REACH OUT and TOUCH LOOM OSAKA 2nd
業種や業態の違いに関わらず催される顧客向けのイベントは、種蒔型と収穫型の2パターンに分けて行われる事が多い。プロモーションを主としてPR活動とマーケティングの意味合いが強い種蒔型は、後々の収穫を見込んで行われるので試供品やプレゼンテーションは無料で提供される。セールスを目的とした収穫型のイベントは限定商品やノベルティーによって購買意欲を唆り、収穫量を増やした刈り取りを行おうとする。前者は宣伝主義のプロパガンダと揶揄され、後者は拝金主義やマンモニストと揶揄されがちだが、経済活動としては至極真っ当な行いであるし、こうしたイベントを楽しんでいる人はむしろ大多数だろう。基本的に企業や店舗が行う顧客向け、或いは潜在顧客や新規開拓で行われるイベントは種蒔型と収穫型の2パターンの繰り返しで、そしてこの何方にもパフォーマンスは付きものだ。それはファッションやシルバーアクセアリーの世界でも何ら変わらない。
こうしたビジネスに於けるセオリーは論理的に語るまでもなく慣習化され、謂わば常識的な範疇になってくるのだが、それだけに非常識な行いに分類されてしまう結実型と言うべきイベントを行う者もいる。クリエイターの高蝶が長年行ってきている「SPEED SPECTER」が良い例だろう。クリエイションが主軸でありパフォーマンスは創作の一点に絞られる。と、なると必然的に種蒔量も収穫量も軽減され、悪く言えばプロモーションやセールスは二の次となるので、イベントを行う会場側のSHOP等からしてみればビジネスとしての旨味は少ない。それでもやはり。と、言うべきか今回行われているVANITASの「REACH OUT & TOUCH」も結実型のエキシビジョンツアーとなっている。
アートエキシビジョン等で起こるケースとして、表現や創作に軸を置いて具現化する事やパフォーマンスを披露する事に特化させた例は見受けられる。しかし、ブランドの活動として10年を超える経歴で結実型のイベントを行っている方も稀だが、それに付き合うSHOP側も中々のものだと思わざるを得ない。先述した様に常識的な判断であればイベントを行うか否かの判断基準は、第一に種蒔量や収穫量が多いか?労力に見合う売上が立つかどうか?に、なってくるからだ。新人や新規のブランドをフックアップする意味合い以外で、結実型のイベントを行えるSHOPはあまり多く無い。
ビジネスや業界的な常識がどうであれ、結実型のイベントが特化している点を挙げるとするなら経過も含めた面白味に尽きるだろう。開催する毎にアイテム数が増していく「REACH OUT & TOUCH」では特に、ツアーとして1周目に開催したSHOPに2周目で戻ってきた際の変化を楽しむ部分は大きい。LOOM OSAKA での2周目の開催は、短期間でVANITASとしてどれだけ結実させたか?を見るのに最適となるに違いない。
TOUR SCHEDULE
2022.10.22(Sat)- 10.31(Mon)
LOOM OSAKA 大阪府大阪市西区北堀江1-14-21大和ビル1F TEL 06-6534-1630 URL: http://loom-osaka.com
ラテン語で空虚を示す言葉であるVANITASは、生命や存在の儚さ空しさを独自のテクスチャーと様々な加工技術によって表現する事をテーマに、崩れ往く過程や錆びて朽ちる様、其の「今」という瞬間を切り取り「現在」に具現化させる。
ヨーロッパアンティーク調の様式美や、アメリカンヴィンテージの質感を取り入れながら、廃墟美にも通ずるデザインとフィニッシュは、大胆さと繊細さを兼ね備えながらも様々なシーンにフィットし、共に時間を経る毎に「今」を刻んでいきます。