REACH OUT and TOUCH

何かに触れずに生きている生物は存在しないだろう事は明白であるが、触れずとも目にして強く感じ取る事が出来てしまうのが人間と言う生き物だ。現在のインターネットに於ける配信サービス隆盛よりも遥かに以前から、新聞やラジオと言った文字や言葉でも、雑誌やテレビによる写真や映像に対しても人間は多くを感じ取り触発されてきた事もまた明白だ。メディアの力が強くなるのはある種、脳が発達した生物である人間にとって必然とも言えるのかもしれないが、それだけにこの2年余りは実際に触れる事の重要性を深く感じさせたのではないだろうか?

シルバーアクセサリー、ジュエリー。身に着ける事を大前提としたアイテムもまた、映像や写真の精度が上がり容易に実像が捉え易くなったのは確かだ。とは言え、である。如何に利便性が増した現在であっても、身に着けるアイテムを実際に目にして触れられる機会を設けるのはブランドやSHOPにとっての使命だろう。特に、制限の多かった期間の出口が見え始め、これからのアクションを示そうと言うタイミングであるなら尚更だ。

順を追ってと言い表せば良いのか、REFUSEとREFUSEから生み出されるブランドのアクションは、この2年余りの間で当然ながら大きくブレーキをかける事となった。「XOX」のプロジェクトがスタートを切っていたLoud Style Designはプロジェクトの完遂をもってアクションを停止し、新たなスタイリングの練り込み期間へ入り。間を空けてANOTHER HEAVENは展示会を行い、GALLERY MADEが23周年に伴い再開。今回の話の主題となるVANITASは、1年以上前に「for RESURRECTION」でのリリースを最後に、ONE MAKEのリリースを除けば沈黙状態となっていたが、漸くのアクションとなる。

VANITASの持つ二面性。ヨーロピアン・アンティークや宗教美術的な様式美の側面と、崩れ錆び付いた廃墟を思わせる金属の肌を活かした側面の両極端な美しさ。リリースを待ち構え沈黙期間に用意されていた原型数は60アイテムを超えていた事もあって、「for RESURRECTION」での展開や海外でのリリースによってラインナップを編集する為のテストが先に行われ、既に編集作業を終えている部分もあるとは言え、リリースのタイミングが決まると更にクリエイテビティを発揮してしまう高蝶の癖は全く治っていない様だ。

ポップアップの形式で東京・神宮前の「ROYAL FLASH」を皮切りにスタートする展示ツアーは、回を追う毎にアイテム数の増減を繰り返す内容になる。VANITASと言うブランドが何処かしら浮遊感のある状態で展開されている事を鑑みれば、新作として発表されてもワンシーズンやワンアクションでリリースを終了させる可能性も大きく、一期一会となるアイテムもあるだろう。果たして、最終地点ではブランドのラインナップが何処まで拡大され新たな構築となるのかも含めて、実際に触れる事の出来るこの機会を楽しんで頂きたい。

 

TOUR SCHEDULE

2022.7.14(Thu)- 7.20(Wed)

ROYAL FLASH-Jingumae- 東京都渋谷区神宮前6-18-8 TEL 03-3498-2973 URL: https://www.royalflash-jp.com

2022.7.28(Thu)- 8.3(Wed)

LOOM OSAKA 大阪府大阪市西区北堀江1-14-21大和ビル1F TEL 06-6534-1630 URL: http://loom-osaka.com

2022.8.8(Mon)- 8.14(Sun)

ROYAL FLASH-Fukuoka- 福岡県福岡市中央区天神2-10-3 VIORO 4F TEL 092-406-4432 URL: https://www.royalflash-jp.com

 

ラテン語で空虚を示す言葉であるVANITASは、生命や存在の儚さ空しさを独自のテクスチャーと様々な加工技術によって表現する事をテーマに、崩れ往く過程や錆びて朽ちる様、其の「今」という瞬間を切り取り「現在」に具現化させる。
ヨーロッパアンティーク調の様式美や、アメリカンヴィンテージの質感を取り入れながら、廃墟美にも通ずるデザインとフィニッシュは、大胆さと繊細さを兼ね備えながらも様々なシーンにフィットし、共に時間を経る毎に「今」を刻んでいきます。