Arts based on tempo –新たなテーマに挑んだMad Graffiti–

不可逆にして誰もが避ける事の出来ない軸である「時間」をテーマにする事で、“絶対”という存在し得ない概念へと挑んだ「Mad Graffiti」の新作は、時計の文字盤表記でも一般的な十二進法に従って並ぶローマ数字をモチーフに、抗えない“時の螺旋”を様々なアイテムに落とし込んで表現した意欲的なアイテムが並ぶ事となった。

x,y,zの三つの軸で表される三次元的な存在である私達の認識している世界が生命活動を行い進んでいくには、時間という軸の存在が必要不可欠となり避け得ない不可逆性を誰もが体感している事だろう。この絶対的である時間を最も判り易く一般的に表記したのが時計だという事も誰もが体感しているだろうが、造形物として時間を表現する事は難しく、それだけに神や生死と並んで表現者にとっては挑み甲斐のあるテーマでもある。

以前の記事 「加速するシルバーアクセサリー業界のイベント」https://wp.me/pa0YYY-fQ にも登場して頂いたMad Graffitiのクリエイター:憂の描き出した“時の螺旋”は、繰り返しながら何処かへと向う時間を俯瞰で見るかの様な構図が印象的だ。「もう同じモチーフを彫りたく無くなったぐらい」と憂が語っていた程、病的にローマ数字を様々なフォルムに刻み続ける事でブランドの新たな顔を誕生させた。

新作の発表を兼ねてのインストアイベントとして「F.A.L TOKYO」で行われたライブクリエイションでは、さっそく新作を用いてのワンメイクの制作が披露され、新作のアイテム数の多さと相俟って楽しみと可能性に満ちた空気感が、Mad Graffitiというブランドの現在を象徴しているかのようだった。

テーマに対して納得いく表現に至るまでデザイン画を描き続け、新たな造形に取り掛かる自分とのファーストコンタクト。その時間が濃密であればある程、アイデアは広がり可能性が増していく事がある。クリエイター自身も抗えないかの様に、その螺旋と流れに飲み込まれながら刻み続けた時間の濃密さは、新たなアイテム達を輝かせ更なるブランドの飛躍へと向うだろう。

*今回紹介させて頂いた新作の展示を含めたツアースケジュールが組まれておりますので、詳しくはMad Graffiti オフィシャルHPにてご確認下さい。

Mad Graffiti: http://www.mad-gr.com/

人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?

新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
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