのやはり特異点的な面白さが存在していたと思う。
この先もSOLID, BATTLE FIELDが行われるかどうかは判らない。無理に行う事は可能だろうが技量が合わな過ぎればバトル自体が成立しない(クリエイションが完成に至らない)と言うのもSOLIDルールの特徴の一つである以上は、SPEED SPECTERで新しい相手を捜す事は難しいと言わざるを得ないし、以前に挑戦者を募った際にも驚く程チャレンジするクリエイターが少なかった事を考え合わせれば、やはり過去形で語るしか無さそうだ。こうした現状を打破する手段というよりも、打破しようという気持ちがSPEED SPECTERで新たなフェーズに突入している高蝶にはあるのかどうかがポイントになりそうだが、カタチを変える事になってでも続いて欲しいと思わせる内容のイベント、それがSOLID, BATTLE FIELDだった。
人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?
新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
物を創るという行動、その為に必要とされる刺激を表現する事で、誰かが行動する為の燃料になる様に、クリエイティブの現場をフォーカスし、そこに携わる様々な事象や場所・人達を幅広くお伝えしていきます。