RUMBLE LOG 001

時間と言うのは概念的に理解し情景の移り変わりや体感で認識出来ても、改めて説明しようとすると難しくなるものだ。この難しさの解決として誰もがよく知る時計が存在するが、時計はあくまでも1つの基準として時間を定義し計る装置であって時間そのものを説明する事は出来ない。現在では、物理学的な解釈が時間の存在を解明するのに最も正しい道として多くの研究が為されている。しかし、我々が日常的に捉える時間は感覚に依存するところが大きく“時間”と言うよりも“時感”と言った方が正しい気すらしてくる。

時が経た事を認識させてくれるのは、景観の変化や事象の移り変わりであり自己の容姿や何かの成長だったりする。何もする事が無く何もしていないと時が過ぎるのを遅く感じ、忙しく慌ただしさの最中は時が早く過ぎ去ってしまうと感じる事はないだろうか?こうした感じ方は、脳が捉え処理しなければならない対象の数に由来するとも言われ、何も無いとしていると脳は処理対象の少なさから時間経過を意識させる。逆に対象が多いと処理へと意識は奪われ時間経過は意識外となる。何れにしても意識が“時感”を変化させているのは間違い無いだろう。

多くの場合に時の経過と共に記憶は曖昧になり変換されていく。個人が得られる情報量が個人の処理能力の範疇を容易に超えてしまっている現代では、記憶よりも記録に頼る事で事実は認識される傾向にあるのだが、記録もまた情報の中に埋もれてしまい易くなっているのは確かだ。一過性に過ぎない情報、残されていく記録、覚えておきたい記憶。どれも日々の時間の中で必要であり何に重きを置くかは個人の自由だが、曖昧であり変換されるからこそ美しい記憶や過ぎ去って必要性を失うからこそ楽しめる情報とは違い、蓄積され見返す事で時を感じさせてくれる記録。懐かしさよりも新たな発見が記録には存在する事を読み取って頂きたい。

LOG-001 RIDERS JAKET

毎月恒例の連載プロジェクト「RUMBLE」らしく小難しい文章からスタート致しましたが、このプロジェクトは今までに掲載されてきました「RUMBLE」のスタイリングを今一度カテゴリー別に見直し、記録の中にどんな意図や出来事があったか?も含めて紹介していこうと思います。何せ「RUMBLE」もスタートから2年が経過し、色々と内容も変化しながら現在のカタチになってきてますので、言わば裏話し付きの総集編のような内容だと思って下さい。勿論、スタイリングプロジェクトの記録である以上は、掲載された当時とは別角度からの解説や掲載された写真の再編集にアザーカットを織り交ぜての紹介も行っていきますので、宜しくお願い致します。

RUMBLE-001 Model: ASUKA ZUKERAN

2020年にプロジェクトがスタートした際のスタイリングは、やっぱりとしか言い様が無いですがライダースジャケットを用いたスタンダードスタイル。「RUMBLE」で撮影とディレクター兼任している高蝶は、自身のブランドでのスタイリングと外部からの依頼との両輪を回しながら撮影やスタイリングを鍛えてきたタイプですが、2017年辺りからこのプロジェクトがスタートするまで理由は定かではありませんがスタイリングの仕事は外部から依頼された案件で行うだけにしていたそうです。

「RUMBLE」がスタートしたのは2020年2月。前年にREFUSEが20周年を迎え、アニバーサリーアイテムとしてTHE VALVESとのコラボレーションアルバムに合わせてREFUSEのライダースジャケットがリリースされた事もあってか、高蝶が行うスタイリングの要としてライダースジャケットを据えて初心に返る意味でのスタートだった様に思います。

肝心のスタイリングはと言うと、セレクトしたアイテムも着けこなしもREFUSEスタンダード。「シルバーアクセサリーを軸にしたスタイリング」と言う他の誰も取り組み続けていないテーマを、長きに渡って体現するプロジェクトの第一歩だからとも捉えられますが、ある意味で「コレが揃っていれば完成」的なストレートさ。別の見方をするならば、バイカーやロックのカルチャーによって育まれたアイテムやスタイルが、2000年代にブラッシュアップされて出来上がったスタンダード。

男のタフさを引き出し無骨で不良の香りがするコーディネートは、タイトなシルエットによって引き締められ。シルバーアクセサリーはアイコニックなアイテムをバランス良く配しながら無駄が無く、身に着けている人のヒストリーを物語るかの様。このスタイリングになると、アイテム1つ1つの皺や傷でさえもヒストリーの一部として重要に感じられるぐらいです。

このスタイリングが掲載された当時の「RUMBLE」は、スタートしたばかりと言う事もあってか現在では定番になっている記事冒頭のフィロソフィー(前置きとして長過ぎるんで好評か不評か解りませんが)も書かれておらず、記事本文もザックリとした解説に留めています。着けこなしについてや、その効果を解説していくと言うよりは雑誌に掲載されている際の説明に近く感じられますね。

掲載写真にしても同じですが、要所要所を印象的に捉えて詳しく解説するよりも、提案して考えて貰おうとする姿勢で編集されていたのが伺えます。現在の「RUMBLE」に於ける詳しい解説に至るまで、この辺りの変化を好むか好まないかは意見が分かれると思いますけど、今になって見返してみると毎月1回の掲載であるならば、何度でも閲覧したくなる読み応え見応えのある内容に至るまでの草創期であったし、シンプルであったからの面白さと言う一面が感じられるかと思います。

 

RUMBLE-002 Model: TAKEFUMI OGATA

先述したRUMBLE-001と同時に掲載されたライダースジャケットを要として用いたスタイリング。なんですが、、、、。同じタイプのライダースジャケットを用いながら全く印象の違うスタイルは、どんなアイテムとどんな着けこなしによって出来上がるのか?を探究する事に力が入り過ぎていた。と、今になって見返すと思えてしまう部分もありますね。「RUMBLE」のスタートという事もあってか、同時掲載によって振り幅を示して楽しんで頂こうとの意志はありつつ、馴染んでない感が拭えてない様にも、、、、。

馴染んでない感と言えば、モデルのOGATA氏(通称: ガタメン)はこの時がしっかりした撮影でのモデルは初。細身の体躯はモードにもトラッドにも振り幅が大きくあるんですが、この時はまだまだ潜在能力を引き出せていないカメラマンのクオリティの低さを感じざるを得ません。同時掲載のインパクト、アイテムセレクトによる違い、ライダースジャケットの振り幅、新規のモデルさん、総じて言うならディレクターの高蝶による欲張り過ぎがこの記事のクオリティに「、、、、」が付いてしまう原因ではないかと。

記事内容はさておいて、スタイリング自体はハットの有無による印象の違いや、シルバーアクセサリーを4アイテムに絞っても着けこなしや身に着ける箇所によって魅力を発揮させる等について提案しています。特に右手は小指に左手は親指にとリングの着ける箇所が重要である事と、ネックチェーンの長さが着る服とどう関係してくるかを示すスタイリングになっているかと。

見返してみて少し残念に感じてしまうのは、この当時は説明的な写真になってしまう事を避けていたのもあり、下半身をしっかり見せれる写真が掲載されていない事と、写真としての雰囲気を重視する傾向にあった為か全体的に暗いですね。解説文もかなり短めでこちらもやはり雑誌で掲載された場合に書かれるぐらいの文章量。全く同じと言う訳にはいきませんが、同じぐらいアイテム数を絞ってのスタイリングは提案していきたいところです。

新しく始まりました「RUMBLE LOG」。過去の記録を振り返れば反省点は尽きる事が無いですし、温故知新と言うには積み上げが至らな過ぎるとは思います。ですが、反省点も含めて新たな発見が記録には存在し、其れを認識する事で現在を見つめ直しながら変えたい物や変えたく無い事が浮き彫りになってくる様にも思います。時間が経過したからこそ感じられる良さ、時間が経過したからこそ理解出来る感覚。しっかりと時を感じられるのは、積み上げた記録が存在するから。そんな心持ちで楽しんで頂ける様、精進していく所存です。

 

[STYLING ITEM]

掲載させて頂いたアイテムはGALLERY REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、

ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

ONLINE STORE

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more