RELOAD THE REMAIN
“常識は異端を解体し模倣する”今でこそ共産主義者の聖書の様に語られるマルクスの「資本論」だが、貧困に喘いだ暮らしの中で著書が認められる事も無い哲学者として生涯を閉じている。
レーニンがロシアで革命を成功させた1917年。その背景にはマルクスの思想を核とした共産主義が存在していたが、第二次世界大戦以降の世界ではソビエト連邦的な社会腐敗と共産主義の恐怖として見られている向きもあり、マルクスが訴えていた人類救済は「資本論」の初版から150年以上が経過した現在も成されていない。
2008年にLoud Style Designがシルバーアクセサリー専門誌上でスタートさせた企画の異端さは、業界にとって明らかな常識外れであったし読者側にとっても理解の範疇を超え、受け入れ難い表現であるとされる事の方が多かった。
総称として「REMAIN」とされた企画は、1997年にリリースされたMETALLICAのアルバム「RELOAD」のトラックに準えたタイトルが付けられ、約5年間を掛けて遂行されている。
シルバーアクセサリーにとってのステージが、身に着けられる人体である事を第一としブランドの世界観を含めてスタイリングしたトータルコーディネイト企画を行ってきたLoud Style Designが、同時期に進めていた「REMAIN」ではシルバーアクセサリーその物がスタイリングされ、クリエイターである高蝶智樹の世界をステージとして写し出されていた。
当然ながら「REMAIN」は“ウケなかった”ようだ。それまでの、クリエイターとして誌面に登場しスタイルを見せフィロソフィーを語る表現方法は、既に“常識的な”他ブランドや出版者によって解体されビジネスとしての模倣が成されていたが、完了してから5年近くが経つ2018年現在も「REMAIN」の模倣が行われていない事実を鑑みると、企画として如何に異端であったかが伺える。
一貫してカメラマンにスケガワケンイチ、ディレクターを高蝶智樹が担当して行われた異端過ぎる企画だった「REMAIN」だが、この表現方法が後に写真家の鈴木嘉樹と組んでの「SKULLS」へと繋がり、高蝶個人がSPEED SPECTERのWEB SITEで行っている「REMAIN」へと繋がっていった事は、異端過ぎるが故に自然な流れだったのかも知れない。
異端で在るが為に常識に解体され模倣される。異端過ぎるがために理解を得られずに焼かれる。歴史の中で異端とされる者は常識と戦う事を余儀なくされ続ける。
それでも、Loud Style Designとしての異端過ぎる「REMAIN」を何処かで表現される日を待っている。
人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?
新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
物を創るという行動、その為に必要とされる刺激を表現する事で、誰かが行動する為の燃料になる様に、クリエイティブの現場をフォーカスし、そこに携わる様々な事象や場所・人達を幅広くお伝えしていきます。