RUMBLE -REFUSE STYLE- 019

消費の速度は経済の回転率を上げるが、経済の発展によって消費による問題点が取沙汰される様になって久しい。資本主義を土台として発展し続けようとするには消費する事は避けられない人類にとって、消費による問題点を解決する手段はテクノロジーの進化に任せるより他に無し。とは言っても人々の意識は他の解決策を導き出そうとする。

サスティナビリティやSDGsが(勘違いのまま伝播している部分は多々あるが)広く知られる様になって、一昔前にエコロジーが叫ばれる様になってはいたが落ち着いてしまっていた自然環境への配慮を無理矢理呼び起こされつつ、どことなく「物を大切にする」意識を持たせようと政府ぐるみで世界的に動いている現在。消費速度が顕著に経済の要であるファッション業界も対応を迫られているのが現状だ。

ファッションの世界は生産と消費の速度を上げる為にシーズン毎にテーマを掲げてコレクションを発表し、トレンドやムーブメントに合わせて一過性の物を販売して売れ残ればセールを行い、それでも残れば廃棄物として焼却する歴史を歩んできた。これは、物を大切にするよりも流行による経済を優先させてきた事実によって生じているが、物を大切にしないで扱う事は環境に対する影響よりも先ず、物の設計や製造と可能性に対する不敬である。

ファッション・シルバーアクセサリーの業界で、生み出された物が物としての価値を持つのは、素材と設計や製造の手間に加えて物が可能性を持っているからであって、身に着ける側にとって「物を大切にする」意味はメーカーやブランドが印象を良くする為に行う自然環境への配慮よりも、物を身に着ける事を「物事」として捉えられるかどうかだろう。

物事を学ぶのは何にしても面倒だが、自分の好きな“物”に特化してならば必然的に学んでいく人の方が多いのではないだろうか。シルバーアクセサリーで言うならばモチーフの由来だったりデザインの文脈や文化は知りたがる人が多いし、制作に於ける技術や加工に対してと言う“物”に対する造詣の深い人も少なく無いだろう。しかし“事”の方はどうだろうか?アイテム同士のコーディネートや服と合わせてのスタイリング、シーンに合わせての着こなすサイジングや着けこなしのバランスと言う“事”については学ぼうとしない傾向は、シルバーアクセサリーを好む人達に多く見られる現象だ。

「物を大切にする」自然環境への配慮や経済速度への影響以前に、手に入れる側にとっても制作した側にとっても素晴らしい意識だし、自分の好きな物なら大切に扱いたいのは誰でも同じなのだろうけど、大切にすると言う意識をしっかりと物に対して持とうと思うならば、意識の向かう先が設計や製造と言う拘り易い部分だけで無く物の可能性、つまり“物が為せる事”を学び見極めて身に着けられるか?ではないだろうか。

シルバーアクセサリーを軸にして独自のスタイリングで可能性を探りながら身に着ける事の楽しみ方を提案するプロジェクト「RUMBLE」。物同士が語り合う様に組み合わせる“物語”と、物を着けこなす事による“物事”を映し出して紹介するこのプロジェクトでは、物としての魅力だけで無くREFUSEならではのアイデアに溢れたスタイリングをお届けします。

RUMBLE-019

基本的に人って何かしら動いてるんですよ。この暑い季節になってくると日がな一日クーラーの効いた部屋でゴロゴロしてたくもなるもんですが、やっぱり外に出て何かしら動き回ったりしたくなっちゃうんですよね。外出に限らずですが細かいのも含めて人って必ず動きがありますんでシルバーアクセサリーを身に着ける際には自分のアクション、動くって事を多少なりでも意識してないといけないと思うんです。

シルバーアクセサリー身に着けてポーズを取ってみればカッコイイからそれで良しな筈はなくて、アクションの中でアイテムがどう見えるかが物と事との距離になりますし、物と事の距離が丁度良いのが格好良さになってくる。例えば新品のTシャツを着ると少し浮いた感じがしてしまうのは、新品の“物”が普段通り動く自分の“事”と距離があるから悪目立ちする、要するに馴染んでないからなんですよ。

じゃあ、どうやって馴染ませるのかって言うと1番は時間を掛けて着けこなし方を試行錯誤してみるのが良いんですけど、時間を掛けずに馴染み易い着けこなしを知りたくなるもんじゃないですか。そんな時って参考になる雑誌や映画なんかが役に立つし、自分に合いそうな部分を上手く取り入れるとかで良いんだと思いますけど、やっぱりお勧めはトライ&エラーで自分のスタンダードを組み上げていく事ですね。試行錯誤して好みの着けこなし方をしていれば物に事を寄せていかなくても物が事に寄ってきますんで。

さて、今回はそんな試行錯誤を経て自分のスタンダードが組み上がっている人達にも更にトライしてみて頂きたい、スカルモチーフのアイテム中心であっても変にゴテゴテにならず、しかもシルバーアクセサリーは5アイテムと少ないのにインパクトは充分で、この季節だから可能なペンダントの着けこなしを紹介するスタンダードから一歩踏み込んだスタイリング。

タイトなTシャツにメッシュキャップ、腰履きしたパンツとスニーカー。トータルで見てみるとベースになっているのはLA辺りのスケーターやオレンジカウンティでメロコアバンドやってそうな印象で、都会のシーンに合うストリートスタイルが基調。この季節になるとクロップドパンツの1本は抑えておきたいですし、全体のカラーがブラックで統一されている中でANOTHER HEAVENのキャップに施されたプリントと、これまたANOTHER HEAVENのVANSカスタムスニーカーには挿し色のホワイト。フルブラックなカラーリングが好きな人でもこれぐらいのちょっとしたホワイトが季節的に欲しいところですね。

夏に男が着ると言ったらやっぱりTシャツがメインになってくるんですが、スカルモチーフのグラフィックがプリントされている中で、大判なプリントであってもフォトTは濃口になり過ぎずにシルバーアクセサリーを引き立たせてくれます。定番的なバンドTシャツとかも良いんですけどグラフィックをしっかり選ばないと、シルバーアクセサリーもスカルモチーフ中心にした際にゴテゴテし過ぎちゃうんで。

正面から見た時に簡単な様で上手い着けこなしが難しくなってくるのがペンダントとネックレス。ペンダントとかネックレスってジャケットとかシャツを羽織って着けてる時と同じ物をTシャツだけで着けた時では印象が大きく変化するので、意外とTシャツだけで同じ物を着けるとゴテゴテしてきちゃったり悪目立ちが多いんです。ペンダントとチェーンネックレスの長さのバランスは前回の「WELL-BEING」で詳しく紹介していますけど、大判のグラフィックがフロントにプリントされたTシャツとの相性で考えてみると、スカルモチーフは他のアイテムに任せて、少し太目のチェーンネックレスで首周りを飾ってみるのはどうでしょう。

フロントの一番目を惹くパートはTシャツのプリントとチェーンネックレスでシンプルに纏めておいて、バックスタイルを彩ってくれるペンダントの着けこなし方は正に裏技的なテクニックでコーディネート。今回はVANITASのフェザーペンダントを合わせてますが、この着けこなしは縦長のバランスでデザインされたペンダントが良く合います。細いチェーンや革紐を結んで垂らすと敢えてバックで着けこなしてる感が更に増して、Tシャツのバックが無地なだけに良く映えるうえに、このバランスのままフロントへ回して着ける切り替えも可能です。何よりシャツやジャケットを羽織らずに動けるTシャツがメインになる季節ならでは。

こうした着けこなし方にはペンダントやチェーンネックレスのボリュームと自分の体型を知ってサイジングしておく事が重要です。ペンダントの重さとチェーンネックレスの重さのバランスが合わないと、単純に前後逆向きに着けちゃってる感が出て、綺麗にバックスタイルを彩ってくれませんから、やっぱりボリュームとサイジングが重要ってなるんですけど、其れは手首周りも一緒です。

Tシャツがメインになってくるスタイリングであれば、手首周りの寂しさからついついバングルやブレスレットのレイヤードで着けこなしたくなるのがシルバーアクセサリー好きな人にとっては常でありますが、このスタイリングの場合は全体的にタイトなサイジングでクロップドパンツやTシャツで地肌面積が多いスキッリした抜け感になっているので、手首に着けるバングルもスタンダードなタイプより抜け感重視で逆着けタイプを選び、かつボリュームがありつつスカルのヘヴィな雰囲気も齎してくれる物を1点着けたい。

左手首にボリューミーなANOTHER HEAVENの新作スカルバングルを1点着ける潔さを備えたら、バランスとして右手にもやはりボリュームのあるスカルリングをいきましょう。こちらもANOTHER HEAVENの新作になりますが、フェイスの迫力やサイジングは1点着けでも十二分な程ですんで、左手首のバングルと合わせた時に着ける指に気を遣いたい。体型や指の長さにもよりますがこのスタイリングであれば薬指をお勧めします。

ベルトループに下げたキーフックに対して右手を下げたアクションの場合、パンツのポケット位置も関係してきますが薬指がスカルリングの迫力を持たせつつ変な重なり合い方をしない丁度良い位置。ネックレス・バングル・リング・キーフックのボリュームやサイジングと位置関係の引力が均衡を上手く保った状態とでも言いましょうか。これでキーフックからウォレットチェーンに変えるのもアリですが、その場合はクロップドからベーシックなパンツに変更した方がバランスが良いんじゃないでしょうか。

腰回りはスタイリングで重要になってくるんですが今回の場合は“抜け感”と“丁度良い距離感”を考えて、フロントにはキーフックがきてサイドからベルトのレザーが垂れてバックにはウォレットからワンポイントでレザーのキーホルダーが下がる。この腰回りの着けこなしもシャツやジャケットを羽織らないTシャツのみのスタイリングだからの見栄えが変化するバランス。パンツを腰履きするルーズさに合わせて垂れ下がったレザーベルトに対して、左手首のバングルが上手くタイトさを出してくれますし、バックのペンダントから下がるチェーンとウォレットに付いたキーホルダーがアクションの中で軽く揺れ動く姿は、ブレスレットやバングルを幾つも重ね着けしたりリングを多く着けなくてもシルバーアクセサリーを着けこなして楽しんでる印象を深くしてくれます。

シルバーアクセサリーって夏になると数多く着けて楽しみたくなるのは勿論なんですが、いくらデザインやモチーフが自分の好みだからって物同士が上手く語り合える様な距離感と自分自身との距離感が重要ですし、物の魅力や可能性を引き出すにはアクションに合わせて身に着けるアイテム数を選んでいきたいですね。シルバーアクセサリーと言う“物”と、身に着けて動くと言う“事”を合わせての“物事”をスタイリングによって楽しんでみて下さい。

 

[STYLING ITEM]

キャップ:ANOTHER HEAVEN¥6,800-  Tシャツ:Loud Style Design¥10,000- クロップドパンツ:Loud Style Design¥35,000- スリッポン スニーカー:ANOTHER HEAVEN CUSTOM SAMPLE

チェーンネックレス:Loud Style Design UCN-004 ¥35,000- ペンダント:VANITAS VH-205 ¥25,000- 右手薬指リング:ANOTHER HEAVEN AHR-021 ¥52,000- 左手バングル:ANOTHER HEAVEN AHBG-008 ¥90,000-  キーフック:Loud Style Design UK-014 ¥90,000- ウォレット:ANOTHER HEAVEN AHW-002 ¥38,000- キーホルダー:ANOTHER HEAVEN AHLC-004 ¥6,000- ベルト:ANOTHER HEAVEN ONE MAKE ¥60,000-

※表示価格は全て税抜き価格となります

 

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY・GARAGE REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

GARAGE REFUSE

東京都江東区森下1-11-7 TEL: 0362402972

 

ONLINE STORE

 

1999年に高蝶智樹によって設立されたREFUSEは、空間であり組織であり概念である。
GALLERY、FUCKTORY、GARAGEの三拠点からなる創作と表現の空間は、エクスペリエンスを齎す事によって生まれる新たな選択を軸として構成されていて、空間毎にそれぞれ違ったスタイルと時間を楽しむ事が出来ます。
また、GALLERYでは空間と創作を楽しむイベントとして「GALLERY MADE」が毎月行われ、GARAGEでは「TRADING GARAGE」というREFUSEならではのイベントが不定期で行われます。

BRAND LIST
GALLERY REFUSE: Loud Style Design, VANITAS, BLACK CROW
GARAGE REFUSE: ANOTHER HEAVEN, 十三, SCHAEFFER’S GARMENT HOTEL, TNSK, …and more