GALLERY MADE COLLECTION #11

殆どの学問は「何故」の追求を根底に持っている。人体構造や自然現象、行動心理や歴史文化、物理法則に社会構造と挙げればキリが無い程に「何故」の追求が学問となった。人類の生活や文化を向上させた基盤には学問が存在し、時に体系化された学問を技術や芸術とも呼ぶし科学や宗教とも言い換えられる。しかし、それらは全て「何故」を追求する事から始まっている事に変わりは無い。もしも人類が「何故」を追求するのを止める日が来たとしたら、それはこの世の真理が全て解き明かされた時になる。

– ACADEMIC THEORY –

これ迄も幾度か「GALLERY MADE COLLECTION」が何故発足したのか?何故、Loud Style Designの有り得たかもしれない未来を具現化し始めたのか?を書き綴らせて頂いたが、もう一歩踏み込んで考察してみると「何故、創るのか?」になる。先にその答えを述べてしまうと、創る事によって得られる学び。と、言う事になるのだろう。商業的な成功にしろ広域の認知度にしてもGALLERY MADEに限定してリリースする事に意味は無い。それでも「GALLERY MADE COLLECTION」として創り出す理由は、クリエイターである高蝶自身が学びを得る為が大きい。それだけに「何故」を追求しながら創作したカタチなのだろう。

BLOW

90年代からシルバーアクセサリーに魅了され着けこなし吟味してきた人達なら感じ取れるバランス。CHROME HEARTSによって齎されたシルバーアクサセリーの中での様式美は数多の模倣を生み出したが、その模倣も含めて文化や時代性と捉えて制作されたのがこの「BLOW」リング。カバー曲の中でオリジナリティを発揮する感覚に近いとでも言うと分かり易いだろうか?デザインやプロダクト自体はオリジナルであってもバランスやボリュームの様式美は文化や時代性を優先させていく。何故、あの文化はあの時代に?そんな答を求めての制作が垣間見える。

身に着け易さとインパクトの両立がメンズのシルバーアクセサリーでは常に課題となるが、そうした点で捉えてみても丁度良いバランス感があり着ける指をあまり選ばないリングだろう。身に着ける指を選ばないと言う事は、スタイルに合わせて身に着ける側が選べる楽しみと難しさが同居する事になる。そんな訳でお勧めを挙げておくと1点で着けるなら利き手の人差し指か小指。ハズし要素としてなら稼働率の少ない利き手では無い方の親指。他のリングと着け合わせるなら中指か薬指と言ったところ。

 

HEX

リングを選ぶ際に何を求めるか?これは年齢によって変化してくる。若い頃ならデザイン性と価格が基準になり易く、年齢が上がる毎にクオリティと着け易さが基準になってくるのが一般的だ。そうした中で、どの年齢層にも一定の基準に当て嵌る。要するにデザイン性があり価格が極端でなくクオリティが担保されつつ身に着け易いリング。クリエイターとしては自我のパーセンテージを抑える事や拘りのベクトルを変える事、身に着ける対象を優先する事で丁度良いバランスのリングが制作される。そんな中でもエッジ感を失わない特質性が「GALLERY MADE COLLECTION」らしさだろう。

縦幅の狭いリングは薬指か小指に着ける傾向が大きい。ある種スタンダードな身に着け方として間違いの無いコーディネイトではあるが少し考え方を変えてみよう。縦幅が狭くボリュームの少ないリングだからこそ最大限に際立たせるにはリングが最もアクションの中で目立つ箇所。利き手の人差し指がそれに当たる。指と指の間隔が最も広いのは親指と人差し指で、最も稼働が目立つのは利き手の人差し指。シンプルに1点着けするならスタンダード以外の選択肢を増やしてみるのもお勧めしておきたい。

 

PRIMARY INCIDENT

ブランドやコレクションにとって何が一番重要なのかを突き詰めていくと構成力の壁に突き当たる。アイテムを雑然と制作しただけのブランドは纏まりが無く、テーマやコンセプトが薄いコレクションの評価は芳しく無い。購入する側が手にするのは1アイテムだったとしても、魅力を感じる源泉はブランドやコレクションとしての構成力にあったりするから不思議なものだ。このブレスレットには1アイテムの魅力以外に「GALLERY MADE COLLECTION」を構成するアイテムとしての役割を強く感じさせる。それはクリップの仕様やピースの連続性以上にスタイリングを意識している感が強いからだろう。

制作に於いて実験的要素は常に必要だ。ブレスレットを例に挙げるなら全体のサイジングやボリューム、パーツの連続性や留め金の仕様に実験的要素を加味していくとデザインに大きく影響する。身に着けた際に発揮される魅力と単なる見た目の良さは違う。身に着け易さと仕様の面白さは違う。身に着ける心地良さと制作する心地良さは違う。そうした違いを幾度も実験を繰り返す様に擦り合わせていきバランスを調整していく。それは身に着ける側にとっても、着けこなすに至るまでのコーディネート変化として体感するのと同じ様な物だ。そんな過程も併せて楽しんで頂きたい。

 

学びは体験によって齎される事を多くの人が知っている。クリエイターにとっては創作自体が学びであり、学びは「何故」を追求する事で生まれる。追求し続ける為には何にしたって浪漫があるものだ。故に、商業的成功を目標にしただけの創作には浪漫を感じないのだろうし、学ぶところが少ないのだろう。発足から1年を過ぎた程度の「GALLERY MADE COLLECTION」が一定の学問を修めたとは言い難く、これからも「何故」を追求する創作が続いていく。

 

*「GALLERY MADE COLLECTION」のアイテムは基本的に毎月開催されるGALLERY MADEでの販売のみになります。

開催予定日: 2024 11/24 13:00~

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more