VANITAS ONE MAKE CASE: GALLERY MADE

新しいガジェットやギアを手に入れると、性能をテストしてみたくなったり比較してみたくなったりしてしまうものだ。ある程度の想定をして何かを手に入れるとしても、実際に動かしてみるまで使用してみるまでは判らない事も少なく無い。それだけに、性能をテストしてみたくなるのは人の性と言うべきなのだろう。通常であれば1点に絞ってONE MAKEをリリースするのがGALLERY MADEの恒例であったのに対して、先月はANOTHER HEAVENで3アイテム(HEAVEN’S ONE MAKE)。2月はVANITASで3アイテムとなった理由は、単純に新たなピースの性能テストであり、創り手である高蝶の性癖と捉えるのが正解な気がする。

その性癖がどう露呈してくるか?を見るのにONE MAKEは最適だ。技術を誇示したがるタイプか、ウケを狙っているタイプか?一辺倒なタイプか、売上を重視しているタイプか?時期やタイミングによって変化するのは勿論だが、ブランドや創り手の性や癖が反映されているのは間違い無い。では、VANITASに於ける高蝶のタイプはどうだろうか?一言で言えば“ブルータルな劇画”になるだろう。金属を責め続けて描写する事が先頭に立ち、それに耐えられるか?の性能テストがカタチとして昇華される。性癖重視のタイプに他ならない。

2月のGALLERY MADEでリリースされたVANITASのONE MAKEを見てみると、最も実験的に感じられるのはブレスレットだろう。この組み合わせ方について元々はレギュラーでリリースする事を考えていたらしいが、他のアイテムとの並びの悪さからアイデアを具現化させないままとなった。確かに実験的で特殊な組み合わせが目を惹くし、身に着ける人を選んでしまいそうなデザインはONE MAKEで具現化するのが最適だったかも知れない。

キーモチーフのペンダントはレギュラーアイテムと言われても納得してしまうバランスの良さが際立つ。サンドキャスト等で見る事の多いバリや気泡痕を活かしてアンティークの印象を生み出すテクスチャー。新旧のピースが無理無く組み合わさった纏りの良さは金属を責めるサディスティックさとは無縁な感じすらしてしまう。この纏りが良くなる事で実験性や性癖が根幹に在るのにアイテムとして昇華されるのもVANITASの不思議な特徴だ。

最も解り易くストレートな描写を行なっているアイテムを今回リリースされた中で挙げるならスカルリングになるだろう。ジーザスを想起させるスカルとイバラの組み合わせにネイルを打ち込んだデザインはそれだけで意味深だが、イバラの伸び方や吊り下がったチェーンによってパイレーツやヒッピーのカラーを感じさせもする。劇画タッチな造形にブルータルな表現を加速させるのは眼窩を通るネイルだろうし、金属を責める性癖も最も解り易く露呈しているリングと言えるだろう。

新たなレギュラーピースを創り出した事によってVANITASの性能自体がグレードアップしたことは確かだが、ブランドとは性能がグレードアップしただけでは終わらせられない。可能性がどれだけあって方向性を幾つ示す事が出来るのか?性能テストを繰り返しながら次へと進めていく。VANITASが次の段階へと進んでいくには、まだまだ性能テストを繰り返す必要がありそうだ。

 

ご紹介をさせて頂いた作品はGALLERY REFUSEにて展示販売をしております。

作品を手に取り、ご試着が可能となりますので、ご興味があるお客様はぜひともご来店ください。

 

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