GALLERY MADE COLLECTION #1

物事の始まりは、選択と決断よりも早く始まっている。何かを始めようとした際に、多くの人は自分が選択し決断した事によって始めた。と、思うだろう。だが、実際には何某かの事象や状態によって選択が必要となり決断しているに過ぎない。これは反応や対応になるので、始まりは応じなければならない何某かとなる。つまり物事の始まりを選択や決断の側だけで捉えると間違いや勘違いへと繋がり易い。尤も、物事その起点を何処の時点で区切るかによって捉え方は変化していくのが常ではあるが。

-INTORODUCTION-

2019年のREFUSE20周年イベントが終了した頃、アイデアレベルでクリエイターの高蝶が口にしていた「GALLERY MADE COLLECTION」は、2020年初頭から始まったCOVID-19のヒステリックな状況下で練り上げられていった。SPEED SPECTERのツアーが中断された事でインスタグラムのHEATアカウントにてライブ配信機能を用いて行われた「DIGRESS」に於いて、ライブクリエイションでONE MAKEと共にリリース未定の原型として「GALLERY MADE COLLECTION」について言及しながら制作する場面は数多く見受けられた事と思う。アイデアをカタチに推し進める事態が其処には在ったという事だろう。ところが、2023年へと時間が進みCOVID-19に対する世相が変化してGALLERY MADE自体がマンスリーで行われる様になってからも「GALLERY MADE COLLECTION」がリリースされる事は無かった。無かったと言うよりは、時期を見計らっていたと言うのが正しいのだろうが、アイデアレベルからの話であれば4年近くが経過しているだけにプロジェクトの立ち消えも予感させ、期待していた側にしてみれば無かったと断じるには充分過ぎた。

状況が大きく変化したのは2023年も折り返しに近付いた頃。このHEAT WEBでも何度も取材させて頂いている東京・御徒町のシルバーアクセサリーセレクトショップ「SILVER GEEKS」にて行われたイベントに於いて、「GLAM SCALE」の日山聖也氏がリリースしたリングが、高蝶が手掛ける「Loud Style Design」の意匠に酷似している(特に顕著だったのはリング全体よりメインモチーフとなるクロスの意匠)との話題が持ち上った。後にインスタグラムのライブ配信でも高蝶と日山氏が対談している様子からもお判り頂ける通り、付き合いも長い間柄で業界の先輩後輩関係にあるだけに悪意的な意味合いは無く遊びの範疇である事が説明された。が、事態の当初に問題点となったのは「SILVER GEEKS」や「GLAM SCALE」側からの説明不足であり、それによって購入する側の困惑(実際にSILEVER GEEKSでのイベント中にもお客さん側から酷似について指摘される場面があったと言う)から話題に上がった事である。高蝶と日山氏、引いては「SILVER GEEKS」だけでの話であればギャグやリスペクトによるお遊びの範疇だが、購入する側から話題として繰り返し上がるとなれば事態の収拾と説明責任が生じる。

何某かの事態に際して、俺節を語る人や自己流を通す者は多いが、大抵の結果は「穏便に済ます」日本人的特徴を示す人のが多い。もし、仮に。事態の収拾や筋の通し方に「高蝶流」とでも呼ぶやり方があるとしたら、この時の対処と事態の収拾は目に見えて解り易い事例だっただろう。「笑いと暴力」を根幹にした高蝶の流儀は、酷似していると言われた「GLAM SCALE」のリングに対して意匠が酷似しつつ全く違うリングをハイスピードで制作してみせる事で、行動の笑いとクリエイションの暴力として提示され、先述したインスタグラムのライブ配信(其処に至るまでの一連の流れも含め)によって公の説明責任をエンターテインメント性と共に果たしている。だが、ここで一つ問題が残った。高蝶が制作したリングをどう扱うべきか?謂わば一連の流れに登場する日山聖也氏や困惑した購入する側に対してのオチは着いた(SILVER GEEKSは公には関知せず)が、期間限定で販売されていた「GLAM SCALE」のリングとは違って、高蝶が制作したリングはブラントとしての所属も無く落とし所が見当たらない。そこで一計を案じて「GALLERY MADE COLLECTION」としてリリースされる事となる。

過去のSPEED SPECTERによるライブクリエイションから高蝶が手掛けるブランドへの導入を見ていればお判り頂ける通り、クリエイションの最中からブランドへの所属を考慮している場合は多い。しかし、SPEED SPECTERではそれ以上にライブクリエイションのみを目的として制作される為にブランドの所属も無くリリースされないままのアイテムが数多く存在する。それならばいっその事同じ様に、この2023年に起きた「GLAM SCARE騒動」にて製作されたリングはリリースしない案も出たがオチとして弱い。事態の収拾を目的として制作されていたが為にブランドとしての所属は決まっておらず、意匠的に「Loud Style Design」に近いとは言ってもそもそもブランドのラインナップに加える意識で制作されていない。ましてや只でさえ購入者側から困惑と共に話題が持ち上って対処したものをブランドのアイテムとしてセレクトショップに向けてリリースするのは筋が通らない。結果として「GALLERY MADE COLLECTION」のラインナップとして「マサカズオノダのインスタショッピング」にて販売される始まりとなった。

これが望んでいたコレクションの始まりだろうか?そんな疑問が湧いてきてしまいそうだが、実際には始まり自体は4年以上前からであってCOVID-19の影響下が具現化させ後はリリースタイミングを計っていた状況。そうした側面を鑑みるとリリースに弾みを付ける意味でも悪くはなかったのかも知れない。高蝶にしてみればコレクションの内容自体が整っていれば問題無いとの判断だっただろう。マンスリーで行われるGALLERY MADEだけに、新作がリリースされるのは1DAY1ITEM。2023年末に漸くコレクション内容と呼べる程のアイテムラインナップが揃った「GALLERY MADE COLLECTION」とは何なのか?其れを紐解いていく。

 

*「GALLERY MADE COLLECTION」のアイテムは基本的に毎月開催されるGALLERY MADEでの販売のみになります。

開催予定日: 2024 1/28 13:00~

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more