ONE THING 02: NORITAKA MURATA (CAMURO LEATHER PRODUCTION)
何か一つに懸け、事を成そうとする姿は過程であるにも関わらず完成された美しさを持つ。何かが成される時、それがどんな場所でどんな事であってもその中心には完成された美しさが存在する。
FILE 02: NORITAKA MURATA (CAMURO LEATHER PRODUCTION)
古くから作家や職人の世界には“破落戸(ならずもの)”や“ぶっきらぼう”である事の美学が存在していたが、近年ではそうした作家や職人は少なくなった。時代の流れが美学や美意識を変化させるのは仕方の無い事だが、“ぶっきらぼう”と言うよりも寡黙や人見知りでインドアな雰囲気の作家や職人が増えてきている中では、不良少年のままで創り手へと成長した者の存在を期待してしまう。
村田典隆の工房である「冠 –CAMURO-」を訪ねると、乱雑とした素材と工具の並びに職人としての気質を疑いそうになるが、一度作業に取り掛かると空間の乱れとは相反する様に物創りを進めていく姿が印象的で、「決まりきった作業を繰り返せる事だけが職人ではない」とでも言いたげに新たなプロダクトに挑んでいく。
愛嬌よく会話する村田氏には職人のぶっきらぼうな側面を感じる事は無いが、計算されて決まりきったセオリーを打ち破ろうとする美学と物創りで生きていく事の美意識がはっきりと伝わってくる。破落戸と言うよりは“野風増”という言葉がよく似合う、そんな男だ。
人が動き続けるのに睡眠と食事が必要である様に、毎日の暮らしを行うには住居が必要になる。しかし、それだけで目紛しい世の中をタフに生きていけるだろうか?
新しい何かを見つける為の刺激や、自分らしくある為のスタイル。何か行動を起こす為には心に響く燃料が必要だ。音楽やアート、嗜好品やファッション、誰かとの時間やスポーツ。そして、旅とクリエイティブ。
物を創るという行動、その為に必要とされる刺激を表現する事で、誰かが行動する為の燃料になる様に、クリエイティブの現場をフォーカスし、そこに携わる様々な事象や場所・人達を幅広くお伝えしていきます。