WELL-BEING Act:007 ANOTHER HEAVEN

何かによって満足する事が自分を安定させて安心を齎してくれる経験は、誰でも一度ぐらいは持っていたりするんだと思います。ところが人の脳とか精神は一度経験した何かによる満足では、次は満足しなくなってしまう「満足の踏み車」とも呼ばれる現象が起ります。例え幸運で大金が入ってきても幸福・満足感は3ヶ月しか持たないとか言われる有名な話ですが、これって手にする事で価値規準が変化していくから起るんです。

現在の様に情報も物も溢れている社会になると、どうしても1つの情報や1つの物の価値は下がっている様に感じてしまいますし、情報や物の多さは人の脳や精神の処理速度が追い付かない事態を引き起こしますので、単略的な価値の測り方をさせてしまう事も多くなるんじゃないでしょうか?つまり情報や物の一側面だけを見て決めていく傾向が強く、自分の思考を固定化し易くなってくる恐さがありますね。

一度得た満足では楽しめず、一側面だけを見て固定化された価値観、これをファッションとかシルバーアクセサリーで考えると、ちょっと怖いものがありませんか?自分に合っているかどうかに関わらず限定物を買ってしまったり、コーディネートやスタイルを考えずに派手な物や細密さに固執してガチャガチャと身に着けていたり、周りも自分も見えなくなっている状態で、其れに価値規準を置いてしまっている。

残念な事にそうした価値規準を助長する売り方や勧め方をするブランドやSHOPもファッション・シルバーアクセサリーの業界には多いのですが、本来ファッションやシルバーアクセサリーが兼ね備えている“身に着けて楽しみ過ごす時間”に対して其れは有益でしょうか?とてもそうは思えないんですよね。

ファッションやシルバーアクセサリーが個人の楽しみの範疇である限りは、どんな価値を見出すにしても自由ではありますが、自由であるからこそ多くを集めて自己満足する価値基準よりも、1つの情報や1つの物が持っている価値を引き出す身に着け方をして頂きたいですし、その為には身に着ける人と物との関係性をコーディネートやスタイリングを伝える情報と共に築き上げていく必要があると思います。

身に着けて楽しむ時間に価値を見出し、人と物との満足なコンディションを探究しているプロジェクト「WELL-BEING」では、基本となる着けこなしをブランドやアイテムカテゴリー・ボディパーツ毎に紹介しながら、価値基準を定め身に着けて過ごす時間を楽しむのに必要なコーディネートやスタイリングの提案をしていきます。

Act:007 ANOTHER HEAVEN  Ring Stacking

シルバーアクセサリーには収集したくなるコレクタブルな要素だとか、造形美を楽しむ美術品的な要素もあるんですが、やっぱり身に着けるのがシルバーアクセサリーの本懐ではあると思いますので、そうなると価値基準ってアイテムその物とは別に、どう着けこなして楽しめるか?の部分になってくる様な気がするんですが如何でしょうか?

「そんなの全然、気にしない」って方向性で収集したりガチャガチャ着けたいだけの方には全く意味のない紹介をしていくプロジェクト「WELL-BEING」ですが、今回はそんなシルバーアクセサリーの収集癖とか創り手が造型力を発揮し易いアイテムであるリング。このリングの重ね着けによるバランスと各指に対するボリュームやサイジングの違いを見ていきましょう。

先ずはタイトルにもある通り、レイヤードと言うよりもスタッキングに近い着けこなしを意識してみましょう。指を縦方向に見立てた場合に、レイヤード(階層)と捉えるなら平面的なナロータイプで層を重ねていく感じの、リング幅やレリーフ種類の違いを組み合わせての楽しみですが、スタッキング(積み重ね)と意識するとリングボリュームの凹凸やデザイン同士の嵌まりの良さアンバランスさを楽しむ方向性になってきます。

スタッキングとレイヤードの違いは単純に着けこなしに対する意識の持ちようで選ぶアイテムが変化する事でしか無いんですけど、リングを指に着ける順番や組み合わせ方でモチーフを活かしたりデザイン性を高めたりしたい場合には、スタッキングの方向で意識して着けこなしてみて下さい。

さて、論より証拠だと思いますので、今回は手の左右では無く指の長さと太さとのバランスに注視して、横並びにリングを多数着ける着けこなしでは無く各指1本に対してリングを積み重ねるバリエーション。手首周りは重ねたリングとバランスが良く合わせ易い幅広のバングルを選んでの着けこなしを見て頂きましょう。

 

AHR-016-Bs  + AHR-011 for Little finger

小指に対してモチーフ物、特に印台タイプのリングを選ぶ時にはフラットになる印台部分のサイズとボリュームが先ずは重要になってきます。人によって指のサイズ(長さ太さ)は異なりますが、正面から見て指の幅からハミ出さないサイズがバランスが良くなる。と、言ってもそうなるとやはりデザイン的にモチーフが小さくなりますし、シンプルに納まり良くなるだけで終わらせたく無い場合、着けこなしでデザイン性を拡張したくなります。

形状にもよりますが印台のリングと相性が良く迫力を増してくれるのは、ナロータイプのリングでも縦幅が印台に対して3分の1程度の物かと思います。ANOTHER HEAVENではレタリングタイプを多くリリースしていますが、リングの縦幅とボリュームが合えば、レリーフ物のナロータイプやピラミッドスタッズが一周しているタイプを組み合わせてみるのも良いんじゃないでしょうか。

 

AHR-012 + AHR-014-Sv + AHR-013 for Ring finger

今回は手の左右を限定しないで着けこなしのバリエーションを紹介していますが、左手の薬指は結婚や婚約している方にとって着けるリングが決定しているパートでもあります。しかし、着けこなしを色々と模索して楽しんでいるとバランス的に左手の薬指にもリングでボリュームを持たせたくなったりすると思うんですよ。そんな時にリングのスタッキングで楽しみ方を増やしてみるのもアリじゃないですかね。

重ねるバランスとしては際立たせたいリング、例えばモチーフ物じゃなくてシンプルな平打ちリングでも其れをセンターにして、上下をナローではなくてデザイン性のあるフォルムにする事でよりボリューム感を持たせられますし、センターにするリングと縦幅をアンバランスにする事でもデザイン性に変化を齎して楽しめますが、リングの厚みやボリューム感は差異があり過ぎない方が良いかと思います。

 

AHR-012  + AHR-018 for Middle finger

スカルリング。やっぱり象徴的なモチーフは中指に持ってきたくなりますよね。しかし未だにですね、スカルリングって象徴的過ぎるが故に特に目立ち易い中指に着けていると世間的には毛嫌いと言うか、男の拘りとか美学は理解されないままな部分があります。要するに変に濃口な着けこなしが判らない人な見られ方をしてしまう時があるんですけど、程良いバランスのリングを重ねると着けこなしの良さは増します。

目安としてはスカルリングの3分の1程度までの縦幅のリングで、スカルの一番ボリュームがある(正面に出っ張っている)部分の半分ぐらいのボリュームのリングを合わせるのがバランスが良く、着こなしにもよりますがストーンが並んだリングやシンプルな甲丸のゴールドリングなんかを合わせるのも良いですね。今回は下顎が無いタイプのスカルリングですのでスタッキングがし易い頭側にリングを合わせていますが、顎側に別のリングを合わせる場合には合わせるリングのフォルムに注意して下さい。

 

IRON CROSS RING + AHR-013 for Index finger

リングをスタッキングする場合、先のスカルリングにしてもそうですがモチーフ物はリングフォルムに大きく影響しますので、何よりも噛み合わせがの良い悪いが出てきます。噛み合わせが良く無くてボリュームもアンバランスなのにハマりが良い例としては、以前のスタイリングプロジェクト「RUMBLE」で紹介していますが、モチーフ自体のボリュームが大きいリングの場合はしっかり噛み合う重ね方が理想です。

アイアンクロスの様に癖の強いモチーフを人指し指に持ってきつつ更にインパクトを強くバランス良く着けこなすなら、モチーフを下支えする感じでデザインを拡張するリングを選びたいですね。人指し指は長さも太さもボリュームのあるリングを合わせるのに向いてますから、重ねる事でボリューム感と一体感が増す組み合わせと着けこなしを試してみて下さい。

 

AHR-012 + AHR-015-Sv for Thumb

親指は特に関節が太くなってリングサイズを決める際に悩ましい指ではないでしょうか。よくあるリング着けこなしのテクニックとしては縦幅の広いリングやボリュームのあるリングを関節に合わせたサイズで選んだ事で、着けてる時に正面を向かない、要するに指で回ってしまうのを抑える為に細身のリングを重ねて着けるとか、そのまま着けてると指から抜け落ちてしまうサイズの大きいリングを着けるのに、ジャストサイズの細身のリングを重ねて着ける事があります。親指の場合は重ね着けにそう言った要素を含む率は高くなりますね。

抑えとしての要素を加味しつつ印台型の中でもシールドのフォルムを活かしたリングの場合、フォルムの特徴に添うリングを重ね合わせていくと一体感は増します。逆にシンプルなナロータイプを合わせてメインとなるリングとの間に生じる“空き”を楽しむ着けこなし方もありますが、重要なのはメインとなるリングに添える感じのボリュームに留める事じゃないでしょうか。折角モチーフ物をメインに選んでいるなら、メインを活かす着けこなしを意識したいですね。

さて、各指に合わせてスタッキングしたリングを紹介してきましたが、最後に全ての指でどのように違いがあるかを一気見してみましょう。

AHR-016-Bs  + AHR-011 for Little finger

 

AHR-012 + AHR-014-Sv + AHR-013 for Ring finger

 

AHR-012  + AHR-018 for Middle finger

 

IRON CROSS RING + AHR-013 for Index finger

 

AHR-012 + AHR-015-Sv for Thumb

自分が好きな物、好きで選んだ物を多く所有したいとか収集したい欲求は誰でも持っていますが、だからと言って何も考えずにガチャガチャと着けていると好きな物の価値を下げている気がしてしまいませんかね?重ね着けとか並び着けにもやっぱり良いバランスが存在していて、その着けこなしの良さがアイテムの持っている本当の価値を発揮してくれるんだと思います。

前回の手首周りの重ね着けに続いて今回はリングの重ね着け、スタッキングを意識した着けこなし。モチーフやデザインに加えて着ける指に合っているかどうかが重要になってくるかと思います。メインとなるリングのモチーフを活かして一体感を持たせてくれる組み合わせ、テイストが揃った仕上げやフォルムのリングを選ぶ事で拡張されるデザイン性。少し意識してみるだけで着けこなしの良さは格段に上がりますので、既にお持ちのリング同士を合わせてみたり新たに組み合わせるリングを手に入れてみたりと、自分にとっての価値を高めてくれる着けこなしで「WELL-BEING」なシルバーアクセサリーの楽しみ方をしてみて下さい。

 

[STYLING ITEM]

バングル:AHBG-007 ¥78,000- ペンダント:AHH-016 ¥35,000- 右手小指リング:AHR-010 ¥17,000-

小指リング:AHR-016-Bs ¥17,000- AHR-011 ¥15,000- 薬指リング:AHR-012 ¥12,000- AHR-014-Sv ¥15,000- AHR-013 ¥12,000- 中指リング:AHR-012 ¥12,000- AHR-018 ¥32,000- 人差指リング:IRON CROSS RING ¥30,000- AHR-013 ¥12,000- 親指リング:AHR-012 ¥12,000- AHR-015-Sv ¥20,000-

(全てANOTHER HEAVEN)

*リングは着用順の表記となり、表記の金額は全て税別価格となります。

 

ご紹介をさせて頂いた作品はGARAGE REFUSEにて展示販売をしております。

作品を手に取り、ご試着が可能となりますので、ご興味があるお客様はぜひともご来店ください。

GARAGE REFUSE 東京都江東区森下1-11-7 TEL:03-6240-2972

またONLINE STOREでもご購入が可能となりますので、是非ともご閲覧ください

宜しくお願い申し上げます。

ONLINE STORE

 

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

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GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more