SEMBL Art Exhibition: Washing

” 思考に気をつけなさい それはいつか言葉になるから 言葉に気をつけなさい それはいつか行動になるから

  行動に気をつけなさい それはいつか習慣になるから 習慣に気をつけなさい それはいつか性格になるから

  性格に気をつけなさい それはいつか運命になるから “

聖人として名高いマザー・テレサによる言葉は、カトリック教会によるキャンペーンの旗手としての彼女を思えば本人の言葉であるかは疑わしいし、ドキュメンタリー「地獄の天使」(英国 Channel 4:1994年)で語られた様に聖人と呼ぶには値しないのかも知れないが、彼女が残したとされる言葉には確かに普遍的な意味合いを含むものが多い。冒頭に記した言葉はそんな中でも特に教訓めいていて、人が忘れてしまいがちな“繰り返す事による危険”を説いている。

繰り返す事。「継続は力なり」とは言うが継続はともすれば惰性へと陥り易い。つまり、選択をしている様で選択になっていないのだが、日々の暮らしや日常の生活とはそうしたルーティンの重なり合いで、それでも繰り返す事によって変化はしていき何かしらの結果を齎す。そんな意図が込められているかどうか、実に5年ぶりにSEMBLによるアートエキシビジョン「Washing」が3331 CUBE shop&galleryにて開催されている。

タイトルが示す様に繰り返す“せんたく”が何をどう変化させるかを見せるシンプルな手法。視覚的に判り易くブラックで統一されたアイテムを実際に洗濯する事のみで、生地色の変化や風合い擦れ跡を醸し出し、霞んで行く事で最初に存在していた状態を思わせてくれる。シンプルだが日々の“せんたく”が人の心情や情熱に何を齎すのか?を重ね合わせている様な表現は、年月を重ねる中で誰にでも身に覚えがある楽しみや憂いの、面白味と危険性の部分を突いてくるのでは無いだろうか。

ストレートに書くならば、過去にSEMBLが行ってきたアートエキシビジョンやコレクションと比較すると、ノイズに該当する部分が薄くなった印象を受ける。そのノイズの薄さは年月を経た表現の変化なのか、繰り返した“せんたく”故になのかは判らないが、ノイズの濃さが好みの人もいれば薄さが好みの人もいるだろう。どちらが正解と言う話でも無く、選択の結果が現時点で示されているという事だ。そう言った点でも実際に足を運んで鑑賞しておく事をお勧めしたい。

選択は日々、毎分毎秒と意識下でも無意識下でも行われる。しかし、習慣となった“せんたく”は時に多くを見失いがちで当たり前となった思考は見失っている事すら見失わせる。そうして辿り着いた結果を運命と呼ぶかどうかは、その人次第と言う事になるのだろう。だが、日々行う“せんたく”とそれによる結果は自分が思うよりも随分以前に、既に選択されている事は忘れないで欲しい。最後を今一度、マザー・テレサによる言葉からの引用で締めよう。

GOD doesn’t require us to succeed. He only requires that you try.

” 神は私達に成功して欲しいなんて思っていません。ただ、挑戦する事を望んでいるだけ “

 

 

SEMBL Art Exhibition 「Washing」

2021年11月3日〜2022年1月10日 11:00~19:00

3331 Arts Chiyoda CUBE shop&gallery:〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14

 https://www.3331.jp  

 

SEMBL: https://sembl.shopinfo.jp

 

人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?

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