WELL-BEING ACT:009-1 ANOTHER HEAVEN

例えばこんな話って何処かで見聞きした事無いでしょうか?性能が良くデザイン性も高い車が人気が出ないまま絶版となった。美味しい郷土料理と地酒を提供する店なのに訪れるお客さんが注文するのは唐揚げとビールが主になっている。前者の場合は年単位で時間が経過してから「時代を先取りし過ぎた」等と言われる事もありますし、後者の場合は「客層に合っていない」等と言われる事があるでしょう。後にどう言われるかは別にしても其処には“需要と供給のバランス”が存在し、「審美眼」と呼ばれる価値を見出す基準が存在します。

古い言葉になるかもしれませんが、「お眼鏡にかなうかどうか・・・」なんて言ったりしますよね。これは何かを提供したり紹介する際に、対象となる人物の審美眼での評価を得られるかどうかを気にして(謙遜も含みつつではあるでしょうが)出てくる言葉だと思います。基本的には誰もが固有の価値観に裏打ちされた審美眼を持っていて、良い物か悪い物かの判断をしているのでしょうけど、其れは所有欲にとっては動機の1つに過ぎません。

動機。理由と言葉を変えても構いませんが、何かを手に入れようとする所有欲の最たる理由は要・不要です。自分にとって必要だから手に入れようと思い、自分にとって不必要だから手に入れようとしない。当たり前の様ですが、何故?が自分にとっても判り易く誰かに対しても説明し易いのは、必要とする状態や状況が理由として揃っている場合ですね。対して、何故?が自分にとっても一時的な感情でしか無く誰かに説明するのが言い訳の様になる場合は、必要である理由が実は揃っていないからではないでしょうか?

審美眼で良い物だと判断しても、自分にとって必要が無い物は価値が無いのと同じ。逆に悪い物だと判断出来ていても、自分にとって必要な状況であれば価値が有るとなってしまう。そう考えると審美眼や価値観って移ろい易く曖昧だと思いませんか?その移ろい易さや曖昧さって、需要と供給も似たところがある様に思うんです。でも、移ろい易く曖昧だからこそ、良い物か悪い物か?の審美眼だけで無く、自分に合うかどうか?合わせて楽しめるかどうか?の審美眼も持ち合わせていたいですよね。

自分に合うかどうかの難しさって、実際に長く使用してみて解る物があったりするからですし、物に対して合う自分になっていったりもするからなんですよね。後はもう一つ、社会生活を営む以上は自分だけじゃなくて他者や場所からも良しとされるかどうか?も、自分に合うかどうかに関わってきてしまいます。自分の気持ちに一番合っているし、自分らしさが美しく出るからって全裸で出社する事は出来ないじゃないですか?どうしても全裸で外気を満喫したいならヌーディストビーチにでも行くしか無い訳でして。ちょっと誇張した例えでしたけど、自分に合う物とのWELL-BEINGって自分らしさや自分の好みに周囲の人や場所や社会、そして物とバランスを取って構築していくものなんです。

コレクタブルな要素も強いファッションやシルバーアクセサリーの場合は、審美眼にかなう物を好きな様に手に入れて楽しむのも良いですけど、何も考えずにガチャガチャ着けていたりしたら個人の満足感は得られても、物にとって良いコンディションで着けられているとは言えないでしょう。行動する時間や過ごす場所、出逢う人や関わる社会。そんな中で人と物が満足出来るコンディションを探究するプロジェクト「WELL-BEING」では、基本となる着けこなしをブランドやアイテムカテゴリー・ボディパーツ毎に紹介しながら、身に着ける楽しみに必要なコーディネートやスタイリングの提案をしていきます。

Act:009 ANOTHER HEAVEN  Key holder 01

自分に合うか合わないか?決めるのは自分だと思いたいですし自分で決めたいとも思う訳ですけど、如何せん私達が生活していく中で必要不可欠になってきてしまうアイテムって存在しますよね。例えば昨今ではマスクがそうなってしまっているじゃないですか?自分には合わないし煩わしいけれども必要になってしまうから備えなければならないアイテムがあるとしたら、いっその事そのアイテムを備えるのすら楽しめば良いんじゃないでしょうか?今回はそんな提案です。

鍵。私達の生活の中で必ずと言っていい程に必要になってきてしまうアイテムとして鍵があります。テクノロジーが進化してカードキーとか指紋認証とかが実用化されていても、やっぱり必要になってしまう金属製の鍵。しかも、1本だけじゃなくて何本か持ち歩く必要が生じてしまうのは皆さんも身を以てご承知の通り。

腰回り。ファッションに於いて上下のバランスを繋ぐボーダーラインでありアイテム1つで全体の印象を大きく変化させる箇所。ちょっと身体を動かしたりしてみても、伊達に“肉の要”と言う意味で「腰」という漢字になってないなと思わされます。トップスの裾に隠れがちではありますがファッションに於いても、やはり要になってくるパートですし要にしてのコーディネートが楽しめるのではないでしょうか。

さて、前置きとして鍵の必要性と腰回りの重要性をさらっと申し上げたところで本題へと入っていきましょう。キーホルダーは様々な種類がシルバーやレザーに限らず世の中に溢れている事からも、実用性と楽しみ方の多種多様性が大きいアイテムです。ですので、何も腰回りに持ってこなくても鞄に入れたり鞄から下げたりと違う持ち方もありますね。しかし、この「WELL-BEING」では着けこなしによる楽しさを探究していますので、腰回りに身につける事を基本として紹介していきたいと思います。

先ずは身に着ける為のキーホルダーを選ぶ基準としては、実際に鍵を下げてのバランスを捉える事が重要である事。シルバーアクセサリーの中でも身に着けて楽しむと言うだけで無く、特に実用性を問われるアイテムなのがキーホルダー。更に言うと身体では無く必要性のある鍵の形状によってバランスが大きく左右されるのもキーホルダーを身につける際の特徴。ですので、デニムにパーカーとアメカジ意識してない人にとっても日常的で定番なスタイルに、キーホルダーを解り易く解説する為、他のシルバーアクセサリーは最小限なコーディネート。今回は実際に鍵を備えた状態でのアイテム写真での紹介。

 

FRONT: Standard Key clip

オーソドックスな位置にオーソドックスなアイテムをオーソドックスな着け方で。と、オーソドックス多過ぎですがフロント右のベルトループにクリップタイプのキーホルダーを下げるのは基本って感じがしますね。レザーのループタイプのキーホルダーは別にしてもですけど、一昔前(寧ろ二昔前ってぐらい前ですけど)にはクリップタイプに限らずキーホルダーを腰回りに下げるのはフロントよりもサイドのベルトループが多かったんです。何故なら歩行の際にフロントのベルトループだと揺れが大きくてアクションの邪魔だから。それがフロントのベルトループに下げる様に変化していったのは、キークリップ自体のデザイン性が高くなりファッションとして見せていくアイテムに進化した点が大きい。

ここで注意したいのはキークリップのサイジングと鍵自体のサイズやボリューム。キークリップが大きい分には良いんですが、鍵の数が多過ぎるのならばフロントでの着用はお勧めしません。凄くモッサリ感が増して見た目にもアクション的にも良いとこ無いです。鍵の数が多いけれどフロントで着用したい場合は、キークリップからチェーン等が繋がっているタイプで全体のサイジングを合わせるのと、パンツ自体のベルトループ位置を考慮して着けこなすのがお勧め。

 

FRONT: Key clip with chain

お勧めするなら同じ位置でキークリップタイプからチェーンが繋がってるタイプを見せないと。って事でチェーンが繋がりかぎを備える位置が低くなるバージョンを。このぐらいの位置に鍵がくる着けこなし方も今では定番的になっていますね。シンプルにキークリップのみのタイプよりも主張が強く、腰回りを飾るには充分ですしロングなウォレットチェーンとの相性もいいバランス。特徴は何と言ってもチェーンの分だけ飾り要素が多くなるデザイン性の高さと、アクションの中での揺れ。鍵と言う生活の中で必要になってしまう金属パーツをアクセサリーにしてくれるバランスは、揺れ動く様が相俟ってだと思います。

パーカーの様な着丈のトップスでも合いますが、コーディネートで最も効果的に鍵とのバランスを発揮してくれるのは、ロング丈のコート等の腰回りを隠してしまうトップスの場合にでしょう。ロング丈のトップスは、ウォレットチェーンやウォレットを隠してしまうのでフロントでアクセントを加えたい場合には、このタイプがサイジング的にもベストではないでしょうか。

 

BACK: Standard Key clip

バックスタイルで楽しみたいならこの位置で着けるのが良いですね。パーカー等のトップスの裾に隠れるぐらいのバランスで、歩いている際よりもちょっとしたアクションの中で見えるぐらいだと、サイジングやボリュームにしても大き目なアイテムを選んで楽しみたいところ。デザイン性の高いキーホルダーとかクリップってフロントかサイドに着けたくなっちゃうんですよね。身に着ける癖もありますし、コーディネートの確認で鏡の前に立ってもフロントの方がバックよりもチェックする率が高いでしょ?でも、フロントのスタイルをスッキリさせつつ持ち歩く必要性のある鍵を備えて楽しむならバックスタイルに気を配る着けこなしが良いと思います。

この位置で着ける場合の注意点としては、トップスがロングコートだったりした場合には合わない事です。ロングコート等はバックのシルエットの良さが重要になってきますから、余計な膨らみは避けたいですよね。どちらかと言うとブルゾン系のトップス、ライダースジャケット等のパンツのバックポケットが綺麗に見えてくるスタイルの際にお勧めです。もう一つの注意点としてはバックポケットにウォレットを入れる場合の干渉。これはパンツ自体のベルトループ位置に関係してきますが、ウォレットの出し入れに干渉し過ぎるサイジングの物は避けた方が良いんじゃないでしょうか。

 

BACK: Big size Key clip

同じバックポケットの位置であってもサイズが更に大きいキークリップだとどうでしょう?このキークリップはデザイン的にも特徴的なのでアクションの中で全体が露になる時にも特に目を惹きますね。鍵の様に必要性が合って備えている物は、どうしてもファッション的なアイテムとして認識しなくなってしまう傾向にあるのですが、認識しないからこそ合わせるキーホルダーや着ける位置によって存在感が変化します。サイズの大きなキークリップやキーホルダーであれば見せる着け方ならフロントがセオリーですが、敢えてバックに持ってくる事で一味違う見え方を演出してみては如何でしょう?

バックスタイルとしての解説をしていましたが、この位置での着けこなしはサイドからの見え方でも効果を発揮します。そのサイドからを意識するのであればこのサイズ感が主張を強くしてくれますよね。そして、やっぱりです。シルバーアクセサリー好きで腰回りを意識して着けこなすと1点はヘヴィなアイテムがほしくなるじゃないですか。フロントのコーディネートを控え目にしてウォレットチェーンを着けない場合、シルバーアクセサリーへの拘りをヘヴィなキークリップ1点で示すのも良いんじゃないかと思います。

 

BACK: Key clip with chain

冒頭で書き逃していましたが今回の着けこなしは利き手が右の基準にてコーディネートしています。すみません。冒頭に書いておくべきでしたね。ですので、パンツのバックポケットにウォレットを入れる際にも右バックポケットが基準としてのコーディネート。そんな訳で、先程のバックスタイルでの着けこなしで説明させて頂いた注意点、ウォレットとの干渉問題があるベルトループ位置の場合は左側に着けるバランスの紹介。トップス等との関係性は変わらないですが、大きく違うのは右にウォレットと合わせてウォレットチェーンが備えられている場合に先程の位置だとボリュームが増し過ぎる点。

ウォレット、ウォレットチェーン、キーホルダーと、シルバーアクセサリーを楽しむ人にとってはベルト以外の腰回りアイテム三種の神器になってくるかと思いますけど、右のバックポケット周辺はウォレットとウォレットチェーンが繋がるポイントだけに更にキーホルダーが加わった、バックスタイルで3アイテムは流石に重い。そういった場合にキーホルダーを左のバックポケット付近がお勧めですし、ウォレットチェーンが無い場合でも右バックポケットに入れたウォレットとの距離感が良いバランス感を出してくれます。特にボリューム的に左右のバランスを良くしたいならキークリップからチェーンが繋がっているタイプがお勧め。あっ、左利きの人は左右を反転させてバランス感を参考にして下さいね。

 

では、恒例の一気にまとめて見比べてみましょうのターン。紹介した位置バランスとアイテムバランスの中から、既に自分が持っているアイテムの着けこなしに新たな選択肢や楽しみ方を増やす参考になったなら幸いです。

 

FRONT: Standard Key clip AHK-009

 

FRONT: Key clip with chain AHK-012

BACK: Standard Key clip AHK-007sv

BACK: Big size Key clip AHK-011

BACK: Key clip with chain AHK-002

鍵はその仕様から先が細くなる形状の物が殆ど。デザインはメーカーによって様々ですが、自分が持っている鍵本体の特性から成る形状を考慮すればキークリップやキーホルダーとの相性が解りますし、どのサイジングのアイテムを選んで何処で着けこなせば「WELL-BEIN」な状態が得られるか決まってくるかと思います。自分の好みと物と社会とのバランス良くする様に、自分の好みのデザインとアイテムの特徴と自分の好み通りにはなり難い鍵のバランス。着ける位置、着けこなし方で上手く楽しめるんじゃないでしょうか。

実用性が高くて直接身体には着けないアクセサリーには通常のアクセサリーやジュエリーとは違った奥深さがあります。そんな奥深さ故に紹介するアイテムも解説も長くなり過ぎてしまうので、今回はオーソドックスな着けこなしをするキークリップタイプのみの紹介と解説でした。続きは2022年の「WELL-BEING」で、更に奥深く変則的な着けこなしと楽しみ方を合わせて紹介していきたいと思いますので、来年掲載の後半戦もお楽しみに。

 

[STYLING ITEM]

ペンダント:AHH-018 ¥45,000- 右手親指リング:AHR-023 ¥38,000- 左手レザーブレスレット:AHLB-004-BK ¥10,000-

キーホルダー:AHK-009 ¥52,000- AHK-012 ¥72,000- AHK-007SV ¥72,000-  AHK-011 ¥82,000- AHK-002 ¥68,000-

(全てANOTHER HEAVEN)

*キーホルダーは着用順の表記となり、表記の金額は全て税別価格となります。

メッシュキャップ:ANOTHER HEAVEN ¥6,800-  ジップパーカー:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL¥45,000- Tシャツ:ANOTHER HEAVEN ¥3,800- デニムパンツ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL¥44,000-

 

ご紹介をさせて頂いた作品はGARAGE REFUSEにて展示販売をしております。

作品を手に取り、ご試着が可能となりますので、ご興味があるお客様はぜひともご来店ください。

GARAGE REFUSE 東京都江東区森下1-11-7 TEL:03-6240-2972

またONLINE STOREでもご購入が可能となりますので、是非ともご閲覧ください

宜しくお願い申し上げます。

ONLINE STORE

 

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more