ONE MAKE RHAPSODY -TOMOKI TAKACHO EVENT CASE-

気軽に使用している言葉だけれど深い意味や定義を考えた事は無い。日常的にもそんな事は少なく無いのでしょうし、シルバーアクセサリーの世界に焦点を絞ってみても、そんな深く考えないままに使用してしまっている言葉は、販売するSHOP側や制作するメーカーやクリエイター・ブランド側にも多々ある様に思われます。「ONE MAKE」はそんな言葉の中でも特に都合良く使われている言葉でしょう。

業界用語としては、シルバーアクセサリーブランドやクリエイターが“1点物”の意味で使用している「ONE MAKE」、他の様々な業界にも存在する一般の用語とは意味合いの異なる点に於いては他業種でも同じ様に業界用語は存在しているし、其処に何か問題が有るか?と言えば無いのでしょうが、物を売る側・紹介する側・制作し発信する側には言葉の深い意味や定義は考え決めておいて欲しいものです。

明確な定義を設けなかったからこそ多くのブランドやクリエイターが発展させてきた「ONE MAKE」には、1点物の意味合い以外にカテゴリーとしての明確な決まりは存在しません。2000年代の初頭頃から使用され始め広がったシルバーアクセサリー業界での「ONE MAKE」という概念は、モータースポーツの世界に於ける用語やスノーボードの世界で使用される意味とも違い、統一された意味合いよりもクリエイターやブランドによる定義が重要なカテゴリーとなったのではないでしょうか?

2000年代初頭から、「ONE MAKE」の概念を提唱し始め「ONE OFF」や「Order made」との違いをインプロビゼーション(即興性)によって明白に示し続けてきたクリエイターである高蝶にとっては、本来の“1点物”を示す英語の「One of the kind」と制作する「Make」の意味合いが強く、実験的であり複製する事が出来ない唯一無二な物である事に加えて“ライブ感”を物に投影する事もバリエーションの一つでしょう。

 

MAKING EVENT at INSTA SHOPPING

雰囲気としてのライブ感では無く、実際にライブでクリエイションを行うからこその鬼気迫る迫力やソリッドな質感には、ライブに於けるインプロビゼーションだからこそ独自の制作手法が発揮され、普段の制作では目にする事も無いライブ専用の技術が存在する事を伺わせます。つまり、ブランドとしてと言うよりもクリエイターである高蝶が最もインプロビゼーションを発揮し、技術やセンスを発揮するのがライブである。今回はつい先日行われたクリエイションイベントでの「ONE MAKE」を紹介しながら、そんな魅力に触れていきましょう。

今回はイベント時に制作された各アイテムについて記述していくよりも(アイテム毎の詳細は別の記事で行いますのでお楽しみに)アイテムの写真と共にイベントに於ける「ONE MAKE」について話を進めていきたいので、先ずはクリエイターである高蝶の特殊性について少し触れない訳にはいかないでしょう。

「Loud Style Design」を筆頭に、「VANITAS」「ANOTHER HEAVEN」とブランドを同時に展開し、国内外問わずアパレルブランドのジュエリー部門を担当する等、幅広い制作実績を持ちながら一貫して地金の加工による制作スタイルを変えない様は異常とも言えます。

そう異常ではあるのですが、言葉通り他とは“異なっているのが常”である高蝶にとっては同時に幾つものブランドを展開し、イベントやライブを行う事も常であり続け、20代の頃から「常在創作」を座右の銘に据えた生き方を実践してきたからこそ、現在の様なインプロビゼーションによるクリエイションをライブで可能にしてきたと言っても過言では無いでしょう。

そんな高蝶のライブクリエイションを近年であれば「SPEED SPECTER」のイベントでご覧になった事がある方も多いとは思いますが、メインであるクリエイションでは地金板やプレーンなリング等を起点にしていて、ベースとなるブランドが存在しません。

オーダーメイドに応じている場合を除けば、殆どのクリエイターやブランドが「ONE MAKE」若しくは「ONE OFF」と呼ばれる1点物を制作する際には、自身のブランドからベースとなるピースを用いる、良くも悪くも“お決まり”の中で制作をしているのに対して、完全に自由な創作でライブを行う異常さは当然ながらブランドに於ける「ONE MAKE」の幅も広げていることは、ご覧になって頂いている通り。

高蝶がイベント時に制作する「ONE MAKE」がブランドの新作にしたとしても遜色が無いレベルになる事が多いのは、起点がヴィジョンを掴む事である際です。ヴィジョンを掴んで進められる「ONE MAKE」の場合、ベースが無ければベースを創りピースが無ければピースを創る手法で進められているからで、真新しさの中にアイデアやセンスとしてはブランド固有の特徴が発揮されるからでしょう。

では逆にブランドのピースを起点にした場合ではどうなるかと言うと、選んだピースをアイコニックに使用し際立たせる為の組み合わせによる纏まりの良さは、レギュラーアイテムとして存在していても遜色が無い物へと昇華させていき、シルバーアクセサリー業界の一部で主流となっている“無茶した感”は皆無となります。

イベントに於ける「ONE MAKE」となった時に、皆さんがブランドに求めるのは何でしょうか?ブランドのピースを多く組み合わせた派手なアイテム?ブランドのベースを活かした彫りを披露するアイテム?無茶な組み合わせで奇を衒ったアイテム?どれにも素晴らしさがあり魅力が存在するのでしょう。

しかし、物の良さの基本となるのは存在している事の自然さ無理のなさではないでしょうか?身に着ける物となれば尚更です。一見すると迫力があるアイテムや、控え目に見える静かなアイテムでも、其処には存在する事の自然さを生み出すアイデア・バランス・センスを短い時間の中で凝縮する技術が込められている。高蝶がイベントで行う「ONE MAKE」の定義とは、そんなところに在る様に思えます。

 

ご紹介をさせて頂いたアイテムの一部はGALLERY・GARAGE REFUSEでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more