RUMBLE REFUSE STYLE -027-
言葉はとても難しいコミュニケーションツールとして存在する。意志を表示し表現する為のツールとして私達が日常的に使用するのは多くが言葉だ。一度覚えてしまえば常用性や利便性故か、言葉を誰しもが共通して認識出来ると思い込んで容易なものとしてしまうが、実際には言葉の使用や認識は難しい。其れは1つの言葉が多様な意味を内包しているからであり、発する側と受け取る側で印象の相違を生む事もまた原因となるからだろう。
「リンゴ」と聞けば頭の中に想像するのは木の実であるリンゴの人が多いかも知れないが、絵に描かれたリンゴを想像する人もいる。そして、想像した色やサイズも人によって違い、更に味や産地を連想する人もいるので印象や解釈は別れてくるだろう。こうした細かなズレは日常的な会話の中で都度都度の修正や意志の擦り合わせが行われない事が殆どだ。つまり、日常的な会話や言葉の印象はとても曖昧なままで続く事になる。時に言葉よりも写真や映像、数字や図面の方が表現や意思疎通のツールとして正確になり、言葉がコミュニケーションツールとして扱いが難しい事を知らしめる。
とは言え、実際に日常で氾濫している言葉の印象を統一し正確にしていく作業は不可能だろう。それに社会の面白さや交流の楽しさは、個人個人が各々の過ごしてきた環境や経験によって異なる固定観念なり価値観を持っているからとも言える。勿論、面白さや楽しさは如何なるものであっても必ず問題やリスクを伴う。其れはファッションにしてもシルバーアクセサリーにしても変わらない。手にする物が同じであっても、手にした人によって着こなしや着けこなしは違い、印象は大きく変化する。その面白さや楽しさが伴う問題やリスクとは何だろうか?
大別するならば、1つは価値観や固執によって他人との隔たりや確執を起す事や、所有欲による金銭的な問題等の個人的な問題とリスクだろう。もう1つは特定のカテゴリーや流行りによって嗜好され、ブランドや物の世間的評価が発信側の望まない状態を生んでしまう事。要するに購入する側にも発信する側にも問題やリスクは伴われる。はっきり言ってしまえば、この問題やリスクを完全に回避する方法は、言葉の印象を統一し正確にするのと同じ様に不可能だ。不可能ではあるが、回避し齟齬を生まない最も有効な手段はコーディネートやスタイリングだ。
コーディネートは組み合わせ方や調和を提示し、スタイリングは文脈を含めて身に着ける人のカタチを提示する。つまり、発信する側が提示する正解の1つであって、言葉を定義した辞書の様な物だ。勿論、意味が多様でありシーンやタイミングに加え組み合わせ方で可能性が広がるのも言葉と同様。誤用や独自解釈が行われ時代性と共に新たな側面が見えてくるのもまた言葉と同じくではある。しかし、使用に当たる意味と基本となる定義。これが発信する側、ブランドやSHOPから提示されないのはリリースする物に対して無責任である事に等しい。と、言ったら少し言い過ぎになる気もするが、正解の1つを発信側が提示しないままでいるのは、印象や解釈が悪くなっても「我関せず」と言っているのと変わらない。ファッションやシルバーアクセサリーでも会話で使用する言葉と同じく、発信する側が明確な意図や正解を提示出来なければならないのではないだろうか?
これが正解。と、1つに断じてしまうにはファッションもシルバーアクセサリーも意味や可能性が多過ぎる。だからこそ必要なのは多くの正解を提示しながら可能性を広げて探究する行為であると、REFUSE独自に提案するスタイリングプロジェクト「RUMBLE」。シルバーアクセサリーを軸として構築される他に類を見ないスタイリングは、REFUSEならではのアイテムセレクトと解釈によって、ファッションにおけるシルバーアクセサリーの多彩な可能性を探究していきます。
RUMBLE-027
日常的に何気無く使ってますけど、言葉の印象って大切ですよね。特に擬態語とかって共通した印象を持てている様で、人によって言い表し方も解釈も違ったりするじゃないですか?シルバーアクセサリーに対して使われる擬態語って「ジャラ」とか「ギラッ」とか。良い意味で使われない「チャラい」なんか「チャラチャラ」って擬音からで、細いチェーンとか無駄に光り過ぎたアクセサリーをブラ下げてると持たれる印象ですもんね。シルバーアクセサリーを好んで身に着けている人達にとって持たれたく無い印象として、この「チャラい」があるんではないでしょうか?
実際に言葉の用法としては、芯が無く浮ついて軽薄な様を指す「チャラい」なんですが、どうにもチャラい人達の嗜好品としてシルバーアクセサリーが含まれる傾向が強いんですよね。まぁ、人様の好みなので文句を言う筋合いは無いんでしょうけど、同じ様にチャラい印象で見られたくは無いと言うのが正直なところではないでしょうか。そうなると明確な違いをコーディネートやスタイリングで構築する必要がある訳で、今回の「RUMBLE」はチャラさと紙一重のスタイリングを敢えて行い、アイテムやモチーフによって一線を画す探究をしてみたいと思いますのでお楽しみ下さい。
CHAPTER:01 ルーズさをコントロールしたオーバーサイズ
先ずは少しカラーの話から進めていきましょう。色彩が人の印象を左右するのは知られた話ですが、派手さや軽薄さは着ている服のカラーが大きく影響します。実際にはカラーに加えてグラフィックや服のシルエットも要素として大きいですけど、モノクロームからグレーで纏めると軽薄さは無くなってきますね。問題はサイジングをどの程度のルーズさにコントロールするか?そして、素材の質感です。
スウェット素材はトップスだと定番なのに、パンツになると急にルーズな印象が増してしまうのは“楽な格好=ダラし無さ”と連想されるからでしょう。特に昨今では多くのブランドがスポーティーなスタイルを推している傾向も相俟ってか、スウェット素材のパンツは多く目にしますが、素材感とシルエットでバランスの良いルーズさをコントロールする事。ワンサイズアップのルーズ感よりも程良くオーバーサイズなシルエットのアイテムを合わせるのが良いんじゃないでしょうか。
今回選んだSCHAEFFER’S GARMENT HOTELのスウェットパンツ、CREATIVE×MOTIONのフォトTは共にオーバーサイズのシルエットでデザインされていて、ルーズさをアイテム自体が上手くコントロールしてくれています。この2アイテムのグレー・ホワイトに対してANOTHER HEAVENのブラックなシェルパーカーが全体を引き締めてくれるので、トップスの有無で印象が大きく変化させられるのもこのスタイリングの特徴です。軽薄さの度合いでは無く脱いだ時の印象が爽やかになる合わせ方ですね。
CHAPTER:02 アクセントは上下のアイテムで
“ハズシの要素”がファッションの中では求められたりしますね。カラーやアイテムのテイストが余りに統一され過ぎると隙が無くて逆にバランスが悪い印象になってしまうアレです。カラーバランスが上手くいっていればハズシの要素は必要無いのですが、何れにしてもアクセントがトータルバランスの中で欲しくはなりますね。全体的にルーズさを醸し出したスタイルの中でアクセントを求めると逆にタイトなアイテムを選ぶのがお勧め。必然的にルーズになり難いアイテムと言えばヘッドアイテムとシューズではないでしょうか。
頭と足元のアイテムは冠り心地や履き心地が重要視されるので、無理してでない限りはサイズがジャストになる事もあり、アイテムデザインがオーバーでもなければカラーに気をつける事でタイトな印象になります。例えばここで上下共に真っ白なアイテムにすると、アクセントとしては際立ちますが軽薄さが増します。まぁ、チャラさをグレードアップしたいのならお勧めしますけど、逆に上下共にフルブラックでも悪目立ちする事も付け加えておきましょう。バランスの良いアクセントとしてはブラック×ホワイトのツートンカラー。キャップはシェルパーカーにプリントされたグラフィックとの相性を考慮したデザインがお勧め。スニーカーは少しボリュームが有るぐらいの方がパンツと相性が良いですね。
CHAPTER:03 シルバーアクセサリーの重心を考える
今回のスタイリングテーマでもある“チャラさとの違い”ですけど、何も敢えてチャラさに寄せてスタイリングする必要あるの?とか、思ってしまいますよね。確かそうなんですけど、明確に違うスタイリングするのはイージーなだけでシルバーアクセサリーの可能性も探れないですから、どんなスタイルでもシルバーアクセサリーが活きるコーディネートを模索していきたい次第です。さて、少しファッション感覚を古い世代に寄せて考えるとシルバーアクセサリーを男性が身に着ける事自体が軽薄でチャラい。所謂“光り物”なんて言葉で括られていた時代もありましたが、違いを出すアイテム側の要素として大きいのは重量です。
軽薄さって言うぐらいですから、やっぱりアイテム自体が軽いとチャラい印象が増すんではないでしょうか?アイテムとして重量が軽い事は着け合わせ次第で幾らでも良くなるんですけど、今回みたいなスタイリングだと軽さが際立ってしまいます。そんな訳でしっかり固めておきたいパートとして指周り。ここは手指周りとしておいた方が正確ですけど、重心をアクションの多い手指に集めておく事で芯の部分を強く押し出し易くなりますね。
左手の指から参りましょう。アイテムを選ぶ際にはリングの幅や厚み、ボリュームの部分も重要ですがデザイン的にハッキリとした印象の物を選ぶと陰影の強さが際立ちます。それはリングを並べ着けする事で更に強く出来ますし、敢えてリングを並べ着けした手の方は手首周りを空白にしておく事でリング自体の存在感が強調され、逆サイド手首に着けたバングルとのボリュームバランスが上手くハマってくるんですよ。
CHAPTER:04 アイテムの組み合わせで空白のバランスを
逆サイドの手周りは片手に並べ着けしたリングと共鳴しつつ空白の活きるバランスを心掛けたいところ。今回の場合、やはり空白を活かす為のアイテムとしてはリング。特に着けこなして頂きたいのが小指へのジグネットタイプリングになります。特にシルバーアクセサリーのアイテム数を少なくしたスタイリングであれば、ポイント毎のアイテムデザインやモチーフはハッキリとした印象の強い物が映えますね。リングデザインとしてはシンプルでもモチーフが強い事でバングルとの相性が増してきます。
バングルの方も陰影を強く出すデザインでありながら特徴的なフォルムが抜け感を持たせているアイテムですので、リングとの組み合わせでトータルの重心として上手く機能してくれます。ボリュームが有りながら抜け感も持たせてくれるアイテムはヘヴィなアウターにもシェルパーカーの様なライトなアウターともバランス良く組み合わせられますし、シルバーアクセサリー好きにとってはオーソドックスさに留まらないセンスの違いを発揮したコーディネートが見せれるんじゃないでしょうか。
CHAPTER:05トータルの身軽さを損なわない腰周りアイテム
重心と空白をバランス良く手周りのアイテムで構築したら、今度はトータルでのライトな着こなしを損なわない様にしたいもんです。これがライダースジャケットにデニムパンツのスタイルであれば腰周りにヘヴィなアイテムが欲しくなるのも当然ですけど、スウェットパンツに合わせるとなると腰周りは本当にワンポイントで充分。ここで重要なのはポケットに入れたウォレットから下げるキークリップのサイジングですね。
ボトムにヘヴィなアイテムがブラ下がっているとシルバーアクセサリーの重心が取り易くなる。そう思っていいのは別のスタイリングでの話。トータルバランスで軽薄さを無くして軽やかさを活かす為のサイジングを心掛けるには、アウターやペンダントとの相性を考えるべきです。アウターが捲れると見える程度のサイジング、ペンダントに比べて重くなり過ぎないボリューム。だけどデザインが特徴的なスカルである事が他のシルバーアクセサリーアイテムとの馴染みを良くすると思って下さい。そして、色彩的にもシルエット的にボヤケ易くなるグレーのスウェットパンツに対してだからこそ陰影の強いアイテムが映えます。
CHAPTER:06 ペンダントの印象はチェーンのサイジングとボリュームで
面白いものだなと思うのは、今回の様なシルバーアクセサリーのコーディネートを同じスタイリングでもアパレルアイテムを無地にすると軽薄さが強くなってしまう事。Tシャツのグラフィックが顕著なのですが、フォトTの場合は特にペンダントに対してシェード的効果が得られます。簡単に言うとペンダントと上手く相俟って印象を柔らかくしてくれる為、サイズやボリュームが小さいペンダントの重ね着けを悪目立ちしない程良いアクセントにしますね。と、言ってもその為にはペンダントを下げるチェーンのサイジングとボリュームが大切。
既に両手でスタイリングの重心は整っているので、身中線にくるペンダントにボリュームを持たせるのは他のアパレルアイテムとのバランスを崩します。スモールサイズのペンダントなら重ね着け、ミドルサイズのペンダントならシングルでがお勧め。流行りに乗るなら喜平の太いチェーンを首元に持ってくるのも悪くは無いですが、他のシルバーアクセサリーアイテムとは相性が良く無いですね。チェーンはペンダントにボリュームを合わせた太さで45cm~50cmのサイジング。Tシャツのグラフィックに乗るぐらいにペンダントが位置するとベストなんじゃないでしょうか。アクションの中でリングやアウターとのバランスの良さ、印象の程良さも見えてくる筈です。
世間的には良い印象とは言えない“チャラさ”ですけど、好きで軽薄さを演出している。若しくは職業柄の演出も当然あるかと思います。今回の「RUMBLE」で提案したいのは“軽薄さ”よりも“軽妙さ”であり、スタイリングによる“軽妙洒脱”。シルバーアクセサリーを軸とした中で、好みはあるにしても洗練された印象や巧みな着けこなしの可能性とは何だろうか?ファッションやシルバーアクセサリーを楽しむ際に、難しく考える必要なんて無いのかも知れません。ですので「こんなスタイリングもアリだよね」ぐらいの感覚で1つ正解を増やして楽しんで頂ければ幸いです。
[STYLING ITEM]
キャップ:CREATIVE×MOTION¥3,600- シェルパーカー:ANOTHER HEAVEN¥18,000- Tシャツ:CREATIVE×MOTION¥4,500- スエットパンツ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL¥44,000- シューズ:CONVERSE JACK PURCELL CUSTAM Loud Style Design ¥80,000-
ペンダント左:ANOTHER HEAVEN AHH-028¥25,000- ペンダント右:ANOTHER HEAVEN AHH-027¥23,000- 左手人差指リング:Loud Style Design UR-031¥25,000- 左手中指リング:Loud Style Design LGR-001¥35,000- 右手小指リング:ANOTHER HEAVEN AHR-035¥23,000- 右手バングル:Loud Style Design UBG-005¥90,000- キークリップ:ANOTHER HEAVEN AHK-013¥45,000-
※表示価格は全て税抜き価格となります
ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。
東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972
東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972
1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。
BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more