RUMBLE REFUSE STYLE -029-

偉人の名言や俗に格言と呼ばれる類の言葉には学びがあるだけで無く、折に触れ私たちを納得させ感嘆や陶酔を齎してくれもする。特に自分が逆境に追いやられていると感じた時や、失意の最中において意思の揺らぎを無くし決意を新たにする時など、状況に応じれるだけ多くの名言とされる言葉が存在し心に響くのは確かだ。

そう、確かにそうなのだ。と、思いはするのだが、しかし。名言や格言と称される言葉については幾分か頭を擡げたくなる事も少なくない。一つは主に使用する側の問題だが、これ見よがしに使用する人や言い訳として使用されているのを目にすると納得は出来よう筈も無い。誰かからの感嘆を得ようと真意を把握せずに引用して自己陶酔に浸っている輩には付き合いたくも無いだろう。

もう一つ頭を擡げたくなる問題点は有効期限にある。何故だか私たちが暮らす社会では自分たちよりも遠い存在の残した言葉に感嘆を得る傾向が強く、歴史的な何某だとか何世紀の逸話だとかに惹かれてしまう。生物としての普遍性を鑑みれば時代が移り変わろうとも納得のいく格言はあるものだが、時代背景も社会情勢も流転していく中では当然の様に有用性を失い、有効期限切れとなる名言や格言も多いと感じてしまうのだが、どうだろうか?

さて、話をファッションとシルバーアクセサリーに移そう。かつてジェネレーションXと呼ばれた世代が遺した日本に於けるミクスチャーのファッションは、雑多に溢れ出した情報を実験的に取り入れる事が特徴だった様に思う。今ならY2Kスタイルと言った方が伝わり易いだろうカルチャーは、情報量に対して精査する処理能力も流布させる伝達力も未熟だからこそ出来上がった様なものだった。要するに現代とは違ってスマートフォンもSNSも存在しない中で独自の発展を起こしたという事だ。

ご存知の方も多い通り、ファッションには有効期限がある。製品としての耐久年数では無く、悲しいかな流行によって良し悪しが判断されてしまう部分だ。所謂トレンドと言われる移り変わりの早さには辟易してしまったり食傷気味にもなってしまう。前述したY2Kスタイルも実際に1990年代後半から2000年代を過ごした人にとっては懐かしさも感じつつ、今更感は否めない部分でもあるだろう。

ファッションやシルバーアクセサリーを単純に楽しむという意味では一過性のトレンドに乗って消費する経験も悪く無いだろうし、逆に流行など気にするまでも無く偏愛的な収集浪費で自己陶酔に至るのも許された個人の自由ではある。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言ったのはドイツ帝国の初代宰相オットー・フォン・ビスマルクだが、繰り返しが起こり続けるファッションの歴史の中で一過性や偏愛の楽しみ方をする人たちは何を学ぶのだろうか?消費や浪費体験だけで何かが学び取れるとは考え難い。賢者でなければならないとは思わないが、ファッションやシルバーアクセサリーを楽しむ中で何かを学び取れる視野の広さは持ちたいものだ。

普遍性を普遍性たらしめ有効期限が無いのは常に刷新し続けているからであり、刷新には常に楽しみと学びが必要である。流転と繰り返しを続けるファッションのトレンド。正解が常に移り変わる中で自分に合った普遍的なスタイルを如何に見つけ出し刷新し続けていくか?その楽しみの一端を伝えるプロジェクト「RUMBLE」は、REFUSE独自のセレクトによって構成されたスタイリング。人と物、物と物を繋ぐスタイルとカルチャーを取り入れながらREFUSEだからこそのシルバーアクセサリーを軸としたスタイルの普遍性をお見せします。

RUMBLE-029

名言とか格言って不思議ですよね。会話とか文章の中で使ってると自分の言葉でも無いのに少し賢そうとか物知りそうに見て貰えますし、逆に引用して使ってる文章とか何と無く説得力がある様に感じちゃうじゃ無いですか。でも、だからなんですかね。SNSとかで引用しているだけの文章書く人とか、会話が自分の言葉じゃ無い人とかが薄っぺらく見えてしまうのって。コレってファッションとかのブランド物だけ身に纏ってカルチャーやスタイルを理解してない人に似てますよね?

上澄みを掬う感じで流行り物に飛び付く人が多いのは何時の時代も変わらないとは思いますけど、その中から本質的なところまで辿り着こうとしている人の方がファッションやシルバーアクセサリーに限らず楽しめている様な気がします。時代も2020年代まで来ると、ファッションも必然的に繰り返しが増えてきますし、刷新するための新たなアプローチの方に比重が置かれて来るんでは無いでしょうか。そこでやっぱり思うのが、スタンダードなスタイルにどんなアプローチで着こなすのか?になります。

スタンダードなスタイルをタウンユースで。スタンダードなアイテムだからこそ着こなしや着けこなしで新たなアプローチで。と、言う事で今回のスタイリングはモロにスタンダードなトラッカースタイルとシルバーアクセサリーの組み合わせとなりますので、アメカジ全開なスタイルとアイテムをお楽しみ下さい。

 

CHAPTER:01 スタンダードなスタイルに必要なアイテムの条件とは?

アメリカン・トラッカースタイル。平たく言えば“アメリカのトラック野郎”が着る服ですから、必然的にワーク系のアイテムで安くて長持ちする要するに作業着です。そんな安価で長持ち作業着の中でもデニムパンツとネルシャツは特にスタンダードなアイテム。ここで出てくるのが安価だからと例えばユニクロのネルシャツでも良いのか?と言う問題。別に悪くは無いですけど、しっかりと作られたアイテムとはやはり違いが出てきます。アパレルアイテムにとって重要課題は季節感を考えてのカラーリングにもありますが、その前に考慮したいのはシルエットと生地の厚さになるでしょう。このシルエットと生地がアイテムに大きな違いを生みます。コレはデニムパンツにしても同じ事。

ベーシックなアメカジのトップスやシャツはボックスシルエット。日本人の体型からすると少し脇に余裕が生じるシルエットですが、そこはサイジングと着こなしがポイントになってきます。今回は「SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL」のフランネルシャツを使用していますが、伝統的なシルエットをブラッシュアップしたパターンに上質な生地。こう言ったネルシャツはフロントボタンを上までキッチリ留めるのがスタンダードな着こなしになりますが、それとは違う楽しみ方を一つ。ジャケットを着こなす感じでボタンを留め、タウンユースなラフさを楽しむ事でシルバーアクセサリーとの相性も変化してきます。

 

CHAPTER:02 アイテムのクオリティがスタイルを変化させる

デニムパンツとブーツの相性については今更語るまでも無いとは思いますけど、注意点として挙げておきたいのは“アイテムの質実剛健さ”がバランスを左右する点です。今回のスタイリングで言えばデニムパンツもエンジニアブーツも元はタフネスなアイテムとして存在していますから「SHAEFFER’S GARMENT HOTEL」のヘヴィオンス・リジットと「Loud Style Design」のヴィンテージブーツカスタムが相性が悪い訳は無いですね。違うスタイリングにするならスニーカーとかパンツをスキニータイプでも悪く無いですが、今回のスタイリングならデニムパンツの裾をロールアップしてブーツバックルを見せるぐらいの履きこなしでタフネスを堪能したいところ。

伝統的なアメリカン・トラッカーのスタイルであればデニムパンツもブルーデニムを選ぶのがスタンダードですが、刷新したタウンユースでの楽しみ方となればサイジングに加えてカラーリングも意識しておきたい。トップスのネルシャツが落ち着いたカラーであるのに対してとなると、ブラックデニムの一段沈んだカラーが深みを増してきます。同じようにネルシャツとデニムパンツにブーツでも、更に色の濃いハイブランドのアイテムを用いれば洗練されたシャープさになりますし、安価でライトカラーなアイテムで纏めればユースカルチャーのスタイル。スタイルによってアイテムのクオリティコントロールは必須だと思いませんか?

 

CHAPTER:03 スタイルに於いて外せないアイテム

このスタイルなら外せないだろうと言うアイテムが一つや二つは在るものですが、アメリカン・トラッカーと言えばメッシュキャップはその一つでしょう。ブラッシュアップしていく意味ではワイドブリムのハットや、逆に温故知新でワークキャップも良いと思いますがメッシュキャップの印象はやはり強い。タウンユースへの刷新とは言ってもトラック野郎が洗練され過ぎたら、それこそ上澄だけを引用して意味も歴史背景も解らずに名言とか格言を使用してる様なものですからね。アイテム選びを楽しむにも“何となく”の一歩先ぐらいは理解しておいた方がさらに楽しめるんではないでしょうか。

ここでもやはりアイテムクオリティとカラーリングがポイントになってきます。MADE IN USAのタフさが感じられるメッシュキャップのベースカラーはブラックで、ワッペンに挿し色で入ったレッドがワンポイントのセンスを感じさせますね。他のアイテムに目立つロゴやプリントが入っていないだけにメッシュキャップの存在一つで印象が大きく変化します。シルバーアクセサリーと同じくスタイルを大きく左右するアイテムは実のところ小物類にある事がよくお解り頂けるかと思います。

CHAPTER:04 バランスを左右するアイテムは腕周りに

拘り方は人それぞれ。とは言っても実際にアメリカン・トラッカーになりきるスタイルならシャツはパンツインですしブーツもモンキーブーツ系となって、シルバーアクセサリーは小さいマリアペンダントと小指にシグネットリングに軽目の喜平ブレスレット。そりゃあ実際にトラック野郎ならアクションとも相まって似合いますけど、タウンユースにブラッシュアップしていくとなると着こなしもアイテムも変化させながら楽しみたいところ。そこで重要になってくるのが手首周りのアイテムという事で、先ずは右手側からいきましょう。

ブレスレットはヘヴィで印象的なアイテム一択です。タフネスなアイテムで纏めてきてるのにココでハズしはいりません。リングも当然、ブレスレットとバランスが良いスカルリングを際立つ人差し指に。薬指は少し遊びを加えつつレイヤードでボリュームを出せばリング同士のバランスが良くなり相乗効果を生み出します。リングの並びの良さはフック箇所のみに特徴を持たせたヘヴィなブレスレットを際立たせてくれるので、下手にゴテゴテとしたアイテムを重ねるよりもアパレルアイテムとのバランス、スタイル全体と上手く噛み合ってくるんじゃないでしょうか。

左手側はアイテム数を抑え目に、かつシルバーのプレーンな部分をうまく活かして纏めるのはどうでしょうか?特徴的な造形でありながらIDブレスレットの様にプレーンなパートを活かしたバングル。ボリュームとサイジングでベストなバランスを見せるミドルドームリングをやはりハズし無しで小指に。共に「VANITAS」のアイテムですが、他のアイテムとも上手く共鳴してくれますね。もし、今回のスタイリングをもう少しシンプルにしたいなら、この左手側のアイテムを残して右手側のアイテムを無しにするのをお勧めします。削ぎ落としかた一つで印象も楽しみも変化してきますから機会があればお試し下さい。

 

CHAPTER:05 着けこなしで変化するスタンダード

今では諸々が進化し過ぎて意味合いも大きく変化してしまいましたが、アメリカンカルチャーでウォレットチェーンと言ったら“トラッカーウォレット”になります。ヨーロッパ的にはウォッチチェーンやソードチェーンが源流と言った考え方もありますが、ウォレットにチェーンをスタンダードにしたのは紛れも無くトラッカーウォレットでしょう。スタンダードに拘るならレザーのベルトループを使用したいところですが、今回は着けこなしでのブラッシュアップ。着ける位置でアイテムの印象が変化するのは当たり前ですけど、ウォレットチェーンはアイテムの性質上クリップ箇所とチェーンパートの“カテナリー曲線”が大きく変化します。

右サイドからやや後方にウォレットチェーンを備える効果は、サイドからバックスタイルの甘さを無くしウォレットとの一体感が増す事。右手側のアイテムとのバランスを良くし、腰回りの印象をバランス良くしてくれる事になるでしょう。言わずもがなですが、正面からの印象を強くしたいならクリップ位置を正面のベルトループに着けるのも良いですし、トラッカースタイルと言う事で更に深くいくならキーホルダーを合わせて腰周りをもう少しヘヴィにするのもお勧めです。その際には右手首のブレスレットを無しにして、ネルシャツの袖を下ろす事で全体のバランスは良くなるかと思いますので頭の片隅にでも入れておいて下さい。

 

CHAPTER:06 ハズしの要素は一番目立つパートで

スタイリングとかコーディネートって悩ましいパートが必ずあるじゃないですか?“悩む”じゃなくて“悩ましい”パート。要するに「どっちも良いよなぁ~」ってなっちゃう様なところがあるかと思うんですけど、今回のスタイルで言えばペンダントですね。先にもう1パターンのお勧めを申し上げておくと、ペンダントもネックレスも無しにするハズし方。ネルシャツをジャケット的な着こなしで胸元がスッキリさせて、手首周りのアイテムでバランスを良くしてますから無しもアリなんですよね。逆に首元に太いネックチェーンでハズし無しと言うのも現代的で良いですし、ワンポイントのペンダントでも悪く無い。いやぁ、悩ましいですね。と、ばかりも言ってられないのでフロントで一番目立つパートでハズしの要素を持たせた着けこなし。

サイズ調整が可能なレザーチョーカーの利点は着けこなしの応用、長さのサイジングが自由なところにあるんですが、もう一つはシルバーチェーンと違ってカラーリングの印象を崩さない点にもあるでしょう。反射にもよりますが人間の視覚的にはシルバーの輝きは白に近い印象で捉えますから、合わせる服によっては印象が強くなり過ぎたりもします。その点でレザーチョーカーの場合(当然、レザーのカラーや太さでも変わりますけど)今回の様なブラックベースのインナーには馴染易く纏りを崩しません。そして重要なのはペンダントトップがフロントのどの位置にくるかですね。スタンダードなスタイルのタフネスに対して、タウンユースとしてのラフさがハズしの要素になってきますから、かなり下がった位置にペンダントトップがくるぐらいのラフさを加味してみるのは如何でしょうか?


伝統的なスタイルやスタンダードなアイテムも時代が移り変わると共に解釈が変化して刷新されていきますね。ファッションもシルバーアクセサリーも自由に楽しむ事が一番だとは思うんですけどヒストリーやカルチャーを考えずに上澄みだけで引用していると、物が何も語ってくれないまま着ているだけになってしまう気がします。何に拘るか?も、個人の自由ではありますので上澄みで語って悦にいるのも楽しいんでしょうけど、自分と物が共鳴するスタイルにはヒストリーもカルチャーも少しは知っておいた方が物語が在るんでは無いでしょうか。

まぁ、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」なんて言葉も、実際は「愚者だけが自分の経験から学ぶ事を信じている。私は寧ろ最初から自分の誤りを避ける為に他人の経験から学ぶのを好んでいる」と言ったのだとか。要約されてかなり意味が変化してると思うんですけど、そうやって名言とか格言に限らずスタイルもブラッシュアップされていく訳ですから、皆さんも自分のスタンダードなスタイルを時代と共にブラッシュアップさせて楽しんで頂けたらと思う次第ですし、この「RUMBLE」がスタイリングの役に立てれば何よりです。

 

[STYLING ITEM]

キャップ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL ¥22,500- Tシャツ:ANOTHER HEAVEN¥3,800-  フランネルシャツ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL ¥46,500- デニムパンツ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL¥60,000-  エンジニアブーツ:Loud Style Design ONE MAKE ¥180,000-

チョーカーネックレス:Loud Style Design LSC-001¥28,000- 左手小指リング:VANITAS VR-043¥18,000-  左手バングル:VANITAS VBG-012 ¥75,000- 右手人差指リング:ANOTHER HEAVEN AHR-021¥52,000-  右手薬指リング下:Loud Style Design LSR-002¥25,000- 右手薬指リング上:Loud Style Design LSR-001¥13,000-  右手ブレスレット:Loud Style Design LSB-006¥72,000- ウォレットチェーン:ANOTHER HEAVEN AHWC-001 ¥175,000- ウォレット:ANOTHER HEAVEN AHW-003 ¥38,000-

※表示価格は全て税抜き価格となります

 

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

ONLINE STORE

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more