GALLERY MADE COLLECTION #6

器には大きな石から入れて小石を入れ砂を入れれば全て入るが、逆に砂から入れてしまうと全ては入らない。重要な物から先に入れなければならないと優先順位を説く「ビッグロックの法則」。原典は1990年代にスティーヴン・R・コヴィーによる「7つの習慣」によって提唱され現在では様々な場面で引用されるし、実際に器に石や砂利に砂を入れ、その後に水やビールを入れてみせる洒落た講義や言葉を変えて歌にされたりもしている。人生に於ける優先順位を理解するには有意義な話だが、最も優先するべきは自分の人生に於けるビッグロック(重要な事)を理解するよりも自分の器のサイズとカタチを理解する事だ。

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器のサイズやカタチを理解していなければビッグロックが何であるかを理解しても入りきらないし、カタチの合わない石は器を壊してしまう。人は理解すれば優先順位を決める事は出来ても、理解すると逆に取捨選択は難しくなってしまうのだから。何を取り何を捨てるか?は創り手にとっても重要だ。優先順位なら仕事や作業の状況に合わせて行えるが、新しいデザインやアイテムでの取捨選択は自分の過去と向き合う必要が生じる。ブランドとなれば尚更に全体のバランスを考慮して難しくなってくるだろう。

イメージした全てを具現化してみようと信念を持ってブランドを始めても、やるべき事は積み上がり計画性は不確定要素によって崩れ、タスクの必要性を確認する間も無く時間に追われる。その逆に時間を自分の自由に使おうと必要と思い込んだ事ばかりすればする程、人生には孤独が増しブランドは広がりを見せなくなってていく。「制約のパラドックス」と呼ばれるものだが、もう一つに選択肢が多すぎると人は選べなくなる「選択のパラドックス」がある。人は常に優先順位と取捨選択を繰り返さなければならず、ブランドをコントロールする創り手も同じである。

幾多の優先順位と取捨選択によって成り立っているのは「Loud Style Design」も変わらないが、高蝶にとっては「VANITAS」や「ANOTHER HEAVEN」を手掛ける事で可能性を活かしている側面がある。そうで無くともSPEED SPECTERによってインプロビゼーションを発揮した物創りの場はある。おそらくは他の創り手よりも多くの表現方法と表現の場を設けているにも関わらず「GALLERY MADE COLLECTION」で新たな側面を描き出そうとするモチベーションは何処から来るのだろうか?常識的な優先順位や取捨選択だとは到底思えない。

RIOT

課題を後回しにする人は多いが、高蝶がこの「RIOT」のベースとなったアイテムをSPEED SPECTERで制作してから10年近く手を付けずにいたらしい。可能性を感じてはいたものの制作に於ける優先順位が低かったからなのか?活かし方が見当たらなかったからか?何にしても長い年月を寝かしただけの結果が得られたからリリースとなった。単なるクロスに収まらないモチーフのミックス感は顕著だが、4つのダイヤスタッズが軸となるデザインは「GALLERY MADE COLLECTION」にとっても共通モチーフとして展開される。

デイリーでの着けこなし易さを考えればベストに近いサイジングとボリューム。メンズシルバーアクセサリーのジャンルで言えば小振りなペンダントとして分類されるだろうが、カットの鋭さと同時にドーム状に近く構築されたフォルムによってデザインの強さを齎している。このバランスの良さはSPEED SPECTERでのインプロビゼーションによる制作時にも発揮されていたのだろう。それでも、10年近く寝かしたのには細部への拘りがあったからに違いないし、リリースできるフィールドを用意する必要があったからと考えると合点がいく。つまりは、新たな場を用意するに足るアイテムという事だ。

 

GRIM

活動と共に積み上がるアーカイブを編集して新たな発見をする事はクリエイターなら身に覚えが有りそうな事だ。しかし、問題はその先だろう。アーカイブからの見直しは謂わば取捨選択のやり直しになるが、コレクションとしてはその先へと物語を繋いでいく必要がある。「RIOT」がアーカイブからの取捨選択であるならば「GRIM」はその先へと繋がる様に共通項を持たせたデザインで「GALLERY MADE COLLECTION」を拡張していく。コレクションを強固にしていくにはこうした展開が必要だろうし、独自の発展へと向かわせる試金石になりそうなリングだ。

リングとしてのバランスはシルバーアクセサリー好きなら選びたくなるサイジングとボリューム。重厚なレリーフとハッキリとした陰影。プレーンなリングボディにモチーフをそのまま乗せた様な、悪く言えばシャリにネタを乗せて一体化する“お寿司バランス”は「CHROME HEARTS」以降にメンズのシルバーアクセサリーで散見される様になったバランスでもある。リングボディとデザインごと一体化する方向でモチーフの陰影を出す事の多い「Loud Style Design」と「GALLERY MADE COLLECTION」との違いが如実に表れている。

誰の人生にも起こる様に物創りのプロセスにも必ず、優先順位と取捨選択がある。多くの物を生み出すにはそれだけ多くの物を捨てる必要がある事を思うと、イメージやアイデアが膨大であり具現化する数量が多い程に選択の回数は増えてしまう。選ばなかった道程を描こうと「GALLERY MADE COLLECTION」では過去のアーカイブに目を向けながら新たな道へと向かわせる。其処には「制約のパラドックス」も「選択のパラドックス」も当然あるに違いないのだが、それ以上に物創りを楽しむ人生の選択をした意志が存在している。

 

*「GALLERY MADE COLLECTION」のアイテムは基本的に毎月開催されるGALLERY MADEでの販売のみになります。

開催予定日: 2024 3/24 13:00~

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more