RUMBLE LOG 003

今は未来へのメッセージであり、過去からのメッセージでもある。現在でも広く使われ続けているE-MAILを例に挙げてみると、送信する側にとっては送った時点が今であっても受信した側にとっては受け取り開いた時点が今だ。電子送信による些細なタイムラグや受信の認識・確認を未来や過去と捉えるには無理がある?それでは実際にメッセージを書いて送る迄と開いて内容を理解する迄のタイムラグは?伝えようと送ったメッセージと、受け取ったと認識してメッセージを読む行為の間が短かろうとも“今”と言う時には誤差が生じる。下手をすると受け取る側が受信を認識していなかったら?

未来と過去を語るにはもう少し例えを変えてみた方が良さそうだ。一般的に多く湧き起る感情の方が理解を得られるだろう。校舎裏や校庭の外れに埋めるタイムカプセル等と称される行為は、過去から未来へのメッセージになる。つまり、埋めた時点での今は時間進行と共に過去になり、掘り起こした時点の今は埋めた時点からの未来になる。この行為を一個人の中で考えてみると、タイムカプセルを埋めた行為は記憶で、タイムカプセルの中に閉じ込めた何かは記録だ。

記憶は常に私達の行動にとって内的に深く関わり本能と共に思考を掌る。対して記録は外的に作用し時には記憶を呼び起こし思考に新たな発見をさせてくれる。記憶では無く記録から何かを読み解く時。それは、過去と言う今から未来と言う今へのメッセージになる。

LOG-003 GAS STATION SHRT

過去に自分が行った行為だとか発言を思い返すと急激に恥ずかしくなったりしませんか?アレってどのぐらいの時間が過ぎたら恥ずかしく無くなるんですかね。逆にどれぐらいの時間が経過すると恥ずかしく感じたりするようになるんでしょうかね。恐らくですけど、実際に必要なのは時間じゃなくて理解の様な気がするんです。記憶だけで過去の自分を辿ると「何であんな事したんだろう?」って、現在の価値観とか知識から見る様になってしまうんですよね。其の行動に至った経緯とか感情がもしも記録されていたら、正確に当時の自分を把握して理解出来るから納得して恥ずかしさも消えていくと思うんですけど、どうでしょうか?だからと言う訳でも過去に掲載してきたスタイリングが恥ずかしい訳でも無いんです。やっぱり記録された内容を現在の自分が読み解く事で納得し、新たな伝え方でスタイリングの楽しさを感じて頂きたいと思いますので、今回も撮影裏話とアザーカットを交えつつの「RUMBLE-LOG」お楽しみ下さい。

 

RUMBLE-003 Model: NAOKI MUTO

ワークスタイルにトラッドなアイテムをプラスしてのスタイリングは、「RUMBLE」がスタートして間もない頃ですね。トータルで見てみれば方向性は、着崩しの良さ。これをどうやって表現しようかと思っていたところへSCHAEFFER’S GARMENT HOTELの新作(当時)で入荷したシャツが都合良かったんでしょうね。ワークキャップとシャツにデニムパンツを合わせて足元に編み上げのブーツをラフに。そこへ綺麗目なジレを合わせる“外し感”。今になって見返してみても、ワークスタイルにトラッドと言うかドレッシーなアイテムのジレを組み合わせるのは悪く無いと思うんです。

思うんですけどねぇ、、、、。肝心のシルバーアクセサリーのチョイスが甘いと言うか、REFUSEで展開しているブランドのバリエーションを見せようとしててバランスは良く無いです。特にウォレットチェーンの着けこなしは大きなマイナス要素ですね。このボリュームやデザインであればサイドやバックのベルトループから下げた方が良いんじゃないでしょうか。前回の「RUMBLE LOG」でも書かせて頂きましたが、マイナス要素を持たせてしまったのには“アイテム先行”の時期だった事が大きいのと、その“アイテム先行”でトータルを纏め上げる能力の無さに尽きると思います。申し訳御座いません。

申し訳御座いません。ついでと言っては何なんですけど、この時の撮影はモデルのムトゥーメンと久々のセッションだった事もあってかテスト的な要素も大きかったとか。実際に記事としては掲載されていませんが、この時は別のスタイリングが先行して撮影されボツになったと言う経緯があるそうです。理由としては、久々のセッションでモデルのムトゥーメンもカメラマンの高蝶も、雑誌やWEB SITE等で行っていたLoud Style Designで固めたスタイリング撮影の様な張り詰めたテンションが戻ってこなかったからだと。

そうやって経緯や当時の心情を重ね合わせて見ていくと、写真としての画角や照明の甘さ、ポージングやアクションのバリエーションが少ない事等から「RUMBLE」と言うプロジェクトがまだまだ固まり切っていない初期段階の未熟さが感じ取れます。何でしょう。反省って、するだけじゃなくて糧にして次へと進んで行かないと駄目なんでしょうね。現在の「RUMBLE」のクオリティと見比べると、強くそう思います。

 

RUMBLE-013 Model: ASUKA ZUKERAN

「継続は力なり」なんて教訓めいた言葉は人生で何度も耳にする事でしょう。でも、実際に継続してみて力になっているかどうかを実感出来る瞬間はそんなに多く無いですし、本当に継続していたら能力が上がるのも少しづつな筈ですから、ビックリする程の向上を実感するのは継続していなかった過去を振り返った時なんじゃないでしょうか。約一年が経過して、RUMBLE-003と同じSCHAEFFER’S GARMENT HOTELのGAS STATION SHIRTの、同じオフホワイトカラーを用いてのスタイリングはルーズさとラフさを醸し出すのがテーマ。

この頃になるともう、ANOTHER HEAVENのアイテムが増えた事もあってかアイテムの殆どが(と言うか、シャツ以外)ANOTHER HEAVEN。当然ですけど纏まりが良くなっているのに加えて、メキシカン・ギャング「チカーノ」的なカルチャーを纏ったスタイリング。ワークスタイルをルーズとかラフにするんでは無く、カルチャーやキャラクターをベースにアイテムを取り入れていく“スタイル先行”が根底に在りますね。ハットと幅広のレザーブレスレットによる、オフホワイトのシャツとのコントラストを生み出すカラーリングや、VANSのスニーカーをカスタムして備えられたピラミッドスタッズが彩る足元も、全体を引き締めながらREFUSEのテイストを表現してます。

シルバーアクセサリーの方はブランドがANOTHER HEAVENで統一されている事もあって纏まりが良いのは当然なんですけど、スタイルに合ったアイテムチョイスと着けこなし。特に、REFUSEのスタイリングでスタンダードになっているウォレットから下げるキークリップは、現在まで継続して何度も紹介している事でスタンダードになってきたんではないでしょうか?アイテムバランスの点に於いても、「適切なアイテム数で魅力を最大限に出す着けこなし」と言う「RUMBLE」の基本概念に上手く近付けていた感がありますね。

撮影の方はCOVID-19のヒステリックなシチュエーションが始まってから約一年が経過。と、言う事もあってか緊急事態宣言だとか何だとかで撮影場所に苦労する事もあってか、GARAGE REFUSEで行われ。今にしてみるとポージングバリエーションがまだまだ少ないのは否めないです。当時の状況を付け加えるなら、この撮影の少し前までLoud Style Designの「XOX」の撮影が全てGALLERY REFUSEで行われていた事もあって、撮影場所が「RUMBLE」だけでも3ヶ月連続でGARAGE REFUSEになっていたと言う。流石にスペース使い回し過ぎで撮影する側からしてみたら、飽きが生じる事態にもなってしまっていたそうです。そうした影響のせいか、写真としての“画の面白味”では物足りなさを感じるんじゃないでしょうか?スタイリング写真は、着ている服や着けているシルバーアクセサリーだけで無く、纏っている空気感をシチュエーション含めて画に収めないといけませんから、継続の中で更に能力を向上させる必要を感じる時期でしたね。

 

RUMBLE-018 Model: ASUKA ZUKERAN

日常の中の、不意に訪れる一瞬。少しライトな言い回しにすると“ふとした瞬間”ってヤツでしょうか。そんな、ふとした瞬間にシルバーアクセサリーが輝きを増すスタイリング。この頃から「RUMBLE」に加わったテーマとして、「日常の中で・・・」が在るんじゃないかと思います。恐らくになりますけど、COVID-19の騒動によって日常が過去となり非日常である現在が日常になって、過去の日常をまた未来に求めるよりも新たな日常を考え出す。そんな意識がスタイリングにも撮影にも影響したのかと。

この時のスタイリングは「RUMBLE」のサブタイトル「REFUSE STYLE」の一端が無理せず発揮されている様に今見ても思わされます。新色のオイルダイ・インディゴがSCAEFFER’S GARMENT HOTELのGAS STATION SHIRTに追加され、こちらも当時の新作であるコーデュロイパンツはチャコールグレー。ANOTHER HEAVENによるインナーのTシャツもブラックと言うよりもチャコールモカに近い色合い。REFUSEのテーマカラーとなるブラックはハットとブーツ(どちらも加工によってフェードブラックと言った感じですが)に抑えられ、モノトーンでは無いカラーリングで構築されたスタイルが目を惹きます。

“組み合わせの妙”と言う意味でシルバーアクセサリーの着けこなしにも意識の変化が顕著に表れています。特に左右のバランスは元来のREFUSEらしさを保ちながらセンターのペンダント使いでバランスを変化させるテクニックが入ってきていて、長いネックチェーンをスタイリングで使用する事は過去にもあったにせよ、ボリュームバランスがトータルのコーディネートと上手く組み合わさるスタイリングにしてますね。見ている側が従来持っているアイテムを、ボリュームバランスの変化やサイジング変化によって新たな側面を導き出せる様に提案していく。「RUMBLE」と言うプロジェクトが更に一歩先へ進んだ感が印象に残ってますね。

屋内での撮影では無く外に出ての撮影はこの時以前にも何度か行われていましたが、時間を掛けて本格的ロケでの撮影が「RUMBLE」の為に行われたのは、この時が初。夕暮れ時を狙って曇天の中で撮られた写真は、何処かしら哀愁を漂わせ日常と非日常の境界線。「ふとした瞬間」を捉えられていると見返してみても感じられるんじゃないでしょうか。因に、ですけど。この撮影の時にはアシスタントとして久々にSEMBLEのマキオさんが参加しており、高蝶曰く「やっぱりアシスタントがいると違うわ~」だ、そうです。纏っている空気感をシチュエーション含めて画に収めた写真にするには、撮影現場で過ごす時間も影響すると言う事なんでしょう。

 

過去は雄弁だが未来は無言のまま。明るいにしろ暗いにしろ、想い描く未来は雄弁であるかの様に捉えてしまいがちです。実際には、未だに来ていないから未来なのであって、残念ながら未来は語りかけてくれませんし未来から学ぶ事も出来ません。過去の記憶は思い返せば目を背けたくなる事も多いですが、そんな過去によって辿り着いた未来である現在。語る事の出来ない現在にするか、語るべき現在として未来へ繋ぐか、過去の記憶では無く記録を読み解きながら現在を見つめ直して考えてみるのも面白いかと思います。

 

[STYLING ITEM]

掲載させて頂いたアイテムはGALLERY REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、

ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

ONLINE STORE

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more