Dual Flow at SILVER GEEKS EVENT REPORT

先週のインタビュー(5th GENERATION’S MOVEMENT)でもお伝えした様に「Dual Flow」杉山氏によるイベントが6月日に「SILVER GEEKS」で行われた。「Dual Flow」にとっては新作リリースを伴ってのイベントであり、年末まで国内外を行き来して続くマンスリーなイベントの一環でもあるが、ブランド歴も10年を超えての手慣れた感じと言うべきか、それとも「SILVER GEEKS」というSHOPとそこに集う人達の持つ空気によるものだろうか?張り詰めた緊張感では無く緩やかにイベントが始まり、杉山氏は自然と制作に没入していく。

創り手が制作に没入する様を観ながらディスプレイされた新作を楽しめるのが、こうしたイベントの良さでもあり普段のSHOPに流れている空気感とは違う、何か異質な空気を感じながらも物創りと言う実態がリアルに垣間見れる素晴らしさでもある。無論、新作のクオリティをじっくり楽しむのならば普段のSHOPの状態がベストな事には違いないが、異質さの中でこそ見えてくる部分や感じ取れる事が在るのも確かだ。

事前に用意した幾つかのピースを掛け合わせる事で構築するワンメイクという、言わば“イベントに於ける定石”となる内容は創り手の個性が試される制作でもある。レギュラーアイテムで個性を発揮する事はブランドを動かす創り手としては当然の事だが、こうしたイベントでワンメイクの制作となると“組み合わせの妙味”の様な、その創り手ならではの一時だけの構築が求められる。

勿論、創り手によって定番的な組み合わせ方やセオリーがあり、キラーアイテムの様なモチーフ使いもあることだろう。しかし、ライブである以上は予定調和な部分があったにしても、その場限りである事の高揚感は常に存在するし、「Dual Flow」の様に細密な彫刻や造形ともなれば組み合わせ方を誤れば“妙味”は“雑味”に変わってしまう難しさがある。

手慣れたと言うのは余裕を生み出すが、集中力を欠く事では無い。幾通りもの構築へのベクトルから取捨選択しつつ手を動かし、最適のバランスや最適の技法をアイテムが完成するベクトルに沿わせていく。ライブでの彫金には、細密な造形や彫刻の技術よりも寧ろ、こうしたベクトルを掴み取るセンスが必要だ。

“その瞬間を掴む”それがライブである事の最大の魅力であり最も難しい事でもある。緩やかな空気であれ緊張感が漂う中であれ、掴む為の集中力と高揚感によって完成へと至るアイテム。その魅力は、是非とも現場で味わってみて欲しい。

 

Dual Flow: http://www.dual-flow.com/catalog/

取材協力:SILVER GEEKS: https://www.stfreak.com/geeks/

 

人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?

新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
物を創るという行動、その為に必要とされる刺激を表現する事で、誰かが行動する為の燃料になる様に、クリエイティブの現場をフォーカスし、そこに携わる様々な事象や場所・人達を幅広くお伝えしていきます。