XOX 010 -RELOAD-

XOX – CROSS RING TEN –

2021年にブランドの20周年を控えるLoud Style Designが2019年に20周年を迎えたREFUSEの20周年との空白の1年を繋ぐ「XOX」。2020年3月より2020年12月まで毎月10日にクロスリングをワンアイテムずつリリースし、10本の指それぞれとクロスリングに合わせたスタイリングを行うプロジェクトである。

 

一度放たれた弾丸が銃身に戻る事は無い。撃ち抜き破壊した何かについて思う事はあっても弾丸が何処へ行ったか、どうなったのかを思う事は撃った者ですら少ない。しかし、撃った者がどう思おうが何かを撃破したのは撃った者では無く弾丸である。そして一度放たれた弾丸は結果を導き出し銃身に戻る事は無い。

[RELOAD]

No: LXR-005 Price¥32,000-(+TAX)

 

人が何かを意図的に変化させようとする時、それが例えば現状という目に映らない感じるだけの状態に対してでも何かを放つ。ある時は言葉であるし、ある時は行動であるし、ある時は何かを創り出し放つ事によって撃破する事が変化には必要だと感じる筈だ。

言葉や行動や創作は其れを放った本人と同一視されがちだが、実際は一度放たれた其れ等は本人の意思や意図とは別の意味を持つ様になり、撃破する事によって起った変化は時間の経過と共に予期せぬ結果を導き出す事もあるし、時間が経過してから例え同じ意志や同じ意図を持って同じ言葉や行動や創作を放ったとしても、不可逆な時間進行と流転の中では近似の弾道を生み出せても同じ結果へと至る事は不可能となる。

さて、Loud Style DesignというブランドがREFUSEにとってどんな弾丸だったのか?を考えてみると、ブランドの歴史をスタートまで遡る事になる。2000年代初頭の日本に於けるシルバーアクセサリー業界と言えばメディアも販売側も情報の少なさを利用する事によってインポートブランドを崇めさせる傾向が強く、所謂ドメスティクブランドの活躍は二の次という状態だった。

そんな中でREFUSEから放たれたLoud Style Designという弾丸は、それまでの業界の流れやセオリーを変化させて余りある強烈さだったし、言葉も行動も創作も雑誌やネットを介して賛否を巻き起こして飲み込んでしまう力技でもあったが、その期間はブランドの歴史から見れば初期の5年間でしかない。今となってみればREFUSEと言う名の銃身を操るクリエイターの高蝶にとっても、長いとは言えない期間だろう。

放った弾丸が撃破し変化を起こした先に導き出された結果、つまりシルバーアクセサリー業界の変化によってクリエイターである高蝶に去来した感情は「クダラネェ」でしかなかった。何某かの希望や期待が実らなかったが故か去来した感情は、その後の15年近く弾道を変えタイミングを変え撃ち方を変えて、Loud Style Designに新たな境地を切り拓かせ続けシルバーアクセサリー業界でもファッション業界でも類を見ない独自のスタイルへと進化させてきた。まるでそうするより他に道が無いかの様に。

何かを変化させようと長くクリエイションに携わっていると、放ち続けてきた弾丸が底を尽きインスピレーションを求めてアルコールやドラッグに手を出す作家やクリエイターも少なくないし、その経験から生み出された作品も世には存在しはする。または、ミューズと称して特定の異性や同性と過ごしたり、特別な対象として自分の中に新たな弾を装填するクリエイターやアーティストもいる。

しかし、REFUSEにとって高蝶智樹にとって最も重要な再装填は創る事であって、其れは創るという行為でしか得られない自分の内面やヴィジョンと相対する時間が齎す弾丸であり、自分が影響を受けた歴史や文脈に対する理解を深める事だ。このXOXというプロジェクトが単純にクロスリングを10点リリースするだけでは無い理由も其処にある。

XOXプロジェクト最後のリリースとなって前置きが長くなったが本題に入るとしよう。「RELOAD」と名付けられたこのリングの特徴は幾つかあるが、先ずは小指という部位に対しての重さが挙がる。左手小指に対するリングとして4月にリリースされた「REGARD」はベースとなるリング部分は極力削いでいたのと対照的に、この「RELOAD」は重く厚みのある造り。この重さが、メンズのシルバーアクセサリーが持つ特有のものであり、重厚感や安定感を生む。

能力を引き出し実現力を高めるとも言われる右手小指へのリングに重厚さと安定感を備えさせようとするのは如何にもLoud Style Designらしいが、そもそもアクセサリーやジュエリーを身に着けるとは動きの中で邪魔な物を纏う事でもあり、アクセサリーの語源となるラテン語の意味に準えれば、着け馴染む事で邪魔と感じる筈の異物感を我が物として従わせると言ったところか。アクセサリーを身に着ける際に、あくまでも自分が主であるからこそ従者は従者として輝く。身に着けて従わせる、着けこなすに相応しい重厚さというものが存在する。

クロスリングに於けるパターンの中でも特にクロスモチーフを強く押し出す為に印台に近いフォルムをベースに、右手小指を想定してのサイジングとバランスは、ストレートにLoud Style Designの描くクロスを表現し、サイドのレリーフがベースとなるリング部分と重なり合いながらゴシックな陰影を映し出してシェイプされていく。“確かな着けごたえ”という言い回しがあるとするならば、この「RELOAD」のバランスがそうだろう。

物だけを見るならばデザインや造りの良さアイデアに加えて着け心地や馴染み易さは確かに大切な要素だが、Loud Style Designにとっては其れは当然の如く乗り越える要素でしかない。ブランドとして示してきたアティテュードとスタイルの中で「RELOAD」が如何に存在感を示し輝くのか?その姿を見て頂こう。

もしもLoud Style Designが提示してきた数多くのスタイリングの中からブランドの代表を1つだけ選ぶとなればライダースジャケットにデニムパンツを合わせブーツで締めるこのスタイルになるだろう。シルバーアクセサリーが存在感を増しながら輝くLoud Style Designにとって最も基本形であり最も強いスタイリング。

THE VALVESとのコラボレーションで制作されたミュージックビデオ「LOUD SPEED」でもボーカルギター/鍛冶毅のスタイリングで示された様に、バイクとロックの香りが漂う不良にとってのスタンダードなアイテム構成でありLoud Style Designの可能性を常に刺激し続けるスタイルは、XOXプロジェクトのラストを飾る「RELOAD」にとっても存在を示す試金石として相応しい。

特にライダースジャケットはブランドにとってファーストモデルであり堅牢な造りはライダースジャケットがその名の通りモーターサイクルとの密接な関係の上に存在する事を強く意識したアイテムだ。マテリアルの重さとデザインパターンにレザーに対するブランドの軸を全力で注いだと言っても過言では無いこのライダースジャケットと右手小指に着けた「RELOAD」の強さが交差する。

タフである事が忌避される傾向すら感じさせる現代の中でも脈々と受け継がれるモーターサイクルのスタイルはデニムパンツをブーツインする事でアメリカンバイカーの香りを漂わせながらUKのカフェレーサーを思い起こさせる。このバランス感はファッションだけで留まらせないリアルなアイテムを組み合わせる事でのみ得られる感覚だし、クリエイターである高蝶が刺激を受けてきたカルチャーが如何にミックスされ何を新たに打ち出そうとしているかが感じ取れるだろう。

首から下げたアイアンクロスのペンダント、「RELOAD」と他のアイテムを繋ぐかの様に右手首に巻かれたプレーンでありながら力強いブレスレット、腰回りのアイテムを重要視するブランドらしく太くベストな長さのウォレットチェーンのクリップにもアイアンクロスが備えられ、逆サイドには大ぶりなキーチェーンを下げる。ライダースジャケット、デニムパンツ、エンジニアブーツの三種の神器に対してヘヴィなシルバーアクセサリーはどう在るべきか?ブランドにとって幾度も繰り繰り返し撃破するべきその課題を「RELOAD」した弾丸で撃ち破る。

この姿を見るとバイカーが如何にファッションでは無く不良の文脈、スタイルとして存在するべきかを物語るかの様だがそれだけで終わらせるならばLoud Style Designである意味が無い。シンプルでラギッドなアイテムに独自のエレガントさを加えるエンジニアブーツのバックルや左手首に着けたバングル、腰回りに合わせるベルトのバックルのエッジーで繊細な装飾が、粗野とは相反する美学を射し込み「RELOAD」の存在感を引き立たせる。それは恰も激しいロックやヘヴィメタルの中に叙情的な旋律が組み合わさって成立するかの様に見事なスタイルを生み出す。

REFUSEが設立され20年以上の時を経てLoud Style Designが20年を迎える時に、基本に今一度立ち返るのでは無く撃ち破り続け進化させ続けるスタイルは既に最初から決まっていたという事なのだろう。その為に20年間の重みとして再装填するのは“創る”という基本にして続けるべき行為意外の何でも無い。それがREFUSEでありLoud Style Designだ。

Loud Style DesignはREFUSEが誇るブランドとして、その歴史の中で幾つもの弾丸を撃ち放ってきた。アイテムもアクションも尽きる事の無いかの様にブランドのユニバースを広げ続けてきた。この20年間のどの部分を切り取ってみてもクリエイティブである事に変わりは無いが、XOXというプロジェクトを完遂する事によってストレートでエッジーなゴシックの強さ、その裏に存在する文脈の多彩さとクリエイターとしての技術、そしてヘヴィでタフなスタイルが再装填される。

アルコールでもドラッグでも特定の対象でも幸福な暮らしでも得られない、旅をし創る事によってのみ再装填され撃ち破り続けるブランドやクリエイターとしての歴史。創り手ならば必ず目を向ける事になる「何処から来て何処へ行き何を創るのか」その疑問に対する解答。

創る事によって再装填が行われても何に向けてどう放つのか?が無ければ何も撃ち破らないだろう。何かを撃ち破るのは撃った者では無く放たれた弾丸だが、撃ち破る意志を持って放たなければ弾丸は何も撃ち破れない。そして、それがどんな結果を導き出すのかは、誰にも解らない。だからこそ、やり続ける価値が在る。

 

[STYLING ITEM]

ライダーズジャケット:URD-002 ¥480,000- デニムパンツ:UPANTS-011 ¥58,000-  エンジニアブーツ:ULBT-009  ¥230,000- バックル:UBK-003 ¥150,000- ベルト:ULB-005 ¥35,000-

ペンダント:¥40,000- 右手小指リング: LXR-005 ¥32,000- 右手ブレスレット:CUSTOM PRODUCT¥100,000- 左手バングル:UBG-001¥85,000- ウオレットチェーン:ONE MAKE ¥350,000- ウォレットハンガー:CUSTOM PRODUCT ¥130,000- (全て Loud Style Design)

*表記の金額は全て税別価格となります

ご紹介をさせて頂いたアイテムはGALLERY REFUSEそして一部を除きONLINE STOREでのご購入が可能となりますので、ご興味のあるお客様は是非ともご確認ください。

GALLERY REFUSE

東京都江東区森下1-13-11 TEL: 0356001972

ONLINE STORE

 

MOTOR CYCLE、HOT ROD、ROCK N’ ROLL、PUNK、HEAVY METAL、LOUDと称されるカルチャーに共通する美学や哲学。そこに在る言葉では表せない衝動、心を突き動かし続ける真実を掴み取る事で生み出されるプロダクト。
造型物としての美しさを追求し、身に着けた人のスタイルとなるアイテムを自分達の手で製作する事を根幹とし、LOUDなSTYLEをDESIGNする事で創り続けるのは、深く刻まれる生き様や思想と重ね合わせ身に纏う真実。一つの真実が、手にした誰かのストーリーになりスタイルとなる。

Loud Style Designの全ては、銀という素材を直接加工する事で創り出す原型に端を発し、想像を創造へと進化させる技術を研鑽し、装像を送像する為のアイデアを練る事で転がり続けながら、不変のバランスに独自のストーリーを刻み、流れ去って行くデザインでは無く、永く在り続けるデザインを生み出す。