RUMBLE REFUSE STYLE -024-

結果が明示された際に、受け入れるか入れないかの選択が存在している様に感じる人は多い。受け入れる事無く撤回を求めたり違う結果を探し求めて奔走する様は、近年では誰あろう「第45代アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ」がやって見せた通りだ。結果は行動の一時的な結びとして訪れるので、違う結果を求めるならば更なる行動が必要となるのだが、受け入れようと受け入れまいと結果とは別に結末が訪れる。

全ての生命個体にとって決められている明確な結末は死である。ただ、生命体としてはある個体が遺した次の個体に遺伝子が受け継がれれば、死は結末では無く1つの結果ともなるだろうし、同じ様に新たな生命体が誕生する事は其の生命体が存在していなかった世界の結末ともなる。始まりと終わり、結果と結末はどの立場で如何様に受け止めるかによって大きく変化するものだ。

どんな物語にも締くくりとなる結末が用意されていた一昔前は、兆候や流転に対して行動し結果を経て結末へと至るのが基本であり、例外は幾つもあるにせよ普遍的なストリーラインだった。それに対して現在の物語は、続編やスピンオフ・前日譚に誕生秘話とメディアミックスや派生作品で、物語は拡張を繰り返し結末は結末で無くなり一過性の結果となる。こうしたストリーラインの提示を楽しむか否かは受け手側に委ねられ、収益と言う撤回のしようが無い結果を持って某かの結末へ至る。ある種、物語も生命体の様に1個体だけで捉える事が難しい時代になったと言わざるを得ないだろう。

文化や文脈が1つのムーブメントやリバイバル等で次の世代や時代を刺激し、カタチを変化させながらも受け継がれている事を語るまでも無く、ファッションやシルバーアクセサリーに於いてもブランドやクリエイター・創り手にとって自らがリリースした創作物は結果でしかない。では、其の創作物にとっての結末とは何になるのだろうか?

恐らくは。と、前置きをしなければならないが創作物にとって消滅する以外の結末は使用される事、即ちシルバーアクセサリーで言うならば身に着けられる事だ。手に入れた人によってディスプレイされ飾られる結末も悪くは無いけれど、美しい結末はやはりその物に備えられた可能性と用途を満たして得られると言うものだろう。物は使用されてこそ語り、その着用者との時間がストーリーラインへと至る。

デザインやカタチが格好良いのは創り手の労力が物として表現された結果であり、どう格好良く着けこなすかで結末は変化する。物で語ると言う創り手も少なく無いが、所詮それは自らが齎した結果を誇示したいだけだ。もし、ブランドやクリエイターと言うのであれば、結末までを描いて明示しなくてはならない。受け入れられるかどうかは解らないし、続編やスピンオフ・前日譚や誕生秘話的に違った結末を求められるかも知れない。それでも、自らが創り出した物をどう着けこなし如何に可能性が有るかの結末を明示する事が、物で語るつまり物語なのではないだろうか?

ファッションやシルバーアクセサリーを好む人達は、物と言う結果に物語を見出そうとする。しかし、実際に重要なのは身に着けて過ごす時間による結末への物語。スタイリング、コーディネート、可能性の模索は楽しくはあるが煩わしくもある。楽しさだけでは単調でツマラナイ物語になってしまう様に、考え模索し時に煩わしさすら感じるからこそ、スタイリングやコーディネートは物を語らせるに値する。そんな物語の1つの結末を明示するプロジェクト「RUMBLE」。シルバーアクセサリーを軸とした独自のアイテムセレクトとコーディネートでREFUSEらしさを響かせ物が語るスタイリングをお送り致します。

RUMBLE-024

一概に言える事では無いのですが、私達の脳は負荷に対してどれだけの耐性を持っているかで強い弱いが決まると思います。負荷とは簡単に言うと疲労の事で、考えたり集中すると脳が疲れますよね?この脳への負荷を減らそうとすると人は考えなくなり感受性も減らしてしまうんだとか。映画等を倍速視聴したり推理小説の結末だけを知りたがる人を見ると、脳が弱っているんだなぁと思ってしまいます。

何かに感情を揺さぶられたり何かについて集中して考える事は確かに疲れますし、時には直感的に動いたり選択した方が良い場合もあるでしょう。ですけど、感情を揺さぶられたり考え抜いたりする時間こそが楽しかったり、その後の時間を楽しくする為の重要な過程だったりもしますし、直感的に選んだ何かも其の直感を理論立てて考え理解するのが楽しかったりもするもんですしね。こうした楽しさはスタイリングを構築する際でも同じではないでしょうか?

今回はですね。見せる事よりも見える事による効果を意識してのスタイリング。一見すると「シルバーアクセサリー着けてんの?指輪ぐらいしか着けてる様に見えないけど?」って、なる着こなしのテクニックと細かな着けこなしの変化によって、シルバーアクセサリーは見せる様に着けるだけが格好良いのでは無く、アクションの中で見えるからこそ格好良さに繋がる事を確認して頂きましょう。

シルバーアクセサリーを普段から身に着ける人にとって、重ね着や厚着によって防寒が必要になる冬場はどうしても身に着けているシルバーアクセサリーが隠れてしまう難点があります。特にトップスをロングタイプのコート等にすると腰回りのアイテムも見え難くなり、トータルのコーディネートを引き締める役割としてシルバーアクセサリーを着用したくても、腰回りと同じく手首周りは長めの袖口に隠れ、首周りや胸元は上着やマフラーで隠れ、グローブしていたらリングも隠れてしまいますね。

さて、じゃあどうするか?写真を見て頂いてお解り頂ける通り、最初から見えない前提にすれば良いだけです。自分のスタイルを誇示する様に見せる着け方も格好良いですが、幾度もこの「RUMBLE」で紹介している様に、アクションの中で見えるシルバーアクセサリーの格好良さも重要。問題はそのアクションの中で見えてシルバーアクセサリーが格好良さを発揮する為の導線。導線とはつまり、シルバーアクセサリーの前に全身のコーディネートであり服の選択と着こなしになります。

少し卑猥な例えになってしまうかもですが、男性目線で肌を露出した女性は魅力的に見えるものの“モロ出し”は少し下品とか粗雑に感じて惹かれない事が多いです。“モロ出し”よりも“チラ見え”の様にアクションの中で見えてくる方が意識を惹き付けて、より注視する様になりますし上品さや丁寧さが伝わるんですよね。これってシルバーアクセサリーやジュエリーみたいな金属を身に着けている事が少し異質なアイテムの時でも同じ心理が働きます。映画の様なエンターテイメントでも“ネタバレ”全開の予告編だったら本編に集中して鑑賞したいとは思わないでしょ?惹き付ける為には“見せる”よりも“見える”事の方が重要。その為の服選び第一は冬場だったらロングやセミロング丈のコートやカバーオールをお勧め。

今回はANOTHER HEAVENのカバーオールを選んでのスタイリングとなりますが、ポイントの1つとして挙げたいのはオーバーサイズにしておく事で全体のバランスを良くしている事。もう1つのポイントはオーバーサイズのジャケット等を選んだ際に起る袖が長くルーズになり過ぎるのをカフの留め方で回避するテクニック。このカフを折り返して留める着こなしは初歩的なテクニックですが、ブレスレットやバングル等の手首周りアイテムの見え方に影響するので結構大事です。手首周りがルーズになり過ぎると全体のバランスも大きく崩れてしまいますからね。

パンツには厚手のデニムやコーデュロイ等の生地。若しくはストレートパターンのチノを選んで、スラックスよりもカジュアルでありながらトラッドな雰囲気を漂わせるアイテムが良いんじゃないでしょうか。ワイドやスリムになり過ぎないフィット感のアイテムが上着に選んだカバーオールのサイジングと相性が良く、今回はタフさと拘りを漂わせるSCHAEFFER’S GARMENT HOTELのリジット・ブラックデニム。

冬場はブーツの登場回数も増えますしデニムのタフさやトラッドな雰囲気にはスタンダードな短靴も良いですが、ここで一癖あるアイテムを足元に持ってくると全体の落ち着いたトーンにアクセントを加えられます。今回はANOTHER HEAVENのワンメイクカスタム・スニーカーの中でもVANSのCREEPERタイプで一癖に留めたアイテムを着用していますが、もう少し外しの要素を加味したいならネイビーやチェリーカラーのマーチンなんかも上手くハマってきます。

全体的に落ち着きのある大人のカジュアルなスタイル。このままの上着を羽織った状態だと1番見えるシルバーアクセサリーはリングになります。ここで下手に遠慮するよりもリングには印象の強いモチーフとバランスのアイテムを、左手はアクションの中でも際立つ人指し指に。指の様な細部であってもパッと見で際立つ箇所に印象的なアイテムが備えられていると、人の目線は他の細部にも注意を払う様になります。つまりリングが印象的であれば手首周りへ自然と導線が生じますね。

逆に右手は印象の強さよりも小粋さと言うか小気味良さと言うべきか、端に位置するからこそ気にさせる小指にリングを1つ。スタイリング全体がシルバーアクセサリーにとっては空白が大きいバランスなのですが、優れた文章には行間を読ませたり上手い会話には間が重要なのと同じく、スタイリングにも空白が重要。このバランス感を左右の手でも活かして印象の強さで打ち消し合わない配置と空白の設け方。全体への導線でありながら印象と存在感は脇が甘くならないアイテム選びをして頂きたい。

上着にロングタイプのアイテムを選ぶと腰周りは必然的に目立たなくなります。もし、主張の強い着けこなしをしたいのならフロントでフックからデザイン性が強いウォレットチェーンを選ぶのが良いんですが、今回は見せるよりも見える着けこなしがテーマ。前回の「WELL-BEING」でも紹介していますが、キーホルダーやキークリップで楽しむ腰周りのアイテム使いを活かしてみましょう。ヒップポケットに入れたウォレットにキークリップを下げる着けこなし。この着けこなしの場合に上着がオーバーサイズである事が活きてきます。タイトなロングコートだったりすると腰回りのアイテムでシルエットを崩してしまいますが、オーバーサイズの場合はシルエットを崩しませんし、アクションに対して腰周りのアイテムが煩わしくなる事もありません。

さて、ここからが上着を脱いでのスタイリング。落ち着いた大人のカジュアルと言ってもファッションやシルバーアクセサリーを楽しんでいる人にとっては、落ち着きや大人がイコールでセンスの枯れた印象にならない事が重要。其の為にはアイテム選びと着けこなしで落ち着きの中にどうやって遊びを入れられるか?になってきます。ここで上半身のベースになっているホワイトのシャツがポイント。全体的にカジュアルに寄せ過ぎれば落ち着きは減りますし、カッチリしてしまうと遊びの要素は見え難くなります。遊びやカジュアルさはカッチリしたトラッドに対して他の要素を入れた差異によっても引き立つので、ベースにホワイトのYシャツを選ぶ事でトラッドな印象を。そしてフロントに空白の面積が大きくなるニットセーターをレイヤードで合わせる事で落ち着きのある印象を齎すので、後は遊びの要素となるアイテム選びと着けこなし。

フロントに空白を大きくしているとシルバーアクセサリー好きからしたらレイヤードでネックレスとか、印象の強いペンダントを備えたくなりますが抑えを効かせるのもまた着けこなしの楽しさ。特に今回選んでいるニットは襟刳りが大きく空いてフロントの首周りにもアクセントがあるタイプなので、逆にネックレスは抑えを効かせる着けこなしが逆に遊びを生み出します。Yシャツのカラーに添う様に太目のチェーンを備えフロントでは軽く見えるぐらいの印象。ペンダントをバックセットする事で上着を脱いだ時だから見えるアイテムは、きちんと着けこなしているセンスを感じさせてくれます。

ペンダントのバックセットはやはり縦長のバランスをお勧めします。今回は敢えてニットのクロス刺繍と合わせてクロスのペンダントを選んでいますが、ここでもサイジングやボリュームが重要なポイント。上着を脱いだ状態だとバックスタイルの腰周りにはウォレットとキークリップを備えているのが見えてますから、上下のバランスを考慮したアイテム選びを心掛けたいところ。ゴテゴテし過ぎず、かと言ってデザイン性が無いフォルムよりも自分の好みや拘りが見えるアイテムを備えたいですね。

手首周りは上着を着ている時よりも当然ですけどアイテムが見えてきますから、リングとの相性が大切になってきます。左手は人指し指に着けたクロスリングに対してプレーンでミッドサイズのバングル。右手は小指に抑え目なスカルリングに対して特徴的なデザインのIDタイプブレスレット。全体を落ち着いたスタイリングと言うだけで締めくくりたいなら手首周りは左右どちらかのアイテムだけで充分ですが、シルバーアクセサリーを軸にするならフロントに空白を大きく設けているだけに手首周りを少しヘヴィにするのが楽しみになります。そうなると、リングを着ける位置とボリューム手首周りのアイテム選びは色々な組み合わせで遊べますし、Yシャツとの相性も加えるとアクションの中で綺麗に見えるバランスを心掛けて頂きたい。

何かを着たり着けたりする事は、結果を感じ味わい知る事でもあります。結果にも結果に至るまでの物語が存在しますが、其れは結果と共に「これらの時間」を過ごす人にとって物語の初期設定に過ぎません。主張が強く激しい結末も印象に残る特徴的な結末も良いですけど、落ち着いて楽しめる結末の方が何度も味わいたいと思えたりもするんじゃないでしょうか?其れは自分にとってだけで無く、周りで一緒に時間を過ごしたり結末までのストーリーラインを語りたい物にとっても同じ事です。物が語りたくなる様に、物を語りたくなる様に、そんな事を考えながらスタイリングを楽しんでみて下さい。

 

[STYLING ITEM]

カバーオール:ANOTHER HEAVEN ¥38,000- Yシャツ:Loud Style Design ¥18,000- ニット:Loud Style Design ¥32,000- デニムパンツ:SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL¥44,000-  スニーカー:ANOTHER HEAVEN ONE MAKE SAMPLE

チェーンネックレス:Loud Style Design UCN-004 ¥35,000- ペンダント:Loud Style Design UP-001¥30,000-  左手バングル:Loud Style Design UBG-004 ¥60,000- 左手人差指リング:Loud Style Design LSR-004 ¥30,000- 右手ブレスレット:ANOTHER HEAVEN AHB-007¥70,000- 右手小指リング:ANOTHER HEAVEN AHR-020¥16,000- キークリップ:ANOTHER HEAVEN AHK-012¥72,000- ウォレット:ANOTHER HEAVEN AHW-003¥38,000-

※表示価格は全て税抜き価格となります

 

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

ONLINE STORE

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more