F.A.L -TOKYO- GUEST WORK

タイトルが妙に引っ掛かるとか気になる事が時折あるのだが、F.A,L –TOKYO-で行われていた「GUEST WORK」もそんな中の1つだ。ブランドに取ってのフラグシップSHOPにブランドのクリエイターが来てゲストワークと聞くと少し妙な気がしてしまっていたし、気になると更にその内容や理由が知りたくなると言うもので、7月に行われた山本義幸によるゲストワークにお邪魔して話を伺ってみた。

2月に掲載した記事「F.A.L TOKYO REOPENING」で紹介させて頂いた様に、以前の原宿から上野へと場所を移したF.A.L -TOKYO-はワークスペースを備え、よりブランドの醍醐味を身近に味わえるSHOPとなっており、現在の様な社会情勢下でなければFALが得意とするLIVEメイキングを合わせたイベントが定期的に開催されていた事だろう。それだけに、代替案としてのゲストワークと言う事なのかと思っていたが、山本義幸によるとワークスペースの使い方はイベントとしての場合とゲストワークとしての場合で異なるらしい。

細かい違いは興味があれば本人に聞いてみて欲しいところとさせて頂いて、要約するとキッチリしたLIVEイベントよりもカスタマー1件1件の要望を詰めたカタチで余裕を持ってこなし、自らのSHOPであってもゲストとしてワークスペースを使用する事は、他のクリエイターやクラフトマンも使用可能な状態を保つ為であり、張り詰めた緊張感よりもフランクな空気感の中でカスタマーに対しての作業に勤しむ。と、言ったところだろうか。

ブランドのクリエイターとして活動する以上はクリエイティビティの発揮も重要だがカスタマーのオーダーに応える事も同じく重要だ。そうした重要事項の片側を自らのSHOPにゲストワーク形式で行うパフォーマンスの向上は、工房に篭って密室作業になりがちなシルバーアクセサリー業界のクリエイターとしては面白い動きであるし、SHOPを構える事が減ってきている現在ではコアなカスタマーを満足させてくれる。

2021年末にはブランドにとって最初のフラグシップSHOPであった名古屋の「Gallery Venom Glow」をクローズさせる事も決定している山本義幸にとって、F.A.L -TOKYO-でのゲストワークは激しくなるであろう動向の中、ルーティーンとして自らを安定させる意味も込めているのではないだろうか?新作やカスタム・ワンメイクをこなしつつ新たな試みにも取り組み続けるFALの動向に今後も注目して頂きたい。

 

F.A.L: http://www.fal-d.com

F.A.L TOKYO 東京都台東区東上野1−22ー1

 

人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?

新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
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