GALLERY MADE COLLECTION #5

1970年代から広まった何の科学的根拠も無い血液型特性は未だに根強く残ったままだ。一説には1920年代にたった11人の被験者(それも研究者の親族だとか)を元にしての研究が存在し、その研究内容を拡大解釈して出版された本が売れたのが原因とされる。何の事は無い、同じく1970年代に出版された「ノストラダムスの大予言」と変わらない(こちらは1999年との期限付きだったので霧散したが)メディアが大衆を煽るのにウケが良い話だっただけの事だ。しかし、そのウケが良い話と大衆の残酷性が多くの物事に認知バイアスを生じさせる。

-Creative value-

大衆にとってウケが良い情報は固定観念となり常識にされていく。その固定観念は物事を見定める際に先入観となって作用し、十に一つでも先入観に抵触する部分があれば「ほら見た事か」と、拡大解釈する大衆の残酷性を発揮する。更に厄介なのは、人は自分が関心が強いジャンルにこそ事実記憶よりも感情記憶で先入観を構築してしまう事だろう。自分に良くしてくれた人を悪く言う者を嫌いになるだろうし、良くしてくれた人が実は悪人で利己的であっても悪く言う者を許さなくなる。正論や事実を突き付けられるのを嫌う人が多いのは、この感情記憶によるものだ。

シルバーアクセサリー業界と其れらを好む人達にとっては、「GALLERY MADE COLLECTION」に対してと言うよりも寧ろREFUSEに対しては幾つかの先入観が生じる人は少なく無い。それはクリエイターの高蝶が原因のものが殆どではあるし、REFUSEブランドの歴史と様相が齎す先入観でもあるのだが、何よりも展開の複雑さと破天荒さ故だろう。何を言ったかよりも何を成したか?で、人や物を判断すべきなのだが、REFUSEが成してきた歴史は大衆ウケが悪く複雑でコアな価値観になる。そんな歴史の中で現状は最も狭き価値観の「GALLERY MADE COLLECTION」は如何に記憶されていくのだろうか?

RUINS OF A RIOT

SPEED SPECTERにてライブクリエイションで制作されたピースを基にしてブラッシュアップされた「RIOT」をセンターに配し、土台となるリングもまたSPEED SPECTERの北米ツアー中に宿泊した部屋で夜中に思い立ち制作された物を基にして構築し直して組み合わせたリング。「RIOT」は基となったピースが高蝶の作業机脇に長年に渡って置かれたままで、ブラッシュアップのイメージが纏まるまでに時間を要したそうだ。そうした経緯を考えると旅の記憶が詰まったリングとも言えるだろう。

ボリュームとバランスは造形の強さを引き立たせ、身に着けた際の主張を嫌味の無いレベルに留めてくれる。リング自体には独特の抜け感が演出されているのに対して、抜かりの無い大胆な装飾性がこの主張を生むのだろう。SPEED SPECTERでの制作アイテムを解体して組み合わせ再構築する手法は「GALLERY MADE COLLECTION」では一つの軸になっているが、旅の歴史を知る人にとっては新たな価値観を齎してくれそうだ。

 

FINDER

キークリップ等の機構が必要になるアイテムは創り手によって得手不得手が別れてくる。REFUSEや高蝶に対して古い先入観を持っている人や不理解な人は不得手だとしているかも知れない。古くは「Loud Style Design」での身に着け方やアイテム用途に特化したローテク的機構、近年だと「ANOTHER HEAVEN」や「ISAMU KATAYAMA BACKLASH」とのコラボレーションでも見られる様にバネなどを仕込んだ機構も高蝶にとって得意なジャンルだ。このアイテムはその両方の要素が入り混じっている。

元々は小形健文がディレクターを務めるブランド「FAYDE」のアイテムとしてクリップ部を制作して提案したが却下され(却下の理由は不明)、細部から再構築する中で鍵を吊るす箇所の特徴的なローテクリングが考案された。「シルバーのクリップに対してメッキ物のダブルリングが組み合わされると、少し興醒めしてしまう」そんな高蝶の価値観が反映された機構は、シンプルに表現されているが故に紛れも無く複雑でコアな物創り。

固定観念や先入観が否応無しに生じるし大衆心理や残酷性が認識を阻害したりもする。だが、逆にそうした働きが常識やスタンダードを生み出し歴史となり得たりたりもするのだから人間社会とは厄介で不可思議なものだ。そんな中で新たな価値観を生み出すには閉じ篭る様なマニアックさとは違う、複雑でコアな価値基準を常に保ち続けなければならない。「GALLERY MADE COLLECTION」が持っているストレートなアイテム表現の裏には、歴史と旅に裏打ちされた価値観が在る。果たしてそれがREFUSEや高蝶に対する固定観念や先入観を打ち破れるか否か?は、また別の話になるのだろうけれど。

 

*「GALLERY MADE COLLECTION」のアイテムは基本的に毎月開催されるGALLERY MADEでの販売のみになります。

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more