EVENT REPORT:Ability Normal

原因や理由を探る様にデザインのモチーフやルーツを探るのは、肯定にしても否定にしても価値観を定める大きな要因となるからだ。残念な事に多くの場合に美しさや魅力に対して、ある一定以上の経験や年数を経ると私達は素直に受け入れられる程には純粋では無くなるのかもしれないが、クオリティを見定める審美眼は年齢と共に高くなっていく傾向にある。もし、そうでは無い人がいるとしたら極端に純粋か極端に愚鈍な感性の持ち主という事になる。

前置きが長くなってしまった、そろそろ本題である「Ability Normal」のイベントレポートに入るとしよう。モチーフやルーツを特定させない感のあるデザインワークと複雑に絡み合う様な構造で既存のデザインバランスを更新してみせた佐藤雄太が手掛けるこのブランドは、発足当初から着実な進化を遂げて多くのフォロワーを生み出した。

皮膚の下で絡み合いながら機能美を有する筋繊維や生命体の構造を金属で表現しているかの様に、多くの曲線が交わりつつも洗練されたシェイプと連続性の中に伸びやかな美しさが存在する。こうした表現方法が見る者に想起させるのは、細密で複雑であることのダークなグロテスクさよりも、何処かスペイシーで神秘的な世界でありレイヤードの“間”が想像力を掻き立てて惹き付ける大きな要因になっている。

制作の現場を見せるイベントにしても、手慣れたパフォーマンスと落ち着いた空気感でワンメイクを仕上げていく様は、場数を踏んできた流石の安定感と言うべきか。ライブである事が身体に染み込んでいる創り手になると意識せずとも手運びが自然とライブでの仕様になっていくのだから不思議だ。

この日イベント会場となった「SILVER GEEKS」は、シルバーアクセサリー好きならお馴染みのSHOPだが、それだけに目の肥えたオーディエンスが多く審美眼は厳しくなっている事だろうが、それを惹き付けて納得させるだけのワンメイクとSILVER GEEKS限定となるアイテムが披露されていた。

単純に整列し積み上がった美しさも存在するが、人生や生命の構造はより複雑でありながらバランスが成立しているからこその美しさも在る。どちらの美しさが好みなのかは個人の判断でしかないだろうが、ブランドとして「Ability Normal」が成長してきた道程や積み上げてきた実績のカタチが、重なり合い絡み合う曲線と間が生み出す美しさの様に成立したイベントだった事は間違い無いだろう。

Ability Normal:http://www.abilitynormal.com

取材協力SILVER GEEKS:https://www.stfreak.com/geeks/index.html

人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?

新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
物を創るという行動、その為に必要とされる刺激を表現する事で、誰かが行動する為の燃料になる様に、クリエイティブの現場をフォーカスし、そこに携わる様々な事象や場所・人達を幅広くお伝えしていきます。