RUMBLE -REFUSE STYLE- 020

デジタライゼーションに裏打ちされた合理化は人に利便性を齎し、選択や行動にも合理性を適合させる事を善とした論調でインフルエンサーや論客が生活や人生に於ける利便性を謳うが、合理化や利便性を論理的に語り実践するのに最も厄介なのが、自然現象と人の気分だ。そして其れは合理化や利便性よりも遥かに重要な事だ。

マクロの視点では確かに、自然現象も人々の気分も解析され大まかな傾向を読みとって合理的に推察が可能である事は、天気予報や識者ぶったメンタリストが存在するので皆さんもご存知だろうが、突発的な竜巻や局地的な地震が予測不可能なのと同じく個人の気分を毎日予測する様なミクロな視点で先を何でも合理的に捉えるのは難解だし、可能性を全て考慮すれば利便性は失われる事になる。

人の行動原理として目的や約束、欲求などが挙げられるが、行動を起こす本人ですら原理を理解しない事は多々ある。原理は不明で合理性も見当たらないが何故かやりたくなる衝動や、そうした不可解な行動に敢えて原理を求めるならば、気分と言う事になるだろう。

気分屋なんて言葉が有る様に、一貫性の無い行動や服装の不可解さには気分と言う言葉が充てられ易い。しかし、人が気分で動くのは突発的な衝動や不可解な何かによってでは無く、無意識下での自己診断や状況判断が影響し、意識に訴えかけるからではないだろうか?

自分のバイオリズムを自分で全て把握出来る程には人は優れておらず、状況を読み取るのは表層的な意識のみだとは限らない。寧ろ無意識の方が膨大な情報処理を行って欲求や危険を読み取る。ただし、無意識下からの訴えは表層的な意識に伝達される際に言語化されない。故に言語化する事が理解に近くなる表層意識では不可解なものとなり、気分としてだけの理解になってしまう。

話をそろそろスタイリングに沿わせていこう。ファッションに於けるスタイルは言語化して説明する事がカテゴライズとしては可能だが、どちらかと言うとスタイルが醸し出す印象や雰囲気という言語化し難い気分に近いものであり、そこから受け手が分析と理解をすれば良いのだが、人は理由やテクニックを知りたがる。当然だ、誰でも自分の手に入れたアイテムの能力や魅力を最大限に楽しみたくなるし、法に触れたり他人に迷惑でないなら、その権利がある。しかし、そのスタイルを選択する基準は何か?と言えば気分になる。

気分。フィーリングと言った方がニュアンス的には捉え易いのかもしれないが、このフィーリングが何処から来るのかと言えば、俗っぽい言葉を使うならば「何と無く」が言語化する時に使用される。その何と無くが実のところは影響が大きく、選択や行動をしてみて何と無くの、何がどうであったかと気がつく事も多い。行動の原理には目的がある。しかし、目的が無い場合に行動を起こしたくなる衝動の原理はフィーリングに他ならない。

日々を生きるのにフィーリングはとても大切なファクターだ。服やアクセサリーで気分は変わるし、色で人間の思考は左右される。自分の軸になるスタイルや好きなコーディネートを決めておくのは重要だし、定番のスタイルは合理的で新しい何かを購入するにも心理的な利便性はあるだろう。だけど、あまりに固執してしまうと自分の中にある気分を大切にしなくなり、いつの間にかお座なりに選択を繰り返す癖がつく。

若い頃に抱いた憧憬や目指していた生き方、何処へ行き何をしてどう過ごしたいか、そんな理想と現実の間で人は生きている事が多く、普通に生活をしようと思えば棄てた物や止めた事も少なく無いだろう。そうした中で、自分が集めてきたアイテムは自分の歴史と経験でもある。シルバーアクセサリーを多く身に着けたくなるその日の気分は少しだけ昔の自分を味わいたいのかもしれないし、憧れの誰かを真似して別人の様に街を歩きたいのかもしれない。

フィーリングとスタイルとシチュエーションのどれを優先するかは、日常生活と言う現実の中で生きていく以上ケースバイケースとなるだろうが、この3つが着けこなし方を選ぶ基本要素だろう。後はそれぞれにあった選択が出来るセンスや能力があるかどうかだが、それもやはり参考資料がいくら有っても合理的にはいかない。着こなしや着けこなしは学ぶ事は出来ても自分と物との共有時間が有ってこそなのだから。

どんな気分でどんなスタイルを選び何をするか?シルバーアクセサリーを軸にしてREFUSE独自のスタイリングを披露するプロジェクト「RUMBLE」では、気分で選ぶ服やアクセサリー、着こなしや着けこなしで高揚する気分。どうやって自分の軸となるスタンダードなスタイルに気分を折り込むか?を追求しながら、物とスタイルを共鳴させての楽しみをお届けします。

RUMBLE-020

ファッションを楽しむ際の選択方法として“お手本にする誰か”みたいな憧れから派生する選択肢ってありませんか?ムービースターやミュージシャン、雑誌で目にしたバイカーやファッションモデル。何て言うか、自分とは違う世界を見せてくれている存在に対して、憧れとか自分もその世界に浸りたくなる欲求を掻き立てられたりは、10代20代ぐらいの年齢の頃だったら当然の様に誰でも経験するでしょうし、その経験が後に自分のスタンダードなスタイルへと繋がっていくんだと思います。

何かに憧憬を抱くメカニズムを解説するのって凄く野暮な話だと理解はしてるんですが今回のスタイリング解説の為に少しだけ触れておくと、憧れの基本的な要素は“現実と存在の境界線”ではないでしょうか。私達が生きている現実社会では、法律や倫理に基づいた常識とか道徳に社会情勢と自分の現状を重ね合わせた生活感が普通に生きていく為の条件として必ず付いて回ります。この現実で生きる為の条件と言う境界線を、どんなカタチであれ飛び越えて存在している様に目に映ると、憧れてしまう。凄く端的に言うと、現在の自分には無い存在だからですね。

どんな憧れであれ真似したり取り入れたりで自分のスタンダードを構築していくのはファッションやシルバーアクセサリーを楽しむ基盤としては重要ですが、人間って誰しも年齢を重ねていって見聞も広がり趣味も体型も生活も変化するもんですから、傾向としては文字通り大人しくなっていくもんですし、若さにしがみついて流行りに乗り続けるのも見苦しいとは思いますが、それでも自分のスタイルの礎となった忘れられない憧れの存在みたいに、所有しているアイテムを思いっきり楽しみたい気分の時ってあるじゃないですか。

結局のところファッションやシルバーアクセサリーを楽しむには気分が一番に優先される。それでも、単なる自己満足か身の丈に合った格好良さかは、スタイルを持って如何に着けこなすかで違いが出るんです。だって、結論から言っちゃうと自分のスタイル無しに憧れの真似だけして自己満足って、どんなファッションしてても単なるコスプレじゃないですか。憧れとか自分の気分に合わせる時って、雰囲気をどう漂わせる着こなしにするか?が重要なんですよ。

今回のスタイリングで漂わせたい雰囲気は“ロックとハードボイルド”。ジャズやファンクよりもロックとブルースが鳴り響くタフなハードボイルドなんて現代では古臭い憧憬になるのかも知れませんが、ロックとシルバーアクセサリーが見事に融合したスタイルとして確立され、何より男の野性味が全開にしたい気分の時は最適解ではないでしょうか。ハードボイルドでシルバーアクセサリーの重ね着けにラバーソールとなると、ドラマ版の「私立探偵・濱マイク」を思い出す人もいるんじゃないかと、(まぁ、あの劇中のスタイリングは宣伝要素が強過ぎて興醒めする部分もありましたが)男だったら理由も無く険しさとか無頼漢な気分が沸き上がって自分本位なスタイルで夜の街に出て行きたくなったりしませんか?なったりしない人には今回のスタイリングはお勧めしませんが、シルバーアクセサリーを多く身に付ける時に漂わせる雰囲気としてハードボイルドと言うスタイルが存在する事は知っておいて損はありません。

先ずは全体のカラーリング解説からいきましょう。全身をモノトーンで纏めたら楽に整う感じがしちゃいますけど、逆にモノトーンで纏めるにはアイテムのカラーをどう配して組み合わせるか?による濃淡の難しさでもありますから、シャツとインナーとパンツで濃淡のバランスを整えてハットとシューズはブラックで引き締めているのが今回のカラーリング。

シャツのサイジングはジャストよりもワンザイズアップ。ワークシャツはオーバーサイズを選んでルーズな印象を持たせたり、ジャストサイズでパンク的な要素を持たせたりと着こなしで効果も変化しますが、ワンザイズアップぐらいでボタンの留め方をルーズに、ちょっとした“ヨレ感”が生じる事で程良く着崩した雰囲気に。このヨレ感はフロントと背中に大きくブラックでプリントされたANOTHER HEAVENのグラフィックバランスが、気負い過ぎてない余裕の中に自分の主張を程良く見せてくれます。

デニムのダメージ加工にも色々と種類がありますけど、基本はやっぱり経年による破れと汚れを如何に再現するかになってきます。カラーリングの濃淡としてホワイトカラーのデニムパンツを取り入れたくても、新品丸出しは悪目立ちが過ぎる場合が多いので、選ぶならモノトーンのスタイルに合わせていくとなると基本に近いダメージ加工を施した自然と馴染んでいくアイテム。スキニータイプにする事でハットとワークシャツによる上半身とのバランス、足元のラバーソールとのバランスを上手く引き締めるタイトさが出ますね。

モノトーンのカラーリングの中でシルバーアクセサリーが際立つと言っても、完全なモノトーンってやっぱり街の情景や空気感から浮き足立っちゃうのは否めないんで、ハットに少しの挿し色が入る事で馴染み方が大きく変化しますし、退廃的な加工による特徴的なVANITASのハットと足元で艶を出しながら妖しさを醸し出すラバーソールの対比は、モノトーンで揃えた全身にメリハリを与えて上手く纏めてくれるバランス。

シルバーアクセサリーを重ね着けするテクニックは様々ですが、ガッチリ着けこなしたい気分の時、リングの場合はナロータイプを重ねるよりも正面から裏面にかけて細くシェイプされているタイプを重ねてインパクトを強くしたいところ。左手のリングの着けこなしを見て頂くと、リングボリュームを全体で合わせながら目立つ箇所になる親指と中指には着けずに余白を設けた組み合わせ。手首のレザーブレスにボリュームタイプを選んでいるだけに、ガッチリ感と余白のバランスは上手く出したいですよね。

右手のリングは中指のボリュームタイプと小指のミドルボリューム。手首にブレスレットとバングルを重ね着けしているだけに、リングは際立つ中指にボリューミーな1点は欲しいですし、バランスを良くする小指への1点を合わせると手首周りとの相性が良くなります。ブレスレットとバングルの重ね着けは前回の「WELL-BEING」でも解説していますが、もう一歩踏み込んだ楽しみとしては、ブレスレットにリングを通して遊びを見せる着けこなし方。シルバーアクセサリーを重ね着けするテクニックって単純に重ねて着けるだけじゃないですから。

今回のシルバーアクセサリーは手指や手首周りにボリュームを持たせるバランスでのスタイリングを重視しているので、ネックレスやペンダントは下手に定番的なモチーフ物やボリュームタイプよりもシルエットやフォルムで見せるタイプがお勧め。モチーフやボリュームで他のアイテムと喧嘩する様なバランスでは無く、存在感は有っても全体に馴染んでこのスタイルの中で着けている自然さが重要です。

ウォレットチェーンも同じくスタイリングの中での存在感と自然さが有るボリュームとデザインのアイテムを選びたいですね。チェーン自体の長さサイジングはアクションに合わせて揺れが適度に生じるぐらいで、シャツのボタンを留めている時でも裾から存在を判らせつつヘヴィになり過ぎないタイプ。ポケットに指を掛けて裾が捲れたりシャツのフロントボタンを開ければモチーフパートが見える感じもまた良いですよね。

シャツのフロントを開けるか閉めるかでフロントの印象は大きく変わりますが、これはシャツとインナーにパンツの見える面積バランスがモノトーンの濃淡に影響するからです。それによってシルバーアクセサリーの見え方も当然ながら変化してきますが、スタイリング全体で漂わせる雰囲気はロックとハードボイルドで纏まっていれば、そして着こなし方や着けこなし方が定まっていれば、自分の中にある気分に合わせてどちらも楽しめるんじゃないでしょうか。

結局は気分に左右されるならファッションやシルバーアクセサリーって何なの?ってなりそうですが、ファッションアイテムやシルバーアクセサリーは自分の気分や憧れを留めておいてくれる為の物でもあります。誰かに憧れて手に入れて身に着けていたアイテムは、その時の自分を記憶してくれていますし、其れを着けこなすスタイリングは現在の自分と重なり合わせてくれます。時代が進んで年齢を重ねても、気分は必ず現在と同調するとは限りません。気分に合わせた雰囲気で過ごす為のスタイリング。気分を変えてくれるアイテムを着けこなすスタイリング。多くを知って楽しみ方を増やして頂きたいと思います。

 

[STYLING ITEM]

ハット:VANITAS ONE MAKE ¥70,000-  タンクトップ:Loud Style Design¥7,500- ワークシャツ:ANOTHER HEAVEN ¥18,000- デニムパンツ:Loud Style Design ONE MAKE¥60,000- ラバーソールブーツ:Loud Style Design ONE MAKE ¥100,000-

ネックレス:Loud Style Design UN-025 ¥68,000- 右手中指リング:Loud Style Design UR-016 ¥72,000- 右手小指リング:ANOTHER HEAVEN AHR-010 ¥17,000- 右手ブレスレット:Loud Style Design UB-015 ¥52,000- 右手ブレスレットリング:Loud Style Design UR-030¥18,000- 右手バングル:Loud Style Design UBG-012 ¥56,000- 左手レザーブレスレット:Loud Style Design UGLB-001 ¥42,000- 左手人差指リング:Loud Style Design UR-028 ¥28,000- 左手薬指リング:Loud Style Design UR-027 ¥20,000- 左手薬指リング:Loud Style Design UR-032 ¥18,000- 左手小指リング:Loud Style Design UR-022 ¥13,000- ウォレットチェーン:Loud Style Design UWC-014 ¥180,000- ベルト:ANOTHER HEAVEN AHBT-003¥48,000-

※表示価格は全て税抜き価格となります

 

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

ONLINE STORE

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more