RUMBLE LOG 002

未来を思いながら現在を見るか?過去を思って現在を見るか?とても一般的な話ではあるが、ある一定の年齢を超えた際に感じたり口にしてしまう「今の若者は・・・」に代表される世代感の差異。この差異の多くは過ごしてきた時間と積み上げてきた知見や体験によって起る。映画や音楽等のエンターテイメントの変化を思い浮かべてみて欲しい。10代~20代の自分が多感で時間的な余裕が多かった時期に体験したエンターテイメントはフレッシュだったに違いない。しかし、30代~40代へと年齢を重ねていくに連れ感性が鋭敏さを失い時間的な余裕も減少すると、エンターテイメントをフレッシュだと思えなくなってくる。これは誰にでも訪れる普遍的な現象だと言って差し障りないだろう。

楽しみたいという欲求から得ていた体験は、計らずとも自分の知見を広めていき自分の中に蓄積される。その蓄積がある一定量に達すると、現在のエンターテイメントを過去に得た知見や体験と比較し始めるものだ。刺激の側を受け取るよりも分析や査定の思考が強くなり、記憶と記録の確認による納得感に切り替わってしまう。つまり、積み重ねた事によって生じるある種の冷静さ故に盛り上がれなくなり、「今の若者は・・・」の後に「理解出来ない」が続く事となる。これは先述した様に誰にでもいつかは起こり得る事。

それでは逆側を考えてみよう。現在まさにエンターテイメントをフレッシュに受け止め楽しんでいる世代にとって、その楽しみは次も体験したいと思うものだし更なる楽しみを期待する。そのエンターテイメントが過去の某かを模倣していたり準えていたりしても、其れを察知する程の知見や体験は得れていないのでフレッシュに感じられ盛り上がる。記憶量や記録に目を向けるには蓄積量が少ない間であれば、言い換えれば白紙に近い状態で記録されていく真新しさは、記録される事自体が楽しくもある。現在、積み重ねる事によって冷静に物事を見てしまう世代も過去にはそうであった様に。

未来を思いながら現在を見るか、過去を思って現在を見るか?果たしてどちらが良い事のかは判らないし、どちらが優れているか等を比較するものでも無いのだろう。しかし、1つ確かなのは誰にでも未来が存在し過去も存在する。過去を思って現在を見る事が未来を描くには必要だと言う事だ。過去に得た知見や体験を現代に活かし未来を描くには、残された記録を反芻する時間も必要ではないだろうか?

LOG-002 DENIM JAKET

「若い世代が某」とか言い始めちゃうと既に自分が若く無い証拠ですし、感性がフレッシュで無くなった様で何だか嫌な気がしてしまうんですけど、これって当然なんですよね。逆に必死で若い世代の流行りを受け入れたり付いていこうとする方が嫌な気がしてしまうんじゃないでしょうか?良い方に捉えれば、流行や時代性に感性が左右されなくて良くなった分だけ、自分の好きなジャンルを深く突き詰めていける。言葉的に正しいかは判りませんけど、ある種の流行や同調圧力から解放された状態で楽しめる良さがある気がします。だからと言う訳ではないですが、その分だけ記録を見返しながら自分のスタイルを練り直す一助として先月より始まりました「RUMBLE LOG」。今回も撮影当時の裏話や各スタイリングのアザーカットと共に「RUMBLE LOG」お楽しみ下さい。

RUMBLE-004 Model: ASUKA ZUKERAN

まだまだ「RUMBLE」がスタートして間もない頃のスタイリングは、定番のスタイルを紹介していこう的なのが多いですね。デニムジャケットをスタイリングに組み込むにしても先ずはスタンダードな着こなしやアイテムコーディネートが主軸になっていて、現在の「RUMBLE」よりも固い感じがします。

スタイリングの際に、皆さんも無意識であっても大きく方向性が2つあって、“アイテム先行”か“スタイル先行”か?を決めてるんだと思うんですよ。まぁ、他にも“シチュエーション先行”ってのもありますが、日常的にファッションやシルバーアクセサリーを楽しむなら。アイテムかスタイルかになってくる中で言うと、この時のスタイリングはアイテム先行の傾向が強かったんではないかと。

タイミング的にSCHAEFFER’S GARMENT HOTELのデニムジャケットが入荷。SCHAEFFER’S GARMENT HOTELのアイテムに絞った紹介記事「SET UP」と同時掲載だったので、アイテム紹介的な部分を含めての「RUMBLE」だった事。リジットでボックスシルエットのデニムジャケット、しかもモロにアメカジスタイルのアイテムとなったらセットアップでどう着こなすか?の紹介的な要素を重視したと言う事でしょう。しかし、そんな中でも白のYシャツとデニムって着こなし1つで映えるなぁと感じる次第です。

この時の「RUMBLE」でアイテム紹介要素が強いと実感するのは、同じデニムのセットアップでも、もう1スタイル紹介しているところですね。デニムのセットアップでも他のアイテムを変化させる事でどうなるか?みたいな部分。現在では「WELL-BEING」として発展していってますが、当時は着こなしの比較よりも単なるアイテムチェンジの比較に留まってしまっています。まだまだプロジェクト的な未熟さが大きかったせいでしょう。

何せ、当時はモデル側もプロジェクトの発展性や方向性について詳しく説明されていないまま。「スタイリングの撮影だから」だけで参加していたので、多くが現場合わせで行われて事と、同時期にLoud Style Designのプロジェクト「XOX」がスタートしたのもあって、撮影自体に練り込みが足りないのが今になって見返すと感じる点ではあります。アイテム紹介は重要ですが、「RUMBLE」はスタイリングプロジェクトである事を考えると、もう少し練り込んだ撮影でスタイリングに重点を置くべきだったのでは?と反省の大きな撮影ではありました。

 

RUMBLE-010 Model: NAOKI MUTO

デニムジャケット、特に昔ながらの“Gジャン”と形容されるスタンダードなシルエットやデザインのアイテムだった場合に、セットアップ以外にどう合わせていこうか?の1つがこの時の「RUMBLE」。季節的な部分もあって、全体的に重くならずレイヤードで云々よりも、サラッとデニムジャケットを着こなすスタイリングと言ったところでしょうかね。

スタイリングってレイヤードを減らせば減らす程に難しさが増してくるんですよ。シルバーアクセサリー着けこなすにしてもそうですよね。1点だけでベストな着けこなしするとなったら、色々と重ね着けするよりもサイジングやボリュームも合わせてコーディネートの重要性が増す。シンプルでスタンダードって簡単そうに見えて自分に合わせる為にアイテム以外の部分で色々と必要になってきますし。

この時期ぐらいの「RUMBLE」は撮影方法にしても自然光メインで撮っている事が多く。(季節的な都合もありますが)先述した様にLoud Style Designのプロジェクト「XOX」の進行と同時期だったのもあって、力強いスタイリングや写真よりも自然体でデイリーユースなスタイルへと移行し振り幅を広くしていた時期でもあります。因にこの「RUMBLE」以降、モデルのムトゥーメンは「WELL-BEING」の撮影にほぼ専任して貰う事になり、現在の体制に近くなっていきます。

時期的にはCOVID19の影響で世間のザワつきが大きかった自粛ムードが残る中でしたので、気負わないスタイリングを提示してシルバーアクセサリーの楽しみ方を増やしていこうと。何せ、外出がちょっとコンビニ行くくらいでも制限する人がいた時期ですから、必然的にガッチリしたスタイリングよりも何処かしらにリラックス感が出ていたんではないでしょうか。そう言った意味では「REFUSE」のスタイルの中にもリラックスやチルな要素が存在しているのを提示する機会になったとも言えますね。

 

RUMBLE-015 Model: TAKEFUMI OGATA

スタイリングの重要なポイントに“キャラクター性”があるかと思います。自分の個性を引き立たせると言う意味でも、自分を演出すると言う意味でもファッションやシルバーアクセサリーを楽しむ醍醐味にもなってきますね。この時の「RUMBLE」は演出という意味でスタイリングを行っているのが読み取れます。

初期の「RUMBLE」がスタイリングそのままやアイテム自体をお勧めしていたのに比べると、この時期ぐらいからキャラクター性のあるスタイリングへと移行。スタイリング全体を参考にして貰いつつ要所要所の着けこなしやアイテムの合わせ方、コーディネートを取り入れてみて貰おう。って、なってきてるんですよ。デニムのセットアップと言うだけなら二度目の紹介ですが、見比べてみるとアイテムの活かし方がより良く出ているんじゃないかと。

その分だけ様々なアクションの中でアイテムがどう見えるか?を意識した撮影へとなっていき、掲載写真の枚数も解説も長くなりだしました。初期の「RUMBLE」に残っていた“雑誌掲載形式”に納まる範囲から脱し、出来る限り詳細までお伝えしていくWEBならではの形式に完全に移行した時期でしたね。悪く言えば必然的に長くなった記事を読む必要が生じてきたとも言えますが・・・・・。

キャラクター性と書きましたが、その分だけアイテムも印象の強い物を組み合わせて演出力も高くしていますし、撮影の方もスタイリングの雰囲気に合わせてコントラストは強め。フォーカスも前ボケや後ボケを多用して各箇所を引き立たせる手法が目立つ様になり、現在の「RUMBLE」に近く纏まってきた感がありますねぇ。余談ですが、「XOX」の撮影が全てGALLER REFUSEで行われていた影響で、「RUMBLE」やその他の撮影はGARAGE REFUSEで行われる事が増えていた為、これ以降はロケでの撮影が増えていく事となっていきます。

過去の記録を振り返れば、現在との差異で悔やまれる事も惜しまれる事も尽きないです。けれども、現在へと繋がる過程や変革点が与えてくれる刺激は、時に新しさよりも強く響いてくるんではないでしょうか?時間が経ち年齢を経て感性が鋭さを失ったと感じたら、自分が鋭敏だった過去の記録を辿ってみれば、本当に自分が求めていた刺激が見出せるかもしれません。積み重ねていく記録に、刺激と楽しみを見出して頂けたなら幸いです。

 

[STYLING ITEM]

掲載させて頂いたアイテムはGALLERY REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、

ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

ONLINE STORE

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more