DIGRESS take06

多くの事柄がその全てに於いてでは無く一部を固定化して繰り返す必要を持つ理由は、記憶として定着させる事によって受け入れる事の容易さを担保する為である。真新しさは新鮮な感覚を与えてくれはするが、何処かしらに居心地の悪さや解釈のし難さを齎してしまうものだし、受け入れようとはしても必ず何らかの衝突は避けられない。それがどんなに些細な物であっても急速な変化に付いていき受け入れられる程には、人間の精神や肉体は優れてはいないのが現実だ。

緩やかな変化と言う事が出来ない速度で生活や行動を制限させられる事になった2020年からの一年間で、当然ながらファッションやシルバーアクセサリーの業界も変化を余儀なくされてきた訳だが、其れはSPEED SPECTERにとっても同じ事であり、寧ろ「旅」を主軸にしてイベントを行う事で存在するSPEED SPECTERにとっては、変化か停止かの選択を迫られる事でもあった。

結果としてSPEED SPECTERとしての選択が、脇道へ逸れる事で違う何かを見つけ出すと言う、変化とも停止とも言えるライブ配信でのイベントとなった事はご存知の通りではあるが、この繰り返しが何処へ向かうのか?は未だに出ていない答だろう。それとも最初から「何か」に対する答など存在していなくて、繰り返す中で派生するのを待っているだけなのかも知れない。とも思えてくる。

「5回までは確認」とは、クリエイターである高蝶がよく口にする言葉だが、既にtake05までのライブ配信によるイベントを終えていて、修練の為に高蝶が個人で行うライブ配信は幾度と無く繰り返されてきた中でのtake06。「どの道ヤル事は一緒だ」と言うのがSPEED SPECTERらしい繰り返しだと受け取りつつも、必要性の部分に対しては少し懐疑的にならざるを得ない。

旅をする事も出来ず、創る事は日常であるなら、何の為にSPEED SPECTERのイベントをライブ配信で行うのか?現状のやり方が利益を得る為のビジネス的に正解だとは到底思えないし、PRに於いてもある種のクローズドであるライブ配信では労力対効果が得られるとは考え難い。

ここで思うのが、「反復と反芻による記憶の定着」と「創作に於ける享楽」に付いて、そしてSNSが持つ「時間の広域的な共有性」と言う特徴が交わる点だ。其れ等を過去5回に渡るライブ配信によって確認した上でSPEED SPECTERがtake06を行うのは、既に何かが派生した実感が有るからなのか?それともまだ探しているからなのか?実際に行われるクリエイションやイベント自体を主観的でなく俯瞰的に眺めるなら、そんなところがtake06の見所でもあるだろう。最も、そんな見所を考えながら答を出すよりも速いスピードでクリエイションが完了してしまうのだろうが。

 

SPEED SPECTER CASE: DIGRESS take06

2021 4.17 21:00~ LIVE STREAMING on HEAT INSTAGRAM

HEAT Instagram:https://www.instagram.com/heat_info

本イベントはインスタグラムのライブ配信を利用して行われます。

ご視聴希望の方はインスタグラムのHEATアカウントをフォローして頂き配信をお楽しみ下さい。

尚、ライブストリーミングの機能上、配信のタイムラグや中断が起こる事をご了承下さい。

 

「何処かへ行き、何かを創る」 そのシンプルなコンセプトを軸に、クリエイター高蝶智樹が行うライブクリエイションツアー。
Loud Style Design、VANITAS、ANOTHER HEAVENといった自身が携わるブランドのスタイルや技術を用いるだけでなく、インプロヴィゼーションによってクリエイションを行うライブでは、日頃の創作活動では用いられる事の少ない技術や加工法が繰り出される事も多く、単なるライブクリエイションとは一線を画すものとなっている。
2008年のスタートから10年以上を経過し、コンヴェンションやエキシヴィジョンでの展開、対戦形式で行われるクリエイションバトル等、ツアーのコンテンツに多様化を齎しながらも、「何処かへ行き、何かを創る」というシンプルなコンセプトは変わる事無く旅は続いている。