RUMBLE -REFUSE STYLE- 025
必要性と嗜好性では多くの場合に必要性に比重が傾く。一般的な生活を例にするまでも無く衣食住の中では生命活動を維持する為の食や住が優先され、三大欲と呼ばれる根源的な欲求に依れば、個人差はあれどもやはり睡眠や性交渉の場所や空間、健康を左右し易い食事の有無や栄養素が必要性の高さを誇る。
さて、衣食住と言われる中でも身を守り防寒や倫理観に依る社会活動と相俟って必要性を生じさせる衣の進化、すなわちファッションが人に訴えかけるのは必要性に次いで嗜好性の部分が大きい。
1つ例としてこの20年で最も勢力を伸ばした衣類品企業であるファーストリテイリングを挙げてみよう。ファーストリテイリングよりも、ユニクロと言った方が馴染みの深い企業だが、ユニクロが勢力を伸ばしたのは嗜好性では無く必要性に訴えかける展開を行ったからに他ならない。防寒や社会活動上の必要性で見れば、一部の上流階級や特殊な集まりを除いてデザイン性の高さも高機能や高品質も必要性を持たない。逆に求められるのはデザイン性の敷居が低く低価格でも低品質にならない物。つまり、必要性に特化すればファッションは其れで良い。を、体現して成功を収めたのがユニクロという事になる。
不況に喘ぐ事の多い近年では、ユニクロの持つ無個性さもまた時代と上手くマッチした事もあって更に企業としての飛躍を見せている。それが果たしてファッションとして捉えた時に是か非か?の判断は個人個人で見解も異なるだろうが、1つ言えるとするならば企業としてでは無くファッションとしては「ツマラナイ」に尽きる。そう、生活や社会活動上の必要性の為に必要最低限な物を購入しそのまま使用するのは「ツマラナイ」のだ。衣食住を必要性以上に高めようとする事で文化やデザインは発展し、人もまた新たな楽しみを見出してきた。其処には当然、メカニズムやテクノロジーの進化とシステムの増長も影響と悪影響の両方を持ち合わせて浸透する事になるのだが。話が長くなり過ぎるので、そう言った話は何かの機会へと見送る事にして、ファッションとシルバーアクセサリーの話へ移ろう。
今更述べる迄も無く、生活や社会活動上の必要性ではシルバーアクセサリーやジュエリーは群を抜いて低い。それでも手に入れて身に着けたいと思うのは、多くが個人の趣味趣向によるものだろう。そして其の趣味趣向に合わせて選択し手にする事もまた、個人の精神にとっては必要であるとしてきた筈だ。そうした精神は時代性や経済の影響はあるにしても、人類史を通して人は「着飾る」事を楽しみ文化としてきた。必要性のみで手にする「ツマラナイ」で満足する事を大袈裟に述べるならば、そうした文化に対する冒涜でもある。
ファッションやシルバーアクセサリーを楽しむ事を形容して「着飾る」とは読んで字の如く着て飾るからこそで、物をただ着ているだけ着けているだけでは、着れてはいても飾れてはいない。着れている着けれているソレだけで、本当に物の魅力を楽しんでいると言えるのだろうか?趣味趣向によって必要だからと自分にとっての必要性で手に入れた物を、考えも無しに身に着けているだけでは必要性の域を出ていない。それでは必要性だけの「ツマラナイ」と変わらない。物の魅力を引き出すには、着ているだけで無く身体を使用して飾れていなければならないのだろうし、其れがファッションやシルバーアクセサリーを必要性以上のレベルで楽しむと言う事なのではないだろうか?
楽しむ事だけが文化を発展させる訳でも無く、「ツマラナイ」と感じる物が存在するからこそ楽しむ為の何かを求めるのも確かだ。そして必要性だけで手にする事になる物、着る為だけの物も飾る為に考えを巡らせれば楽しむのが可能である事は、ファッションやシルバーアクセサリーに於けるコーディネートやスタイリングが証明してくれる。シルバーアクセサリーを軸として展開されるREFUSE独自のスタイリングプロジェクト「RUMBLE」。必要性だけに留まらない物の魅力を提案し、スタイリングによって物と物、物と人が共鳴する楽しみを見せていきます。
RUMBLE-025
あまり良い印象を持てない言葉みたいなのがあるじゃないですか、「インテリ」とか「気取る」みたいな少し上から目線で見られそうだったり、地に足が着いてない雰囲気を表す際にも使用する言葉。「インテリ」とか「エリート」みたいな言葉は確かに知識階級や優秀さを指し示す概念の言葉ですから、大衆層からしてみれば少し劣等感が滲んだ気に入らなさ。更に語尾に振る舞いの意味で「ぶる」が付いて「インテリぶる」ってなったら悪い印象になりますね。「気取る」みたいな言葉はダブルミーニングですから文脈によって印象は変化しますけど、「気取り屋」みたいな使い方だと揶揄する意味のが強いんじゃないでしょうか。
「着飾る」って聞くと、あまり良い印象を持たない方もいらっしゃる気もしますけど、そう言った意識は現実性のある服装を尊ぶ“リアル・クローズ派”の方々に多い気がします。まぁ、無理して高い服やジュエリー買って格好が付くと思ってるファッショニスタ気取りや、無駄な知識と思い込みでセンスがあると勘違いしてファッション・インテリぶる人もいます。なので、「着飾る」よりもデイリーユースや着回しの良さを重視したリアル・クローズの良さを訴えたくなるのは当然。今回の「RUMBLE」も着回しの利くリアル・クローズをベースにしたスタイリングですけど、着飾る意識がリアル・クローズの魅力を発揮するスタイリング。
因に、「着飾る」を英語で一般的に表すと「Dress up」です。場面場面でドレスアップするのは礼儀であり嗜みですから、所謂TPOに合わせてなんて言うのも社会生活の中では必要不可欠ですし、自分のモチベーションを上げる要素にもなるんではないでしょうか?だったら其れを楽しめば良いだけだと思うんです。
CHAPTER:01 デイリーユースアイテムのリアル・クローズな楽しみ
キャップにフーディーを合わせたコーディネートは、西海岸でも東海岸でもスケーターやHIPHOPアーティストに代表されるスタイルでもありますね。今回は敢えて以前にも「RUMBLE-005」で提案したスタイリングと同じアイテムを幾つか使用して、リアル・クローズの着回しデイリーユースで着飾るバランスを提案していければと思っております。こうした敢えて同じアイテムを用いて着こなしとシルバーアクセサリーによるスタイリングの違いは、「RUMBLE-013」と「RUMBLE-021」の比較でも行いましたが、今回も比較してみながら楽しんで下さい。
このスタイリングのメインアイテムになるANOTHER HEAVENのフーディーと着こなしのバランスからいきましょう。フーディー、パーカーと言った方が伝わり易いですね。厚手の生地にフロントジップで着丈が長目のパーカーは冬場にはレイヤードでインナーに、トップスとして春先にと存分に活躍してくれるアイテムですが、それだけでなくジッパーの開閉で着回しも利くのが嬉しいところ。
CHAPTER:02 サイジングとカラーリングで大きく変化する印象
下半身を細身に纏めている今回の様なスタイリングでは、オーバーサイズと言う程でなくワンサイズアップのルーズさが必要。アクションも考えるとキャップにフードを被る点からもワンサイズアップでスムーズに着飾る事が出来ます。サイジングの重要なポイントはもう一つ、最初からルーズなシルエットのアイテムを選ぶのでは無くタイトなシルエットのアイテムをワンサイズアップで着こなす事。
インナーに選んだSCHAEFFER’S GARMENT HOTELのロンTが活きてくるのは何と言ってもカラーリングの妙でしょう。フルブラックのカラーリングは確かにタイトに見えますが、ちょっとしたルーズさが肩肘張って着飾ってる馴染みの無さを打ち消してくれる。その事を考えると挿し色としてチャコールグレーのカラーは気楽さを齎してくれますし、インナーサイズもワンサイズアップにする事でアクションの中で見せるドレープ感も含めて楽しめるんじゃないでしょうか。
CHAPTER:03 ダメージ加工によってコントラストを増すデニム
アメカジのアイテム、リアル・クローズをベースにスタイリングしていくと出てくる問題点が、新品による着こなし感の薄さ。要するに熟れてるかどうかどうか?が、気になるところ。デニムパンツなんかの場合は特にそうですよね。リジットのタフで堅牢な質感を合わせるのも良いですが、今回のスタイリングみたいにデイリーユースで着回す馴染みの良さはユーズドやダメージのタイプが似合います。
ダメージ箇所にレザーを合わせた加工は、シルバーアクセサリーとデニムのコントラストに深みを増し見事に映えます。そして、上半身のルーズさとは対照的に下半身をタイトにする事で、熟れていながらも引き締まった印象。タイトなシルエットでもレングスは長目にし、撓みを生じさせる事でルーズさのトータルバランスを取りつつ足元のアイテムとの相性を保つのがお勧め。
CHAPTER:04 レザーとグラフィックによるトータルバランスへの影響
足元に選ぶのはエンジニアにブーツインも素敵ですけし、もう少しタフに見せていくならコンバットブーツとかも良いんですけど、肩肘張らない着回しで考えると今回もスニーカーをチョイス。肩肘張らない熟れ感とは言ってもスニーカーを選ぶなら、ブーツに負けないデザイン性のアイテムで楽しみたいですね。ベルトは上半身のワンサイズアップによって腰周りが見えなくなっている分だけ、剣先が垂れ下がるルーズさを持ったガチャベルトのタイプがバランスが良いです。
何でも良いとは言い難くなるのがフードを被せるキャップですね。フードによって全体が見え難くなるだけに、中途半端なグラフィックやアイコンのプリントを選ぶよりは明確なタイプを。若しくは無地やワークキャップを合わせてみるのはどうでしょうか?
CHAPTER:05 アイテムを纏める事で生まれるバランス
今回のスタイリング。ここまで見て頂けば既にご承知の通り、シルバーアクセサリーの比重は右に寄せています。特に右手を下げた状態では右腰周りに集中しますね。この着けこなしのバランスは上半身の左胸からセンターへとロゴやグタフィック、ペンダントが集中する事との対角線によるバランス。要するに着こなした中でどう着飾るかのバランス軸をシルバーアクセサリーに委ねる方法ですね。そんなシルバーアクセサリーの着けこなしを先ずは右手のリングから見ていきましょう。
ボリュームは控え目に、アクセントは強く。華奢でシンプルになると綺麗に見せるのは容易ですがシルバーアクセサリーの効果は弱くなります。逆に印象を強くしようとすれば重苦しさは増して、無理してる感が前に出てしまいますね。そんな中で今回の様なスタイリングに丁度良いボリュームとアクセントは、デザイン性の高さとフォルムによって齎されるんじゃないでしょうか?中指に縦幅が大きく繊細なレリーフが彩るフォルムのリングを。小指にはダメージによってモチーフのスカルが前に出過ぎないフォルムのリング。どちらもVANITASのアイテムですが、金属自体の輝きを抑えた仕上げでリング同士の配置とボリュームが丁度良く抜け感を持たせてくれます。
右手首のレザーブレスレットとチェーンが特徴的なブレスレットは着け方に一癖。きちんと揃う感じのレイヤードでは無く、ブレスレットのチェーンがレザーブレスレットに絡む様に着ける事で敢えてルーズさを醸し出す。これによってブレスレットから下がるクロスチャームの位置が程良くなりますし、このスタイリングで全体的に生じている撓みの良さをシルバーアクセサリーでも追加してくれますよ。
CHAPTER:06 空白を生かしたシルバーアクセサリーの着けこなし
左手のリングはモチーフ無しの質感重視で親指に。トータルでのバランスで対角線のポイントを重視しているとは言っても、アクションの中ではバランスが変化するのは当たり前。左手にはシルバーアクセサリーを着けこなす意味での熟れ感としてワンアイテム欲しくなります。漫然とアイテムを選んでいない印象はアイテム自体も勿論ですが、着けている場所によって生じるものですよね。そうした意味からもアイテムが集まるポイントよりも、寧ろ空きの大きいポイントでどう着けこなしているかが課題。
アイテムが集まるからこそボリュームのあるウォレットチェーンはシンプルに。サイジングとボリュームで最も全体の印象を大きく左右するシルバーアクセサリーと言えばウォレットチェーンでしょう。腰周りが隠れ易くなるからこそ逆にチェーンをガツンと気合いの入ったデコラティブなデザインでいくのも悪く無いですが、リングやブレスレットにモチーフやレリーフが重なってくる事。トータルのスタイルがグラフィック等より質感やシルエットにウェイトを置いている事。そう考えていくと程良い着飾り方で選ぶならシンプルにしてディープなタイプのウォレットチェーン。
それに対してウォレットはバックスタイルがシンプルになり過ぎてしまわない為にスタッズで彩られたタイプがお勧めです。逆サイドに下がったベルトの剣先とも相性が良いですしね。
CHAPTER:07 トータルのバランス軸はシルバアクセサリーによって
ペンダントはロゴやグラフィックとの位置関係が重要。ルーズさとタイトさによって生じる撓みが全体を上手く纏めている事を考えた際に、ペンダントは何を選んでネックチェーンの長さはどうするのが良いか?右手側にアイテムを集中させている事で、選択肢の1つとして短いチェーンでチェーム程度に留める。も、デイリーユースを考慮するとアリだとは思います。ですが、今回は「着飾る」を肩肘張らずの方向でチェーンは60cmの長さを選び、アイコンとして主張の強いアイアンクロスのモチーフをパーカーやロンTと並ぶ位置に。
この並び、ペンダントのサイジングが右手に集められたシルバーアクセサリーと上手く共鳴し対角線のバランスを生み出します。適度なルーズさのスタイルでアクションも考え合わせれば、全体のバランスを引き締めるのに正中線上のアイテムはデザインも位置も拘りを持って選んで頂きたい。
着こなして着回し着飾る。時には肩肘張ってスタイルを固める必要は日常の中でも少なく無いでしょう。大事な取引先に挨拶に行くなら身嗜みに気を遣うなんて場面もありますしね。それだけに、プライベートでは好きな物を好きな様に。が、必要である事は確か。しかし、自分にとっての必要性だけでなく身に着ける物の為にも上手く着回して活用し、着飾る事を楽しんで頂きたいと思う次第です。
如何だったでしょうか?「RUMBLE-05」の際にはアメカジベースのタイトさの中にグラフィックとヘヴィなシルバーアクセサリーがポイント毎に配されて響くスタイル。今回は敢えて同じアイテムを多く用いながらシルバーアクセサリーを着けるポイントを変化させて違った印象を齎すスタイリングでした。着回しの利くリアル・クローズだからこそ、少しのアイテム変化とシルバーアクセサリーを軸にしたバランスで、違った印象を生み出して楽しんでみて下さい。
[STYLING ITEM]
メッシュキャップ:ANOTHER HEAVEN ¥6,800- ジップパーカー:ANOTHER HEAVEN ¥20,000- ロングスリーブTシャツ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL¥15,000- デニムパンツ:Loud Style Design ONE MAKE ¥85,000- ベルト:ANOTHER HEAVEN ONE MAKE ¥50,000- スニーカー:Loud Style Design ¥85,000-
ペンダント:ANOTHER HEAVEN AHH-018¥45,000- 左手親指リング:VANITAS VR-024 ¥30,000- 右手ブレスレット:Loud Style Design LDB-001¥32,000- 右手レザーブレスレット:Loud Style Design UGLB-005¥20,000- 右手小指リング:VANITAS VR-021¥20,000- 右手中指リング:VANITAS VR-020¥25,000- ウォレットチェーン:ANOTHER HEAVEN AHWC-003¥160,000- ウォレット:ANOTHER HEAVEN AHW-002¥38,000-
※表示価格は全て税抜き価格となります
ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。
東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972
東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972
1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。
BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more