STORY OF LOUD

長く続いていく物語には多くの起伏を伴う。一個人の人生で捉えてみれば誰でも解る様に、感情であれ事象であれ起伏は繰り返される。自らが行動する人にとっては尚の事だろう。何も起こらない平坦な人生を望む人、何かが起こって欲しいと望みながら日々を過ごす人。どう望もうとも起伏の波は行動に由来する。其れはブランドも同じ事だ。クリエイターの高蝶が自らのブランドに「Loud Style Design」と名付けたのは、最初からブランドと言う物語の起伏が激しくなる事を理解していたからだったのだろうか?

5月、6月と「RETURN OF THE LIVING DEAD」と銘打って行われLoud Style Designの新作リリースを少しお浚いすると、「THE NUMBER OF THE FUCKER」として展開していたコレクションを再構築しながら再編していくベクトル。新たに製作した原型によるニューモデルをリリースするベクトル。この二つのベクトルを組み合わせた内容だった。ブランドの物語が20年を超えると、一般的には安定期に入って焼き直しや定番化でリリース数も起伏も減らしていく時期になる。そうでもなければディレクターやデザイナーの交代によって刷新を行う時期だろう。ブランドにとってビジネスが切り離せない以上は当然の事だ。そして、大きな問題点はもう一つある。20年以上前に定めたコンセプトやテーマが、現在でも通用するか否か?世間に対しても自分自身に対しても。

こうした問題については高蝶自身が「THE VALVES」OFFICIAL YOU TUBE」の中で答えている通り、「自分自身がまだ、このブランドを好きかどうか?」がブランドと言う物語を継続するにあたって大きなポイントだと。その答えは、2020年に行われたプロジェクト「XOX」から2年半の間にLoud Style Designとして制作された多くの原型を一切使用せずに「RETURAN OF THE LIVING DEAD」を開催した事からも理解出来る。20年を超えて尚、Loud Style Designと言うブランドの物語を描き続ける新たな覚悟を示す意思が其処には存在した。

クリエイターの高蝶が自らのブランドに「Loud Style Design」と名付けたのは、最初からブランドと言う物語の起伏が激しくなる事を理解していたからだったのだろうか?寧ろ、起伏の波を激しくする事を当初から覚悟してだったのだろう。そして、其れは現在も変わらずに続いている。

 

MOTOR CYCLE、HOT ROD、ROCK N’ ROLL、PUNK、HEAVY METAL、LOUDと称されるカルチャーに共通する美学や哲学。そこに在る言葉では表せない衝動、心を突き動かし続ける真実を掴み取る事で生み出されるプロダクト。
造型物としての美しさを追求し、身に着けた人のスタイルとなるアイテムを自分達の手で製作する事を根幹とし、LOUDなSTYLEをDESIGNする事で創り続けるのは、深く刻まれる生き様や思想と重ね合わせ身に纏う真実。一つの真実が、手にした誰かのストーリーになりスタイルとなる。

Loud Style Designの全ては、銀という素材を直接加工する事で創り出す原型に端を発し、想像を創造へと進化させる技術を研鑽し、装像を送像する為のアイデアを練る事で転がり続けながら、不変のバランスに独自のストーリーを刻み、流れ去って行くデザインでは無く、永く在り続けるデザインを生み出す。