REACH OUT and TOUCH -END ROLL-

散らばった欠片を組み上げた際に出来上がるのは何か?映画を鑑賞していると多くの場合、最後に流れるエンドロールには携わった人達の名前や使用された衣装や音楽の名称を目にする。冒頭からエンディングまでに登場したキャラクターやシークエンスによって織りなす1本のストーリーが、エンドロールに流れる多くの人々や物達によって構成されている事。コレを逆から見れば個々の能力を集結させる事、言い換えれば細かな欠片が統合される事によって一つのストーリーを描いているのが解る。映画が総合芸術と呼ばれる所以は、単に映像や演技に音楽や演出が組み合わさるからだけで無く、携わった人々の能力の欠片を統合した作品であるからだろう。

傾けるベクトルや意味合いが違うが、映画とまではいかないまでも会社やブランドにも似たところはある。部署別に発揮した能力が統合される事で経済的成功を納める事やコレクションの成功へ至る道程には、欠片が統合され何らかの成果を生み出す面白さがある。では、ブランドのコレクションを携わった人の能力側からでは無く、アイテムの魅力・物自体を欠片として捉えてみたらどうだろうか?

コレクションの発表の為に半年近い期間をエキシビジョンツアーに費やしたVANITAS。ブランドにとってアイテム単体がコレクション全体に於ける欠片であって、構築されるスタイリングは劇中に登場するキャラクターだろうし、各会場がストーリーに於けるシークエンスとなった「REACH OUT and TOUCH」。そう考えると、当然ながら編集段階でカットされた欠片も存在するし、ツアー折り返しで行われたGALLERY REFUSEでの展示を1シークエンスとしかしていない内容にも頷ける。それだけに12月22日から開催されるGALLERY REFUSEでの展示もまた、エキシビジョンツアーとしてはエンドロールの役割を担う。

ブランドとして発足から10年が経過しても何処かしら浮遊感のある状態だったVANITASが、新たなフェーズへと進む為のエキシビジョンツアー「REACH OUT and TOUCH」。エンディングを迎えた後のエンドロールでは、どれだけの欠片でコレクションが校正されていたのかを見る事になるだろう。そして、新作のリリースと編集を行うと言うエキシビジョンツアーのテーマは、コレクションだけで無くブランド自体を編集するカタチで欠片を統合して2023年へと繋がっていく。

 

REACH OUT and TOUCH -END ROLL-
2022.12.22-31
INTEGRATION OF FRAGMENTS
2023.1.25~29
GALLERY REFUSE 東京都江東区森下1-13-11

 

ラテン語で空虚を示す言葉であるVANITASは、生命や存在の儚さ空しさを独自のテクスチャーと様々な加工技術によって表現する事をテーマに、崩れ往く過程や錆びて朽ちる様、其の「今」という瞬間を切り取り「現在」に具現化させる。
ヨーロッパアンティーク調の様式美や、アメリカンヴィンテージの質感を取り入れながら、廃墟美にも通ずるデザインとフィニッシュは、大胆さと繊細さを兼ね備えながらも様々なシーンにフィットし、共に時間を経る毎に「今」を刻んでいきます。