ONE THING 03: KOMY (FAKTORY)

何か一つに懸けて事を成そうとする姿は、過程であるにも関わらず傍らに美しさが見え隠れする。何かが成される時、それがどんな場所でどんな事であってもその中心に存在するのは完成された美しさだ。

FILE 03: KOMY (FAKTORY)

Los Angelesダウンタウンの乾いた風と熱気をくぐり抜け、人が疎らになった地域の一角に在るBREWERY ART DISTRICT。その中で陽射しの射し込むテラスの奥に見るからにD.I.Yによる扉を備えた“FAKTORY”が存在している。このアートスタジオでありショールームであり生活の場でもある空間が、アーティスト・KOMYにとっての主戦場であり憩いの場でもある。

KOMYの事をどう括って説明するかは難しい。アーティストやクリエイターとして語る事も出来るのだが、ブランドオーナーでデザイナーでもありタトゥーアーティストとしても活動しピンストライパーでもあるし、自分で出来る事は何でも創ってしまうD.I.Yが得意な男でもあって………、活動内容を並べるだけで既に説明が難しくなってしまう。

“多種多様”という言葉が。これだけ似合うアーティストも少ないと思うが、作品に一貫している既成概念や常識的な手法をなぞるよりも自分の直感を信じて創作に向き合っている点で、その内容の繊細さとクオリティの高さがとても独学だとは信じられない程だという事だろう。FAKTORYに並ぶ作品の数々、いやFAKTORYという空間その物を見ると解る事だが、直感を信じながらどうやって構築していくか?を行動と同時に進めていく能力に優れたアーティストだ。

物創りに於いて“コツを掴む”というのは技能を一定水準以上に引き上げる為には必ずと言っていい程に通る道なのだが、KOMYの場合はその道の通り方が異常に速いのかもしれない。一貫した自己流がD.I.Yへと繋がり“思い付き”をカタチにする為のガレージスタイルなFAKTORYを主催するに至った事を思うと、そう考えざるを得ない。

そう言えば多種多様なアーティストであるKOMYにはもう一つ得意な事があった。もし、FAKTORYに行く機会が、そしてKOMYの機嫌が良かったらオーダーしてみるといい。とても美味しいBBQが食べられるだろう、ファニーな笑顔と共に。

人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?

新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
物を創るという行動、その為に必要とされる刺激を表現する事で、誰かが行動する為の燃料になる様に、クリエイティブの現場をフォーカスし、そこに携わる様々な事象や場所・人達を幅広くお伝えしていきます。