INTERSECTION -ISAMU KATAYAMA BACKLASH- Vol:04

物事が展開して行くにつれ、予め想定していた展開になるか?流転の先での必然になるか?其れは当事者にしか解らない事だろう。周囲からすれば結果に対して某かの予兆や仄めかしが事前にあれば伏線的に捉える事も可能なだけだ。つまり、伏線は後の展開に備えて仄めかしておく事によって成立しているかに見える。伏線回収という展開や言葉が小説や漫画等でもよく使われるので、曖昧ながら伏線について一般的に認知されている事だろう。しかし実際には、他者に仄めかしていなくとも後々の展開を数パターン想定して備えておく事が伏線になるので、現実的には当事者からすれば回収されない伏線の方が多い。

「ISAMU KATAYAMA BACKLASH」と「Loud Style Design」によるコラボレーションも4シーズン目となり、目新しさよりも両者による拘りの部分が顕著になっているのが今回のアイテムだ。両者の拘りはコラボレーションが始まった当初から大きかったが、ファーストシーズンでは拘りは細部に宿りデザインやアイテム構成にはコラボレーションによる目新しさが際立った。逆を返せば、両者の拘りは均等なバランスで保たれ新しい何かを創り出そうとする意識のが大きかったと言う事だろう。今回リリースされるアイテムを見るとそう思わされる。

一昔前の。と、前置きをしなければならない事に若干の抵抗を感じてしまうが、片山氏と高蝶の年齢や世代を鑑みれば当然の様に一昔前の男の拘りを感じさせるスカルリングとZIPPO。特にスカルリングは男にとってフェイスや造形に対して拘りを乗せて身に着けたくなるアイテムだろう。其れは制作する側にとっても同じ事だ。時代や世代を超越して人類にとってアイコニックな存在であり続けているスカルは、ブランドやプロジェクトにとって正しく顔となる存在なだけに拘るのは当然である。コラボレーションアイテムとしてスカルリングをリリースする事についてはファーストシーズンの際に高蝶から提案されていたが、上述した様に拘りを投影するアイテムよりも新しいアイテム構成を優先する事により見送りとなっていた。

カタチにすべき時が来た。高蝶からすればそう言いたいところだろうファーストコレクション時から備えていたイメージ。「ISAMU KATAYAMA BACKLASH」に適したデザインやボリュームで、「Loud Style Design」らしさが表現されたフェイス。男の拘りを投影したくなるサイジングとバランスが詰まったスカルリングだ。写実性と装飾性の配合によってディフォルメされた表現力だけで無く、身に着けてみれば男の指に対する嵌りの良さに確かな拘りを感じられる事だろう。

喫煙者に対する風当たりが強くなってからは一昔どころか二昔以上の時間が経過している。何もZIPPOライターを使用するのが喫煙者だけとは限らないだろうが、それでも喫煙具としての印象が深いZIPPOに男は拘りや思い入れが強いものだ。ライターとしての機能性をベースにしたデザインである以上、端的に言えば決められたカンバスに対して機能性を損なわないまま如何にデザインしていくか?ZIPPOへの加工には幾つかのベストなバランスが存在する。上部にエッジの効いたロゴを配し、メインカンバスにボリュームがあり印象深いモチーフを備える。今回リリースされるZIPPOはベストバランスの中でも実にストレートな表現だ。

ポケットの中に忍ばせる拘りとして最適な、機能性を持ったアイテム。其れが時代遅れだとしても持ち続けたい魅力がZIPPOには有る。その魅力をコラボレーションアイテムとして展開していく中で、重要なポイントして浮上する整合性はファーストコレクションでリリースされたリングと共通するクロスを使用したデザインによって示され。後の展開を考えてリングで印象深いモチーフを創り出していた事は、こうして他のアイテムにも用いられる事で理解されるだろう。ZIPPOというカンバス上で描く様な表現で用いられると、その伏線が張られていたのが明白になる。

4シーズン目を迎えて、「ISAMU KATAYAMA BACKLASH」と「Loud Style Design」とのコラボレーションには幾つもの展開と可能性が想定されていて、一過性のプロジェクトでは無い事が明示されたと言える。単一のアイテムからシーズンを跨いでコレクションへと歩みを進める中で、整合性と共にストーリーを感じさせていく。物事が物語へと進化していくのは其処に拘るべき何かが存在しているからだろう。

 

ISAMU KATAYAMA BACKLASH

https://www.backlash.jp

 

MOTOR CYCLE、HOT ROD、ROCK N’ ROLL、PUNK、HEAVY METAL、LOUDと称されるカルチャーに共通する美学や哲学。そこに在る言葉では表せない衝動、心を突き動かし続ける真実を掴み取る事で生み出されるプロダクト。
造型物としての美しさを追求し、身に着けた人のスタイルとなるアイテムを自分達の手で製作する事を根幹とし、LOUDなSTYLEをDESIGNする事で創り続けるのは、深く刻まれる生き様や思想と重ね合わせ身に纏う真実。一つの真実が、手にした誰かのストーリーになりスタイルとなる。

Loud Style Designの全ては、銀という素材を直接加工する事で創り出す原型に端を発し、想像を創造へと進化させる技術を研鑽し、装像を送像する為のアイデアを練る事で転がり続けながら、不変のバランスに独自のストーリーを刻み、流れ去って行くデザインでは無く、永く在り続けるデザインを生み出す。