GALLERY MADE COLLECTION #8

価値は何によって決まるのか?店頭に並べられた商品に値が付けられていたら価値は決まっていると思い込みがちだが、価値が決まるのは誰かがその商品を付けられた値で購入した時になる。値が付けられて店頭に並んでいるだけの商品は売り手の希望する値が表明されているだけで価値は決まっていない。大袈裟に言えば、売り出された商品に付けられた値を誰一人適正だとせずに購入しなければ価値は決定されない事になる。シーズンや売り時を逃した商品が元値から割引されて売られる様になる事からも解る通り、価値決定権は実のところ売り手では無く買い手に有る。最も、この理屈は根本的な需要と供給の話であって資本主義経済が発展し過ぎた現在では通用する場面が極端に減った事も事実だろう。

-The value of stories-

システムが蔓延しアナリティクスとマーケティングによって価値が決定する事を良しとする現代では、人は価値に対して盲目的にならざるを得ない。マクロな視点で捉えるならば確かにそうだろう。では、ミクロな視点での価値とは何か?個々人に価値観が在るとは言え、何かしらの傾向がどのジャンルに於いても見れる筈だ。属性や世代、地域や特徴、そうしたマーケティングで語られる様な要素とは違った共通項。其れは購入する側がストーリーを見出せるかどうか、購入し所有する価値が有ると感じさせるだけのストーリーが備わっているかどうかだ。気を付けなければならないのはデザインやクオリティよりも、其れだけで価値が有るとされてしまう場合が少なくない。物を売る側、物を創る側にとって物語や背景情報を語る説明責任は有ったとしても、其れだけで購入されるのは望ましくない者も居るし、そうした拘りが特に物創りに於いては美徳でもある。経済活動的に正しいか否かは別にしてだが。

REFUSEの根幹にある理念。と、言うよりもクリエイターである高蝶は物創りに対し「誰かが身に着けての完成」「物を語らせて物語にするのは身に着ける人自身」そんな哲学を持っている。創作におけるストーリーは創り手である自分自身だけのものだが、其れは背景情報に過ぎずスタイリング等は説明責任と提案でしかない。そんな哲学に対してGALLERY MADE COLLECTIONでリリースされたGLAM SCALEリングは少々、喧し過ぎたのかも知れない。

そもそもこのリングがリリースされるに至った経緯や詳細はGALLERY MADE COLLECTION #1及びGALLERY MADE COLLECTION #3の記事をご覧頂ければと思う。本来は企画物として期間を限定しての販売にする予定だったが、GALLERY MADE COLLECTIONの発足と相俟って期間の限定を設けないままだった。しかし、GLAM SCALEリングの物語は一過性でしか無く、所謂ネタもの感が残るだけにリリースから1年が経過した事で終売が決定された。

GALLERY MADE COLLECTIONは敢えて狭い範囲に限定した物創りで、あり得たかもしれない可能性を具現化するプロジェクトだ。そんな狭い範囲に於いても高蝶の物創りに対する哲学は変わらない。一つの物を制作時間よりも遥かに長い時間を、身に着ける人がその一つの物と共に過ごすのだから、重要なのはその時間と共に構築されるストーリーであるべき。そのストーリーにこそ価値が有る。GALLERY MADE COLLECTIONは狭い範囲に限定された物創りだからこそ、その哲学は如実に反映されている。

 

*「GALLERY MADE COLLECTION」のアイテムは基本的に毎月開催されるGALLERY MADEでの販売のみになります。

開催予定日: 2024 7/28 13:00~

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more